宿屋の交渉
毛利元春は、街を目の前にしてほっとしたと同時に、大きな不安を覚えた。
その街は巨大な城壁に囲まれて、入口と思われる大きな門の前には屈強な兵士が出入りを監視していたためだ。
「殿、いかがいたしましょう」
兵達も元春と同じように不安に思っているようだ。
「ここがどのような世界かはわからぬが、このまま魔物たちが溢れるなか我らだけで生きてはいけん」
元春は決心して、街の方に歩を進めた。
元春たちの前に数人が入口でチェックを受けていたため、元春はその列の後ろに並んだ。言葉が通じるか不安に思っていたが、前列のやり取りを聞いているとどうやら日本語が通じるようだ!
とうとう、元春たちの番がやってきた。
「お前たちは冒険者か?」
門番は日本刀を持っている元春たちを見て冒険者と判断したようだ。
「は、はい!」
元春は意味が分からなかったが、ここは流れに任せようと思った。
「そうか、では冒険者カードを見せろ」
元春たちはさらに意味が分からず、おどおどした。
その時1人の兵士が機転を利かせた。
「われら魔物に襲われ、荷物をことごとくなくしてしまいました」
「それは災難だったな!」
門番はボロボロの元春たちの姿をみて、あっさりと納得して通してくれた。
なんとか、街に入ることができた元春たちは街に入ってまたまた驚愕した。そこには中世ヨーロッパのような街並みが並んでいた。
この時に兵士たちは、ここが日本ではないとあらためて思い知らされた。
元春達一行は、腰を落ち着かせたいと宿屋を探した。町人に何度か道を聞いてたどりついた宿屋は、この街では、真ん中くらいのグレードであった。
「7人だが、一晩頼む!」
兵士が代表して宿のフロントで話をした、元春たちの風貌を見て宿屋のスタッフは少し不安になったが、しっかりと対応はしていた。
「7人ですと、金貨3枚銀貨5枚になります」
兵は持っていた貨幣を出した。
「これは・・・・」
スタッフは失礼にならないように兵士に話した。
「この街では、お客様がお持ちの外国の貨幣を使用することはできません」
スタッフは金貨や銀貨を見せながら丁寧に教えてくれた。
この兵士はついていた、通常ならここまで優しく対応はしてもらえないだろう。
粘った兵士であったが、やはりこの世界のお金でなければ使用するのは不可能であることを理解し、宿屋をあとにして、そのままを元春に伝えた。
元春たちは途方に暮れ、街の中を当てもなくぶらぶらと歩いていた。その時1人の女が元春に声をかけてきた。
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