魔王と国王
「そうか信長か! まさかなハハハハ!」
国王はまさかの答えに宙を見て乾いた笑いをこぼした。
「爺、オレを知っておるのか?」
魔王は国王の反応が気になって質問した。
「ああっ、お前さんはのちの世ではずいぶん有名な存在じゃよ! 良くも悪くもな!」
国王は魔王の顔をまじまじ見て話した!
「こうしてみると似ておるか!」
「なんじゃ! 何に似ておるんじゃ?」
一人で納得している国王に不満気に魔王は質問した。
「質問ばかりじゃな! 言っただろう、お前さんは有名なんじゃ! 肖像画やなんやらがあちこちにあるんじゃよ」
魔王があまりに質問ばかりするので国王は少しうっとおしいような表情をした。
「その顔はなんだ! オレはまだまだ聞きたいことがあるぞ!」
魔王は国王の態度に不満を漏らしつつも質問を続けた。
「そもそも爺も日の本から、やってきたのか?」
魔王は一番聞きたい質問をした。
「そうじゃ、お前さんよりもずっと後の時代からじゃがな! その頃には日の本ではなく、日本と呼ばれておる! お前さんの後を継いだ徳川の世のずっと先、昭和の時代じゃ!」
国王は少しずつ自分の話を始めた。
「徳川? 家康の事か! やつがオレの後を継いだのか!」
魔王は国王の事よりも家康のことが気になったようだ!
「正確には秀吉が次いで、その後が徳川じゃ!」
国王はとてもめんどくさそうである。
「何っ! サルが!」
魔王は意外と自らがいなくなった後の日の本のことが気になったいるようだ!
「そんなことより、織田信長が魔王となってこの先どうするつもりじゃ?」
国王も一番気になることを聞いてみた。
「この先?」
魔王は唐突に質問されて考え込んでしまった。自分自身がよくわかっていなかったからだ。突然異世界に転移して、なにもわからないまま今まで来てしまっていた。
「わからん! わからんがこの世界をもっと見てみたい!」
魔王は国王に言われて、思い出した。何のために天下布武によって日の本を統一しようとしていたのか。魔王は世界を何のしがらみもなく自分の目で見てみたかったから、必死で戦ってきていたのだ!
「何かわかったようじゃな!」
国王は魔王の表情を見て、魔王のやりたいことが見つかったんだと判断した。
「爺、オレは旅に出るぞ! 世界を見るために!」
魔王の目はキラキラしていた。
「そうか、なんだかそなたがうらやましいな!」
国王は自分が国王という立場で自由に旅などできない。魔王がとても楽しそうで嫉妬さえ感じていた。
「爺、お前に感謝するぞ!」
魔王は立ち上がりこぶしを握り締めた!
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