第5話 ドヴェル族の王女ファーフナー。
王様から聞いた場所へ行くと、そこには洞窟があった。
入り口には邪竜の放った瘴気とも言える、嫌な雰囲気を感じ取っていた僕だけど、勇気を振り絞り、かつて邪竜を倒した英雄の如く一歩前へと踏み出した。
洞窟の中は明るい。
ドヴェル族による照明が洞窟内を照らしているお陰で、問題なく洞窟の奥へと進む事が出来る。
「ふぅ……この先に恐ろしい邪竜がいるのですね」
「うん、怖いかい? アイシス」
「ええ、恐ろしいです。 ですが、私の隣にはスート様がいます!」
「うん、大丈夫だよ。 僕は怖くない」
「流石です、スート様! この邪気に当てられて尚、勇気が勝るのですね!」
「うん、このソードが僕に勇気を与えてくれるから!」
少し震えるアイシスの手を握り、僕達は洞窟の奥へと向かっていく。
元々ドヴェル族によって、手の入った洞窟内なので、足場はそれ程悪くなく、すんなりと最奥へとやってこれた。
そして、僕達は邪竜となった王女、ファーフナーと相まみえる事となった。
ファーフナーは蒼く、金属の様な固い鱗に覆われ、恐ろしくも美しい真っ黒な瞳で僕達を睨みつけていた。
「私の宝を奪いに来たのね! 許さないわ!」
「僕はそんなものには興味ありません! 王女様、僕は貴方と対話しようとここへ来ました」
「そんなの信じられないわ! 覚悟しなさい!」
有無を言わせず、ファーフナーが僕たちを襲って来た。
その攻撃は苛烈で、伝説のソードで受けてもその衝撃はとても凄まじい。
アイリスの魔法の援護と共に、僕も打って前へ出る!
「冷たっ! 熱っつ! ……へぇ、やるじゃないあなた達!
でも、そんな攻撃じゃ私は倒せないわよ!」
「すごい攻撃だ! それに、僕のソードが硬い鱗に阻まれて、なかなか攻撃を通せない」
「スート様!」
僕の一瞬の隙をつき、ファーフナーの尻尾が僕を庇おうとしたアイシスにあたる。
幸いな事に、掠めただけで重症ではない。
けれど、その一撃でアイシスの意識は落ちてしまっていた。
「よくもやってくれたな! 僕も君を許さない!」
「へぇ、ようやく真面に剣を構えたのね。 じゃあ私も……本気を出してあげる」
洞窟の最奥にて僕達は互いに睨み合った。
僕は必ず勝利を手にして、運命の道を切り開く!
構えたソードに向かって、僕はそう誓った。




