番外編『都市伝説四天王のその後』
とりあえずこれで完結にしようと思います。(あまりダラダラ続いてもあれですし……)
「どうしてこうなった」
花⇒トイレの花子さん
口⇒口裂け女
人⇒人面犬
山⇒山田
花「お久しぶりー」
口「あら、お久しぶり花子ちゃん」
人「久しぶりだな」
花「本当久しぶりだよね。前回ジョブチェンジしてから2ヶ月ぶりくらいかな? どう?その後は?」
口「私は整形外科の周囲に週1で出没してるけど、今のところ怪談にはなってないわねー。なんか変な女が徘徊してるっていう噂にはなったけど……」
花「ふむ……人面犬さんは?」
人「俺はある意味成功したと言えるかもな。超イケメンに整形してから奴等まったく近づいてこようとせん。……だがあの顔は恐怖というより嫌悪に近いかもしれん」
花「それは地味に傷つくね……」
人「もういっその事身体も人間型にしようかと思ってるんだが」
口「それただのイケメンじゃない」
人「だよな……ところで花子さん」
花「なに?」
人「隣にいる人間について、そろそろ説明が欲しいところなのだが」
口「同じく」
山「こんにちは。怪談系都市伝説オタクの山田です」
花「です」
人「メンドクサイからって自己紹介で済まそうとするな花子さん」
花「チッ……えーと、こちらは今言ったようにオタクの山田君です」
口「よろしくね、山田さん」
山「よろしくっす」
花「で、私はウォシュレット付き女子トイレで新たなお化け人生をスタートした頃出会いました。女子トイレで」
人「変態か」
口「変態ね」
花「変態です」
山「違います」
人「変態じゃなきゃ何て言えばいいんだ? 変質者か?」
口「変態より変質者の方がなんか気持ち悪いわよね」
花「何故か『変態』って言うと親近感わくよね」
口「今の時代の変態に対する認識って実はすごいわよねー」
人「確かにな。『変態』はなんか良い友達になれそうな気がするが『変質者』は友達になれる気がしないな」
口「むしろ知り合いにもなりたくないわよね」
花「目の前に現れるのが『変態』だったら観察するけど『変質者』だったら問答無用で通報だよね」
人「む……それで言うと山田は変態より変質者よりなんじゃないか?」
口「確かに……女子トイレに入り込むなんて気持ち悪い以外の感想を持ちようがないものね」
人「観察なんかしないですぐさま通報するな」
花「と言うわけで、山田は変態ではなく変質者に決定いたしました」
口「おめでとう山田。お祝いに今すぐ通報してあげるわね」
人「おめでとう山田。警察と黄色い救急車、どっちを呼んで欲しい?」
山「とりあえず話を聞いて欲しいです」
****** 閑話休題 ********
山「僕はさっきも言いましたが都市伝説……とりわけ怪談系の都市伝説が大好きなんです」
口「照れるわね」
花「この歳で告白なんて人生(?)何が起こるかわからないね」
人「俺は受けか攻めかで答えが変わるのだが」
山「すいません、そういう意味じゃないです。あとそういう趣味もないです」
人「ちょっとした勘違いで俺の性癖が明るみに出てしまった」
花「全力で」
口「聞かなかった」
山「事にします」
人「お前等……」
山「それで話を戻しますが、僕は最近めっきり聞かなくなった『トイレの花子さん』を探していました」
花「と言うわけで、山田は私のファンです」
口「なるほど」
人「なるほど」
山「そしてトイレの花子さんを探している時、偶然耳にしたのが『ウォシュレットの花子さん』でした」
口「『トイレの』の部分だけ変えたのね花子ちゃん」
人「なるほど、元からある『トイレの花子さん』人気を維持しつつ新たな層のファンを引き込もうという作戦だな」
花「当たりよ。私はこのために様々な経営の本やらなんやらを読み込んだわ」
口「さすが仕事熱心ね花子ちゃん」
人「俺達も見習わなければな」
山「すいません話聞いてます?」
花「ごめんなさい」
口「ごめんなさい」
人「ごめんなさい」
山「僕は直感しました。これはもしかしてトイレの花子さんと関係があるのでは……と」
花「誰でもそう思うよ」
口「と言うか、花子ちゃんはわざとそう思うようにしたんじゃなかったっけ?」
人「よくあるよな。自分だけ気づいたと思って得意げに話したら、実は皆普通に気づいてたって事」
山「そして僕はその真相を探るべく、噂の現場への潜入を試みたのです」
口「つまり女子トイレに侵入した……と」
人「一歩間違えれば新聞の片隅にお前の名前が載っていたな」
花「で、その時私と出会ったというわけですよ」
口「なるほど」
人「なるほど」
花「で、こいつ私に会って、私が元トイレの花子さんだと知った途端なんて言ったと思う?」
人「?」
口「さぁ?」
花「真顔で『浪漫がない』とか言ったのよ」
口「……」
人「浪漫……だと?」
山「そうです浪漫です。そもそもトイレの花子さんや口裂け女さんや人面犬さんは、どうして都市『伝説』になったと思ってるんですか? それまでの積み重ねや偶然、そして努力があったからこそ伝説とまで呼ばれるようになったのでしょう? それを人気がないからと言ってあっさり鞍替えするだなんて……怪談の浪漫を何と心得ますか。ウォシュレット? 整形? 何を言ってるんですか。貴方達はもはや生ける伝統芸能。生ける化石。生ける前時代遺物。それを変えるなど言語道断。そもそも都市伝説とは……」
口「ちょっと花子ちゃん」
花「なに?」
口「自分だけこれにまとわりつかれるのが嫌だから連れてきたわね?」
花「助け合いって大事だと思うの」
人「擦り合いはどうかと思うのだが」
山「皆さん聞いてます?」
「すいません」
これで『私メリーさん。今、異世界にいるの』は完結となります。ダラダラと続いてしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。




