どの時代から?
魔王と国王が温泉の横に設置されたベンチで火照った体を冷やしていると、プリヒスが戻ってきた。
「あっ」
プリヒスは国王がいることを忘れていたらしく、一瞬顔をこわばらせたが、すぐに表情を戻して魔王の前に笑顔満面でやってきた。
「かき氷屋を任せるのに最適な者を連れてまいりました」
そういうと、後ろに控えていた全身がごつごつした大柄の男を紹介した。
「アイスマンでございます」
彼は魔物であり、普段は北の氷の国で過ごしていた。
「アイスマンでございます。微力ながら魔王様のお力になれて光栄でございます」
アイスマンは膝をついて深々とお辞儀をした。
アイスマンが魔王といったことにプリヒスは顔をしかめた。魔王の横には国王が座っていたからだ。
国王もアイスマンが魔王と言ったことには一瞬顔の表情をこわばらせた。そしてプリヒスの表情の変化にも火がついていた。しかし彼は何をいまさらと思っていた。
この温泉はそもそも魔王城の眼前にあるのだ。通常こんなところに何かを作る者などいないだろう、魔王を除いて!
当の魔王は、プリヒスのように気にするそぶりは全くなかった。
「ごほん、そなたも気にしてないようなので、あえて話すが魔王なのであろう!」
国王はあっさりと魔王に問いかけた。
「ああ、そうだ! 爺、それがどうしたのだ?」
魔王はきょとんとした表情をした。
「いや、何でもないわ! がははは」
国王は大声で笑った。
そのやり取りをみていたプリヒスは驚きながらもほっとした表情をしていた。
プリヒスはアイスマンを連れて、かき氷屋開店の準備に向かった。
「二人きりになったところで、そなたに聞きたいことがある!」
国王は突然真剣な表情になった。
「そなた日本から転生してしたのではないか?」
これまで、のんびりした表情でリラックスしていた魔王は突然の国王の発言に真顔になった。
「爺、どうして、それを!」
魔王は国王の顔を睨みつけて話を続けた。
「いかにも、オレの生まれし地は日の本だ!」
「日の本か・・・・そなたどの時代から来たんだ?」
国王はいぶかしげな表情で質問した。
「時代とはなんだ・・・・オレが最後にいたのは天正10年の京だ!」
魔王は全く隠すつもりはないようだ。
「天正? 戦国時代か・・・・お主、以前の名はなんと申される?」
国王は直球の質問をした。
「おれは織田信長だ!」
これまで、どっしりと座っていた国王は、あまりの驚きと衝撃でベンチから転げ落ちてしまった。その普段のふるまいから武士ではないかと思ってはいたが、まさか日本で一番有名な戦国武将だとは思っていなかった。
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