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第4話 ドヴェル族の国!

 北の果ての大地。

 僕がそこへ行きつく前に立ち寄ったドヴェル族の街へと僕達は足を踏み入れた。

 ここでは、人間よりも少し背丈の小さな住人達が暮らしている。

 彼らはとても力強く、器用で、ひげもじゃだった。

 この街を出る前、僕は約束をしていた事を想いだし、街の酒場へと向かった。


「おっ! 誰かと思えばスートじゃないか」

「シェグ! これを見て!」


 僕は背中で熱を放つ伝説のソードをシェグに見せつけた。

 シェグはマジマジとソードを見つめた後、パンパンと大きな手の平で手を叩いた。


「凄いじゃないかスート! 間違いなくこのソードは伝説にあるソードだ!」

「うん! 今もそうだけど、このソードは熱や炎を出すことができるよ!」


「ははっそれは羨ましい。 儂の一族に伝わる魔剣……いや、聖剣も今では朽ち果て、宝箱の中でただ眠っておるよ」

「そうなんだ。 なんだか、可哀想だね」


「そうでもない、剣は役目を終えた。 本当に剣を殺すのは誰もがその剣の事を忘れた時じゃ。 ああ、そうそう。 折角伝説のソードを手に入れたんだ、我が王にも会ってやってくれ。 頼みごとの一つや二つ頼まれるかもしれんがのう」

「王様って、街の奥に見える、あの立派なお城にいるんでしょ? 僕なんかが立ち寄って中へ入れてくれるの?」


「儂らドヴェル族の目は確かじゃ。 そのソードを見せれば誰もスートの事を引き留めんよ」

「そっか! それじゃあ、お城を尋ねてみるよ!」


「うんうん、スート。 お前の幸運を祈っておるぞ」


 僕とアイシスはシェグに別れを告げ、街の奥にある城へと向かった。


「スート様、なんだか楽しそうですね!」

「うん、ドヴェル族の皆はとってもいい人達なんだ!

 この街を出る前も、お金もない僕に、シェグや他の街の人達がポーションを作ってくれたりしてくれて、とてもお世話になったんだ」


「心温まるお話を聞けて、私も嬉しくなってきちゃいました。

 大好きなのですね、ドヴェル族の皆さんの事が」

「うん! 王様もきっと良い人だと思う。 ずっと会ってみたいなって思ってたんだ」


 城へ辿り着くと、城門に門番がいた。

 シェグの言った通り、伝説のソードを見せると、門番は中へ通してくれる。

 王は執務室にいると言う事で、僕達はすれ違うドヴェル族の話しを聞きながら、執務室へとやって来る事が出来た。

 扉をノックすると、中から大きな声で「入れ」と聞こえたので、扉を開け、中へと入った。


「ムンスペルス族の旅人が来ていると言っていたが、小僧がそうだな?」


 他のドヴェル族の人達と違う、威厳ある王様に緊張しながらも、僕は怖気ずく事無く口を開いた。


「はい、ムンスペルス族のスートです! ドヴェル族の王様、お会いできて光栄です!」

「堅苦しい挨拶はいい」


 そう言うと王様は立ち上がり、僕の方へと手を伸ばした。

 そのぶ厚い手に、僕の手を重ね、固い握手を交わす。


「伝説のソードを手に入れたか……ならば、その腕を見込んで頼みたい事がある」

「僕に頼みたい事ですか?」


「ああ、我が一族の恥さらし……いや、自慢の娘か。

 あやつは欲に目が眩み、近くの洞窟で引きこもってしまった。

 そして、邪竜となり、我ら一族が守り続けてきた神々の財宝を我が物としている。

 どうか、その力で、我が娘を討ち滅ぼしてはくれんか」

「自慢の娘なのでしょう? 連れ戻してくるとかじゃないんですか?」


「邪竜となってしまった。 もう娘は戻ってはこない」

「……分かりました。 その邪竜。 僕がなんとかしてみせます!」


「ああ、頼んだぞ」


 王様の威厳のある瞳はどこまでも真っ直ぐだった。

 でも、僕の背中を送り出すその影に、どこか悲しみの様なものがひしめいているのを確かに感じ取った。

 有無を言わせず伝説のソードを振れば方はつくかもしれない。

 けど、僕は一度彼女との対話を試みようとここに決めた。

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