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VSゴブリンズ

 



 「オラオラ糞ゴブリン共ッ!! ぶっ殺してやるからかかって来いやぁああ!!!」



 バールを片手に部屋へと踏み込んだ俺はたむろってるゴブリンに向かって吼えると腰にさしていた短剣を奴ら目掛けて投げつけた。


 投げられた短剣はゴブリンに当たる前に地面に落ち、カラカラと音を立てながら転がっていく。


 いきなりの事に驚きの声を上げたゴブリンたちが一斉にこちらに振り向いた。


 殺気の篭った視線が体中に突き刺さる。



 「ギィイイイイイイイイッ!!!」



 俺の姿を見て何が起こったか悟ったゴブリンたちは武器を取ると金切り声を上げて俺に向かって駆け出してきた。


 俺はゴブリン共がこちらに向かってきたのを見ると、奴らに背を向け部屋から飛び出した。


 通路に出た後はスピードを落としてゴブリンより少し速い位のスピードで通路を駆け抜けていく。


 後ろからゴブリン共がギーギー喚きながら追いかけて来たのを確認すると俺はそのままゴブリン共と付かず離れずの距離を保ちながら走り続けた。


 走りながらもちょくちょく後ろを確認すると、ばててきたのか少しずつ走るスピードが落ち、息を荒げているのが見えた。


 見た目通り貧相な体力しかもっていないようだ。


 徐々に体力の差で群れから遅れるゴブリンが出始め、群れがばらけいく。


 それを見た俺は作戦がうまく言ってる事にほくそ笑むと次の行動に移った。


 ゴブリンたちの位置を確認した俺は急停止すると踵を返し、先頭のゴブリンに一気に襲い掛かった。



 「ギギッ!?」



 先頭に居たゴブリンが振り下ろされるバールを防ごうと短剣を翳そうとするが疲れからか明らかに動きが遅い。


 結局そのゴブリンの防御は間に合わず、頭を叩き割られたゴブリンが地面を転がった。



 「グギィーーーッ!!」



 討たれた仲間の姿を見た後続のゴブリンが怒声を上げながら迫ってくる。


 俺はニヤニヤと笑みを浮かべると挑発に足元のゴブリンの死体を奴らの方に蹴り飛ばし、再び逃走。


 それを見て更に激昂するゴブリンと俺との鬼ごっこが再び始まった。


 だが鬼ごっこが始まり、そう経たない内にまたゴブリンたちがばて始めた。


 まあばてていたのに怒りに任せて全力疾走したら当然そうなるわな。


 俺は再び踵を返すとゴブリンたちに襲い掛かった。




 これが俺が思いついた策、逃走し追いかけてくる相手を先頭の者から順に倒す………名付けて『逃げるが勝ち作戦オペレーション・ランアウェイ』である。


 この方法なら相手が群れていようと一対一に持ち込める上、相手を疲弊させられるというオマケ付き。


 正に一石二鳥の作戦なのだ。


 難点があるとすれば、自分が相手よりも体力に勝ってないと逆効果になってしまう事と逃走経路に敵がいれば挟み撃ちになってしまう事だが、ここまでの戦闘からゴブリンの体力やパワーが俺より弱い事が分かっていたし、ここいら周辺はマッピング中の探索で魔物がいないのは確認済み、なので索敵せずとも安心して突っ走る事ができた。


 後は俺がうまくゴブリン共を引っ張ってやりさえすればご覧の通り。


 数がいようと各個撃破できるという訳だ。


 卑怯?……なにそれ美味しいの?


 勝てばいいのだよ勝てば。


 元々こっちの方が不利な状況なのにまともに相手する訳ないし。




 こうして俺はゴブリンの群れを殲滅する事に成功した。






 「さてと、ようやくお宝拝見できるな」



 ゴブリンたちを殲滅し終え、俺は来た道を戻りながら部屋にあった宝箱に思いを馳せる。


 一体何が入っているんだろうな……。


 ゴブリンが守っていたんだしやっぱりレアな武器かな……。


 これでガラクタしか入ってなかったらマジで泣くぞ。


 俺は意気揚々と宝箱のあった部屋へと向かった。






 「お待たせー! お宝ちゃー……んんッ!?」



 元気良く部屋へと飛び込んだ俺。


 そんな俺を出迎えるは夢と希望が詰まった二つの宝箱………ではなく硬質な輝きを放つ飛来物だった。



   ヒュン



 風きり音と共に飛来したそれは俺の頬を掠め通路の壁に勢い良くぶつかった。


 何が起こったかは分からないがやばい事が起きたことだけは分かった。


 体中から冷や汗をドッと溢れてくるのを感じながら俺はギギギギギ、と音が鳴りそうな程ぎこちない動きで飛来物が飛んできた方を向いた。



 「おおぅ」



 そこには俺と同年代と思しき女の子が居た。


 それもセーラー服を着た美少女だ。


 髪は端っこを一束ずつ結んだサニーサイドアップが似合う黒髪ロングヘアー、綺麗と可愛らしいの両方を合わせ持つ顔をした女の子がプルプルと震え、涙目でこちらを見ていた。



 おや、どうしたんだいマドモアゼル。


 君にはそんな涙は似合わないよ。


 さあ、涙を拭ってあげるからこっちにおいで。



 心の中で紳士な俺がいい顔で叫んでいる。


 女の子、特に美少女ならば当然の対応だろう。


 俺もそれに追従して少女に一歩近づくといい顔で告げた。



 「おや、どうし「こ、来ないで!! それ以上近づいてきたら、う、撃ちますから!!」



 俺の言葉を遮って叫んだ少女は手に持った弓(・・・・・・・)を構え、矢を番えた弦を引き絞った。


 矢の切っ先はどう見ても俺の方へと向いている。





 あれっ? もしかして俺、不審者と勘違いされてね?



 

やっとヒロイン登場!!

おら、わくわくしてきたぞ!!

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