解放
盗賊のアジトに戻った2人は部屋を見渡したが、すでに盗賊の姿は見当たらなかった。アジトの中はきれいに整理整頓させ、掃除も定期的にされているようだった。
「盗賊はもっと汚い場所にいるものだと思っていたが・・・・」
魔王はなんだか納得できないようだった。
「それは偏見よ! 私の知っている盗賊は、農民たちよりもはるかに良い暮らしをしているわ!」
ミーにとっては盗賊のイメージピッタリであった。どうやらこの世界の盗賊は職業盗賊で、きっちり仕事として割り切って盗賊をしているようだ。採用面接などもあるようで、何台も続く盗賊団などが団員募集を行って場合、倍率が数倍になることもあるのだという!
「この屋敷はどうなるんだ?」
魔王は屋敷の中に飾られた、彫像などを眺めながらミーに尋ねた。
「それは、あなたの物ね!」
ミーの話では盗賊を討伐した場合、盗まれたもので持ち主が分かっているものは返還されるが、その他の物はすべて盗賊討伐の報酬として討伐者のものになるという。
「それでは、ここをおれの家にするか!」
魔王は盗賊の家を気に入ったようだ!
「ガタッ!」
魔王とミーが話をしていると、地下から音が聞こえてきた。
「どうやら、まだ盗賊がいるようだな!」
魔王は地下室の階段をゆっくりとくだっていった。
「・・・・」
地下に盗賊はいなかった! 地下に入ると、そこにはすぐに大きな檻がいくつもあり、そこには若い男女や子供が20人ほど入れられていた。
「これはなんだ?」
魔王はミーに尋ねた!
「盗賊が各地の街や村でとらえた人たちだと思う」
ミーの話では盗賊によって、活動方法は色々で旅人や行商人を襲って物品を奪うものや、金持ちだけを狙うもの、それに人を目的として活動しているものも少なくないという。
その場合、とらえた人は国外の奴隷商人に売られるのだという。さすがに自国の奴隷商人は盗賊から、人を引き取ることは禁じられているが、国外の盗賊から仕入れることは認められているのだという。
魔王はすべての檻を壊し、囚われている人たちを解放した、前世でも人を売ったり買ったりということは横行していたが、目の当たりにするとあまり気分の良いものではなかった。
「こいつらはどうなる?」
魔王は低い声でミーに尋ねた。
「彼らは犯罪者等でなければ解放されるわ!」
2人は捕らわれている人たちを町までひとまず送っていくことにした。
解放された人隊は皆歓声をあげて喜んでいた。
「あなた達が私たちを解放してくれた人ですね! ありがとうございます」
一人の20代半ばの女性が魔王に近づいてきて、深々と頭を下げた。
「うむ、気にするな!」
魔王は少し照れたように、顔をそむけた。
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