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本田忠勝

 森蘭丸がまず向かったのは、本田忠勝の元であった。忠勝は浜松の竹林の中を歩いていた。

「忠勝殿!」

 人気がない竹林でいきなり話しかけられて忠勝は全身を硬直させて、柄に手をかけた。


「森殿か?」

 忠勝は声をかけたのが森蘭丸であったと認識しながらも、その異様な雰囲気に柄に手をかけたままで声を発した。


「上様がお呼びです!」

 蘭丸はそういうと次の瞬間に忠勝の目の前に現れた。


「おおっ!」

 猛将で知られる本田忠勝であるが、蘭丸の人間離れした動きに思わず声を出してしまった。


「強くなりたくはありませんか?」

 本田忠勝は戦国武将最強と言われる武将である忠勝は蘭丸の言っている意味が分からなかった。

「剣を抜きなされ!」

 蘭丸はいまだ柄に手をかけたままの忠勝に剣を抜けと言いながら自らも剣を抜いた!

「本気でやらないと死にますよ」

 そういうと、自然な動きで忠勝に剣を振るった


 忠勝はすぐさま権を抜いて蘭丸の剣を受けた。

「なんだ、この剣は! なんて重いのだ!」

 軽く振っているようにしか見えない蘭丸の剣が、まるでこん棒で打ち付けられているような重さであった。


「ビシュッ」

 蘭丸は少し踏み込んで剣を薙ぎ払った。


「カンッ」

 忠勝の剣が根本付近で切り落とされた。ありえないことであった。日本刀は刀匠たちに鍛えられてその姿まで作り上げられた最高の武器である。根本付近は特に全体の攻撃の力を支える特に丈夫な部分であり、人の力で切り裂くことなどできるはずがなかった。


「お、お主! 人ではないのか!」

 忠勝は真っ青になり蘭丸に問いかけた。


「人か、人でないか等些細なことでございます!」

「あなたはまだまだ強くなれます! 上様のもとにおいでください! お待ちしております」

 そういうと、蘭丸は姿を消した。


「・・・・」

 忠勝は蘭丸がいなくなった後もしばらく動くことができなかった。その全身からは冷や汗が噴き出ていた。

 

 翌日、本田忠勝は主君である徳川家康にいとま願いを出した。


「忠勝どういうことじゃ! ワシにはまだまだそなたの力が必要じゃ」

 家康はもちろん忠勝を引き留めたが、忠勝は何も言わず城をあとにした。


 数か月後、家康は琵琶湖の真ん中に作られた島の闘技場で忠勝をみるのであった。



 いつもお読みいただきありがとうございます。

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