めっちゃ声でかい!
議事堂は偉い人が話し合う場所、と聞いていたから、
てっきりララバイ村にもあった役場の会議室みたいな場所だと思っていたけど……。
ぜんぜん違った。
まず、広さが違うし、壁や家具の材質も分かりやすく高級感のあるものだった。
「す、すげぇ……」
思わず呟くとレックスさんの鋭い視線が……。
今までになく厳しいなぁ。
議事堂の中央には広いスペースがあり、それを囲うように座席が配置されている。たぶん、これが傍聴席だ。既に百人くらいの人が座っていて、さっきレックスさんに聞いたところ、そのほとんどは貴族と武家の人たちらしい。
そして、正面の高い位置には明らかに偉い人が座りそうな、派手な装飾がある椅子が二つ。きっと王様の席なのだろう。
「スイ様、ここに座ってください」
私は傍聴席の最前列に座らせられる。少し緊張してきたけど、レックスさんが隣に腰を下ろしたので、少しだけ安心した。
さらに、少し離れたところに知った顔を見つける。
「あ、ライムちゃん。」
リリアちゃんの妹、ライムちゃんだ。その隣には、彼女のお爺さん、エンゲさんの姿も。ライムちゃんは私と同じ聖女の正装だ。ってことは、彼女も聖女なのか。
と、知っている人の姿を見て、ほっとする私だったが……。エンゲさんがこちらに振り向いた。
「ど、どうも」
声が聞こえる距離ではないが、小さく頭を下げると、絶対に目が合ったのに、エンゲさんは正面を向いてしまう。何か苦手なんだよな、あのおじいちゃん。
すると、何だか議事堂内に流れる空気が変わる。どうやら、開始の時間らしい。
「ビーンズ将軍が入室します」
進行役らしき人の声が議事堂内に響いた。そして、その声に合わせるように、全員がざっと音を立てて立ち上がる。私は少し遅れながら、それに倣った。
将軍のこと初めて見るけど、どんな人なんだろう……と期待に胸を膨らませていると、議事堂の扉が開き、男の人が入ってきた。
歳はたぶん四十歳くらい。
大柄で目つきが鋭く、威圧感のある人だった。あんな怖そうな人の娘が、リリアちゃんみたいな可愛い女の子とはとても思えないんだけど……。
「続いて、王の入室です」
続いて王様が入ってきた。けれど、将軍に比べると頼りなく見えてしまう。だって、王様は表情が穏やかだし、何よりも線が細い。いや、たぶん普通なんだろうけれど、将軍に比べると貧相に見えてしまうのだ。
「全員、ご着席ください」
王様と将軍が腰を下ろしてから、全員が椅子に座ると、緊張感も高まった。
「では、ベイリール様の鍛錬について報告をお願いします」
「はい」
レックスさんが立ち上がる。
「ベイリール様は座学を週に二十時間。基礎体力の向上を目的とした鍛錬を週に十五時間。実践的な技術鍛錬を十時間。そして、チャクラ解放の鍛錬を十時間ほどこなしました」
えええ、ちょっと計算が難しいけど、
一日に換算しても凄く忙しいんじゃない??
その上で私の家庭教師もやってたの??
さらに、レックスさんはベイルくんの訓練内容を具体的に説明する。ただ、その時間が十分以上あったので、私はあと少しで眠るところだった。
「では、ベイリール王子の入室です」
ここでベイルくんが登場。
いつもより、綺麗な格好で王子様らしく振る舞っているけど、私と目が合うと、ベイルくんは少しはにかんで俯いてしまった。
どんな格好をしても、ベイルくんはベイルくんだなぁ。
ベイルくんが議事堂の中心に立つと、王様が小さく頷いた。
「第一王子ベイリール。今日までの鍛錬の成果を見せるように」
「はい」
ベイルくんが膝を付き、集中するように目を閉じた。
「お待ちください!」
役目を終え、腰を下ろしたはずのレックスさんが再び立ち上がる。
「トランドスト騎士団団長、レックス殿。発言は許されてはいません」
進行役がレックスさんを止めるが、王様が何かしらの合図を出すと、発言が許された。けど、私は見逃さなかった。その瞬間、ビーンズ将軍が鋭い視線を王様に向けたことを……。
「今回、我々はベイリール様と非常に高い同調を可能とする聖女様を発見しました。この度の儀式、ベイリール様と同調する聖女様は、その方を推薦したいと存じます」
いよいよ出番だ……!と思ったが。
「ならん!」
将軍の低く大きい声が議事堂内に響くのだった。
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