① 中学三年の春
私は幼稚園から高校まで同じ学校へ通う中高一貫校に在籍していた。
幼稚園の頃から通い続けた学校だった。
同じ校舎を歩き、同じ制服を着て、同じ通学路を通る。その毎日は私にとって当たり前のものだった。
私は幼稚園から高校まで同じ学校へ通う中高一貫校に在籍していた。
幼稚園の頃から通い続けた学校だった。
同じ校舎を歩き、同じ制服を着て、同じ通学路を通る。その毎日は私にとって当たり前のものだった。
慣れた環境は安心できる場所でもあった。
だから高校も当然そのまま進学するものだと思っていた。
しかし中学三年になると、その当たり前が初めて揺らぎ始めた。
高校へ進学するためには評定三・〇以上が必要だった。
私は基準ぎりぎりの位置にいた。
教室で配られた成績表を見るたびに数字が気になった。
教室で配られた成績表を見るたびに数字が気になった。
あとどれくらい評定を上げればいいのか。
今の成績で本当に足りるのか。
何度計算しても安心することはできなかった。
当時の私は小学校五年生から続けていた塾にも通っていた。
学校が終われば塾へ向かい、帰宅してから宿題や定期試験の勉強をする。そんな生活が続いていた。
それでも不安は消えなかった。
教科書を開いていても、頭の中では受験のことばかり考えていた。
もし推薦を受けられなかったらどうなるのだろう。
一般受験になったら合格できるのだろうか。
高校へ進学できたとして、その先にはどんな未来が待っているのだろうか。
十五歳になろうとしていた私は、自分の将来を初めて現実の問題として考え始めていた。
それまで遠い話だった高校進学が、目の前の現実として迫ってきていたのである。
今振り返ると、その頃の私は受験への不安だけではなく、自分自身の将来にも漠然とした不安を抱えていたのだと思う。
しかしその時の私は、まだ知らなかった。
その年の春、一人の家庭教師との出会いによって、その不安が少しずつ変わっていくことを。




