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第3話 伝説のソードでBBQ!

 倒したホワイトベアーをアイシスが氷の魔法で切り刻み、丁度良い大きさに切り分けてくれる。

 余った大量の肉は風に晒すと、カチカチに凍って保存のきく冷凍肉になった。


「沢山出来たし、毛皮を使えば持ち運びも平気そうだね」

「はい! それでは食事にしましょう」


「うん、でも、今から食べる様の肉もカチカチに凍っちゃったね」

「問題ありません! スート様、ソードの力を少し解放して下さい」


「ソードの力を解放……うん、やってみるよ! こんな……感じかな?」

「そうです、その調子……流石です! スート様!」


 ソードに意識を向けて、集中すると刀身に熱がこもるのを感じた。

 そして、刀身は赤い炎を纏う。


 味付けなんてしてないけど、焼くとジュウっと音を立て、油を滴らせた美味しそうな肉が、鼻に着く香ばしい匂いと共に出来上がっていく。

 ただ、ソードの熱で地面が溶けていってしまうので、僕がソードを持ち、アイシスが焼いて、その肉を僕に食べさせてくれた。


「いい焼き加減のが出来ましたよスート様!」

「うん! 凄く美味しい! ちょっと固いけど、ガチガチのポーションを食べるより凄く食が進む!」


「うふふ、いい食べっぷりですスート様! 私も食事をするのは初めてですが、こんな風に誰かと向かい合って食べるのは凄く心まで温まる感じがしていいですね。

 こっちの肉も焼けました、あーんして下さい」

「うん、ありがとう。 仕方ない事だけど、誰かに食べさせて貰うなんて無かったからちょっと恥ずかしいな」


「……スート様、そんなに赤くならなくても。ほら、もう一口。あーん」

「もぐもぐ……ふふ、やっぱり美味しいや。アイシス、君が焼いてくれると凄く美味しい! まるで魔法が掛かったみたいだね」


 僕が笑うと、アイシスは嬉しそうに目を細めた。

 伝説のソードが放つ熱は、僕たちの周囲数メートルを、まるで春の陽だまりのような暖かさで包み込んでいる。


「魔法だなんて……。魔法を使っているのはスート様の方ですよ。見てください、あんなに猛烈だった吹雪が、すっかり止んでしまいました」


 アイシスに言われて顔を上げると、驚いた。

 いつの間にか、僕たちの周りだけ雪が綺麗に消え去り、黒々とした大地が剥き出しになっている。それどころか、湿った地面からは湯気が立ち上り、遠くの氷河がパキパキと音を立てて崩れ始めていた。


「本当だ……。このソードの力、“とにかくすごい”んだね!」

「はい! きっと世界中の冬を終わらせてしまうほど、お優しい熱量なのでしょう。……スート様、私、なんだか身体がふわふわして……とっても気持ちがいいんです」


 アイシスは頬を赤く染めて、僕の肩に頭を預けてきた。

 氷河の精霊であるはずの彼女が、この異常な熱を「気持ちいい」と言っている。

 きっと僕と彼女の相性は、この伝説のソードが認めてくれるほどに最高なんだろう。


「お腹もいっぱいになったし、身体もポカポカだ。……アイシス、少し休んだら出発しよう。僕たちの村、ムンスペルスへ!」

「はい、スート様。どこまでも、世界が燃え尽きるまでお供いたします」


 アイシスの言葉の意味を深く考えることもなく、僕は幸せな気分で、赤く輝くソードを鞘に収めた。

 一瞬だけ、夜空のオーロラが血のような赤色に染まった気がしたけれど……多分、焚き火の光が目に焼き付いていただけだと思う。


 僕の冒険は、まだ始まったばかりなんだから!

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