カミラ様とはしばしお別れです!
第7部隊は、精鋭人8名と、今回は下の部隊員20人を引き連れて、
ラリマーレへ移動するため、軍飛行場へ来ていた。
午前中にMSETの本部でウルの顔合わせを行った後に、ラリマーレでの任務のミーティングも行った。
今回の任務はラリマーレ魔跡の防衛強化だ。
ラリマーレはマンティアリ帝国の南東側に位置し、約10もの大小さまざまな島が大陸付近に点在している。
南東側の海岸地域とその島々一帯がラリマーレ市だ。
魔跡は大陸から約10キロほど離れたところに、約20万ヘクタールの島の中にある。
魔跡がある島にも街があり、人々が生活をしているが一番栄えているのが大陸側にある港町だ。
ラリマーレ魔跡の恩恵は、海や水の恵みだ。
市の少し内陸側に大きな山がそびえたっていて、そこからの雪解け水がマンティアリの中で一番きれいな為、
飲料水メーカー、医薬品会社の工場、きれいな水を使用しなければ作れない電子部品工場もある。
もちろん海の恵みの海産物も盛んな街なのだ。
ウルはというと、相変わらずアルヴェールがバスケットを持ち、運ばれるスタイルになっている。
第6部隊での誘拐事件もあり、あまり周囲には知られることのないように配慮してくれているみたいだ。
それにしても、アルヴェールへ向けられる周りからの視線が痛い…
第7部隊は飛行機の最終確認を終えるまで、飛行場内の待合室で待機となった。
飛行場の部隊員から案内された、室内の待合室は精鋭人とその部下20人を収容できる大きさになかったため、精鋭人のみ待合室での待機となったが、そこへつかつかこちらへ近づく足音が聞こえる。
「あっ!いた!アル君お疲れ様~!」
カミラが待合室のドアを開け、ひょこっと入ってきたのだ。
今なら出ていいぞ。とアルヴェールが蓋を開けてくれたので、ウルはカミラに駆け寄る。
「カミラ様、お疲れ様です!」
「きゃぁ!私のウルちゃん!久しぶり~」
とカミラがウルを抱き上げ、頬ずりやら撫でまわすやら、まるで本当の飼い猫のような扱いをうけている。
「カ、カミラ様、恥ずかしいです。」
ウルもカミラに会えて嬉しいのだが、この歓迎っぷりはさすがに恥ずかしい…
カミラがグリグリ撫でまわしていると、
姉さんやめてくれ。と、アルヴェールがひょいとウルを手に取り、優しく自身の胸元へ抱き直した。
「ちょっと!久々なんだからもっと堪能させなさいよ!ケチな弟!」
「それより姉さんも移動か?」
カミラが頬を膨らましながら文句を言うが、すでにアルヴェールの腕の中でカチコチに固まっているウル見て、今度はニヤニヤし始めている。
「えぇ。ウルちゃんの引継ぎも終えたから、またツァボラで任務よ。
私たちはもう離陸間近だからウルちゃんの顔だけ見に来たの。」
固まっていたウルも冷静になり、急いでカミラに伝える。
「カミラ様、私お伝えし忘れていたことがありまして。」
「あら?何かしら?」
「あの、約3年間、カミラ様の部隊で私本当に幸せでした。
たくさん良くしてもらって…本当にありがとうございました!」
ウルは2日前に言えなかったことを涙ぐみながらカミラに伝えた。
「…っうぅ。ウル…ちゃん…」
カミラはすでに目から大量の涙が溢れている。
「わだじも、う、ウルちゃんと働けて…たのじがっだぁ ああぁん」
大号泣だ…
そんな姉をよそに冷静な弟は、またいつでも会えるだろ。と冷たい態度で言い放つ。
「姉さん離陸直前だろ?さっさと搭乗しろ。」
とアルヴェールが片手でグイグイと押し、カミラを室内から追い出した。
「アルヴェール様!もう少しカミラ様と…」
と、ウルが意見を唱えようとしたが、抱きかかえているウルを上部から睨みつけた。
すごい圧!
ウルは最後まで言葉を紡ぐのを諦めた…
めちゃくちゃ怖いんですけど!!
そして、ウルを抱きかかえていたアルヴェールはウルを優しくバスケットの中に戻す。
だけど蓋は開けたまま。
怖いのか?優しいのか?訳わからないよ!!
「カミラさん相変わらずきれいだったなぁ…なんとも美しい漆黒の髪。洗練された鼻筋。
麗しい目…あぁ素敵だぁ」
と待合室の椅子に座っていたジャンが幸せそうな顔して思い返していた。
「おい、既婚者だぞ。」
すかさず弟のアルヴェールが突っ込みを入れる。
「知っているわぃ。でも俺の女神なんだから、勝手に言わせといてくれよ!」
「……」
アルヴェールはジャンの言葉に呆れて物も言えない…
他の隊員も同様に呆れていた。




