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7つの扉  作者: chihir。
19/23

嫉妬

もう一つ、みぃなには気になる事ができた。


『レイア』という女キャラの存在だ。


ギルドは違うのだが、よく『敬介507』と一緒にいる。

だが、例の扉のメンバーにその名前はなかった。


―—ただの友達。

そう思う事にした。

思わないと、少しだけ息が苦しくなった。


ーーーー


早紀に部屋に通されて、最初に目がいったのは、自分の荷物や茜を運ぶために先に戻っていた浅葱だった。

少し幼い頃なんだろう、みぃなより小さい敬介。

そして、ベッドで眠る茜は、隣にいる早紀の見た目をしている。


「どうして、茜や浅葱さんは、敬介や早紀ちゃんの見た目なの?」


疑問は言葉を吟味するより先に口をついて出てしまった。


「彼の祖父の記憶から、姿を模したからだ。

 俺はぬいぐるみにしてもよかったが、

 早紀が彼の姿でいろと言ったので、そうしている。」


浅葱は徹底して、敬介の名前を出さずに余計な事を言った。


「その声も…?」


数段低くなったみぃなの声は、抑揚を無くした静かなものだった。


「ああ。」


人の感情の機微に疎い浅葱は、それがどうかしたのか。などと首を軽く傾げている。


「や、やっぱり浅葱さん、ぬいぐるみにしてた方がいいね!

 間違えたら良くないし!

 私、喋るぬいぐるみとか怖いと思っちゃって!」


自室の枕元に懐かしのファービー置いてある女の台詞では全く説得力がない。

アレの方が結構怖いと思う。


通信が入ったらしく、浅葱が一瞬横を向き、またみぃなに向き直る。


「山吹から、パソコンで道頓堀の地図印刷しとけってさ。

 下調べしといた方が良いだろうって。」


山吹も早紀の見た目だったが、茜とは正反対な印象を受けていた。

冷たい目の子。


「じゃあパソコン持ってくるよ!」


弾かれたように部屋を飛び出していく早紀の背中を見ながら、

確実に敬介を好きなんだろうと思った。

友達になれるかと思っていたのに、と希望が萎む。

彼女もライバルだとわかっているだろうし、それでも親切に、距離を縮めようとしてくれている事には感謝している。

でも、嫉妬や不安を押さえきれる自信はなかった。

愛想笑いはしたくない。

お世辞は言いたくない。


厳格だった父親の教育の賜物で、

みぃなは並ぶ者がなかなかいないほど、世渡りに向かない性格になっていた。


何一つ不満なく、毛程も後ろ暗い感情を持たずに築ける関係なんて、

この世の中にどれだけあるか。

だが、みぃなにとってはそれが人間関係、友達関係のあるべき姿だった。


早紀は持ってきてくれたかなり最近のモデルの薄型のノートパソコンを起動させると、

後は自分で出来るから。と距離を取りたがったみぃなに、

先程の事が気にかかってもいるのだろう、控えめに笑いかけて、


「困った事があったら隣にいるから呼んでね。」


と言って部屋を出ていった。

みぃなはインターネットではなく、見知ったショートカットのアイコンをクリックして、ゲームを起動した。

いつも見ているログイン画面。

パスワードがわからないので、ログインは出来ない。


だが、思った通りログイン時の手間を省く為、IDを記憶させてあった。


『reia407』


もう疑いは可能性じゃなくて、完全な確信だ。

みぃなは言葉を発するでもなく、画面に表示されたIDを見つめ、黙っていた。


暫くして、ゲームウィンドウを閉じて、道頓堀について調べはじめた。

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