前振りではなくガチ
そして、ベイルくんの誕生日がやってきた。王子の誕生日は祝日らしく、さらには夏祭りが行われているらしい。しかし、私はベイルくんのドラクラの適正を確認する、儀式に参加するため、城の中で待機していた。
「お祭り、行きたかったなぁ」
私の呟きにベイルくんが肩を落とす。
「スイさん、ごめんなさい。僕のせいで……」
しまった、ベイルくんをしょんぼりさせてしまった。
「ご、ごめん! そういうつもりじゃなくて、都会のお祭りが気になっただけで、もちろんベイルくんの儀式の方が大切だって思っているよ!」
しかし、ベイルくんは申し訳なさそうに笑顔を見せるだけで、視線を別の方へ向けてしまう。
ああ、大事なときに余計なこと言うんじゃなかった……。
私たちは今、トランドスト城の敷地内にある、議事堂という場所の控室にいる。これから、王様と将軍の前で、ベイルくんがドラクラ化できることを証明するため、私は上半身は白、下半身は赤、という聖女の装束を着せられた状態でレックスさんを待っていた。
沈黙の時間が流れる。
私の失言があったのはもちろんだが、たぶんベイルくんも緊張しているので、声をかけにくいのであった。そんな中、レックスさんが控室を訪れる。
「そろそろ儀式の時間です。お二人とも、準備はいいですか?」
頷く私とベイルくん。
「では、段取りをおさらいしましょう。まずは、王と将軍にベイル様がどれだけこの日のために鍛錬したのか報告があります。その後、聖女と同調の儀式がありますので……私がスイ様について発言し、ベイル様との同調を試していただけるよう、進言します」
ついにお披露目って感じで緊張するなぁ……!!
「それまで、スイ様は傍聴席で待機していてください。私がお呼びするまで、絶対に大人しくしているんですよ?」
「はいっ!」
レックスさん、何だか「絶対」って言葉を強調していたけど……前振りってやつかな??
もしかして、暴れた方が良いの?
どっちだろう、と判断しかねる私にレックスさんは詰め寄った。
「もう一度言います」
「は、はい」
「将軍様を怒らせるわけにはいきません。スイ様は大人しく。可能であれば、儀式が終わるまで一言も発さないように」
えええ……。
レックスさんがこんなに念を押してくるのって初めてじゃない??
そんなに将軍って怖いのかな??
とにかく、できるだけ黙ってりゃいいのね。オッケーオッケー。
何度も頷く私を見て、レックスさんは何を思ったのか、小さく息を吐いてから言うのだった。
「では、時間です。議事堂へ行きましょう」
「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品の応援お願いいたします。
「ブックマーク」「いいね」のボタンを押していただけることも嬉しいです。よろしくお願いします!




