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謎のイケメン!!

変身したベイルくんの力は、本当に圧倒的で、道を阻むデモンはすべて一刀両断に斬り伏せた。


「ベイルくん、あっち!」


そして、私はすぐに呪木を見つける。


「これだけ巨大な呪木が……?」


ベイルくんは天を仰ぐ。

それだけ、呪木は巨大で、夜空を覆い隠すほどだった。


「これだけの木が数日で育ったとは思えません。異常です」


「呪木が王都ですくすくと育って、誰にも見つからないなんて、あり得ないもんね」


「はい。徹底的に調査する必要があるでしょう。切除したら、ニアのところへ運ばなければ」


「ニアって、さっきも同じ名前が出てたよね。何者なの?」


「ニアは国立黒霧研究機関に所属する、天才少女です。十四歳で国立の霧研に所属して、チーフに任命されたのは、トランドスト王国の歴史の中でも彼女だけ。まさに天才です」


「へぇ。ベイルくんは知り合いなの?」


「はい。友人です。私は一般的なドラクラよりも、霧に関する知識を持っているつもりですが、それもすべて彼女のおかげと言えます」


そうなんだ。

十四歳って言うと、ベイルくんより二歳年上かな。


……うーん、なんだろう。この気持ちは。


「……じゃあ、浄化しちゃうよ?」


「はい、お願いします」


「あ、そうだ。短剣がないんだった」


さっき、誰かに借りておくんだったなぁ。


どうしよう、と迷っていると、パッと手を引っ張られる。そして、ベイルくんが私の指を口元に。


「こ、こら! 待ちなさい、ベイルくん」


しかし、彼はドラクラ特有の尖った犬歯で、私の指先に傷を付けると、血を吸い始める。


「痛いよ……」


ベイルくんは聞こえていないのか、止めてくれないので、私は彼が満足するまで黙っていた。


「ありがとうございます、聖女様。では、浄化をお願いします」


「もう……お礼を言えば何でも許すってわけじゃないんだからね。なんか、大人になった君は強引だからお姉さん困っちゃうよ」


不満を漏らす私だったが、ベイルくんに超綺麗な笑顔を返されてしまう。これには、閉口するしかなく、私は渋々と浄化のため、呪木の根の上に人差し指を伸ばした。


「天にまします我らが星の巫女よ。今こそ我が血に癒しの力を……」


後は祈りを捧げ、血を木の根に落とすだけ。さっそく祈りを始める私だったが……。


「聖女様、危ない!」


突然、ベイルくんが私を抱きしめる!

いや、抱きかかえて、その場から離れるのだった。


「な、何?? どうしたの??」


ただ、抱きしめられたとばかり思っていた私は、心臓をドキドキさせていたのだが、ベイルくんは真剣な顔で呪木の方を見つめていた。


「……分かりません。襲撃者です」


え? デモンが出てきたってこと?


でも、デモンなら私だって察知できるはず……。


「聖女様に突然刃を向けるとは……。貴様、何者か」


ベイルくんの視線の先に目を向けると……そこには黒いマントを身にまとい、頭に深いフードを被った何者かの姿が。


「聖女様、私の後ろに」


「う、うん」


私はベイルくんの後ろに隠れる。


敵は何者??

霧の中で戦えるってことは……ドラクラってことだよね?


顔が見えない謎のドラクラは、ベイルくんに……いや、私の方へ駆け出す。もちろん、ベイルくんがそれを遮り、鋼と鋼がぶつかり合う甲高い音が、霧の中に響いた。


「何者か知らないけど……ベイルくん、やっちゃえーーー!!」


同じドラクラとは言え、ベイルくんのパワーは別格。あっという間に勝てるだろう……と思ったのに。


「くっ、手ごわい……。まさか、呪木の付近に現れる強力なデモンとは、この者か!?」


ベイルくんが呟く通り、謎のドラクラは何度打ち合っても、引き下がることはない。その後も、何度も何度も剣と剣がぶつかり合うが、いつになっても決着は付かず……。


こうなったら、私が手伝うしかない!!


私は地面に干渉し、意識を謎のドラクラの足元に潜り込ませる。これで、足を掴んでやれば……。しかし、謎のドラクラは事前に察知したのか、私の干渉から逃れるように後ろへ飛び退く。


ただ、ベイルくんはその隙を逃がさなかった。一気に距離を詰め、謎のドラクラが着地すると同時に、振り上げるような剣の一撃。それは、謎のドラクラを捉えたように見えた。


が…、ベイルくんの剣は、謎のドラクラがかぶるフードをわずかに裂くに終わる。そして、そこから覗いた顔は――。


「……い、イケメン!!」


ベイルくんに劣らずも勝らずのイケメンだ!!


私の声に、ベイルくんは険しい顔で振り返った。ご、ごめん。戦っている最中に変なこと言っちゃ邪魔だよね。


まだまだ厳しい戦いが続く。そう思われたが、


謎のドラクラはさらに飛び退き、霧の向こう側へ消えていく。ベイルくんは霧を睨みつけながら、小さく息を吐いた。


「逃げた……のか?」


その後、私たちは無事に呪木を浄化し、霧が晴れ始める。


今度こそ、一件落着!と思ったのに……。


「ベイルくん、向こうから悲鳴が!」


フォグ・スイーパの皆が待っている方向が何やら騒がしい。霧は晴れたのに、さらなる事件が起こっているようだった……。

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