それぞれの思い
安土城に戻った信長は考えていた。
ステイタスは変わらないのに、どうしてこの世界では魔法が使えないのか。自分だけではなく他の者たちも、魔法が使えないようだ。
そもそも魔法さえ使えないのに、元の世界に戻る方法などあるのだろうかと・・・・
戻れないと仮定した場合、この世界で永久に生きていくことを考えなければならない。
信長は転移したこの世界のことを、それほど嫌ではなかったただ1点を除いて! この世界の住民は弱すぎるということだ!
以前の世界たとえ人間といえど勇者や剣聖、魔法使い等、魔王と五分に近い勝負をする者たちが存在した。それが今では信長が少し強く力を入れるだけで首が取れてしまうような弱い者たちしかいないようだ。
信長は考えた! せめて人間たちに強くなってほしい。そうでなければ戦っても、面白くなかった。
信長がそんなことを一人考えていたころ、羽柴秀吉、黒田官兵衛、小早川隆景は四国征伐を着々と準備していた。
長曾我部元親と親しい明智光秀は反対していたが、光秀亡き今、四国討伐は必至であった。
「官兵衛、上様は安土に入られたか?」
秀吉はやはり信長が気になっているようだ。
「殿、上様は安土に入ってから、何か考え事をしているようで、部屋からほとんどお出にならないそうです」
官兵衛は患者の報告を伝えた。
「また何かやらかさなければいいんじゃがな! 安土で大人しくしておいてもらいたいもんじゃ」
秀吉は毛利と四国を二分し、その勢いで九州の島津までをも飲み込むつもりであった。
「しかし、羽柴殿。あの信長公はとても人間とは思えませんでした。本当に魔王ではないのかと思えるほどに・・・・」
隆景はいまだに兄元春と信長の戦い風景が頭から離れなかった。
「魔王ということはさすがにないでしょうが、いずれ上様には消えてもらわなければ・・・・」
秀吉は言葉が最後まで続かなかった。
「官兵衛殿、あなたはこの国でも1、2を争う知恵者! あの信長公を倒すものがこの日の本にいるでしょうか」
隆景自身もかなり優秀な武将である。その隆景が全く信長の強さに対抗できる方法が浮かばなかった。
「あれはおそらく、異形の物でしょう。古来この日の本にはいくつか伝承がございます。そのあたりに何か手掛かりがあるのでは。もうしばらくお待ちください、この官兵衛、必ずや突き止めてみせましょう!」
黒田官兵衛はもはや、信長を生かしてはおけないと決断していた。
「そうじゃ、官兵衛そなたが頼りだ! そのためにも、この四国と九州じゃ!」
秀吉は官兵衛をぐっと抱きしめた。
このところ秀吉は昔の人なつっこい時代の武将に戻っていた。
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