新たな策略
「羽柴殿、ともかく大切なのはこれからいかに動くかということです」
小早川隆景はもはや先を見ていた。
「私の考えでは、今の信長公は強い相手と戦うことを除いては、特に領地などには興味がないように見えます」
黒田官兵衛はあくまで私見ということで話した。
「いや官兵衛、それはわしも感じておった! 以前であれば、勝手に和睦などしたそちやワシは間違いなく切られておる」
秀吉も官兵衛と同じように考えていた。
「であれば、この事態まんざら悪くもないのでは・・・・」
隆景は悪い笑みを浮かべて話を続けた。
「織田軍を秀吉殿が自由に動かせるようなら、当初の予定通り毛利と織田で四国を2分して、その後九州を取りさえすれば、天下が再び見えてきます」
隆景は秀吉に同意を求めるように顔を近づけた。
「そうじゃな、東は勝家や徳川に任せておけば、気にすることもないであろう・・・・」
秀吉も悪い笑顔を浮かべた。
「そのためには、あの上様をいかにうまく使うかでしょうな」
官兵衛は少し考えてから、話を続けた。
「上様には安土に戻っていただくとして、ここにきて邪魔な存在は森蘭丸です」
「ただの小姓だと思っておりましたが、いまや上様の腹心の以上の存在です」
官兵衛には何か考えがあるようだ!
「まずは上様をなんとか安土に帰して、蘭丸を排除することだな」
秀吉は官兵衛に目で合図した。
官兵衛は静かにうなずいた。
翌日、朝食を終えたころ秀吉、官兵衛、隆景は信長に対面していた。傍らには森蘭丸もいた。
「上様、昨夜はお楽しみだっだようで何よりでございます」
秀吉は恭しく頭を下げた。
「上様には、元春殿との対戦も終えられて、安土のお城にお戻りになられますでしょうか」
秀吉は信長の表情を確認しながらゆっくりと話している。
「うむ、先ほどカンベエがワレに提案してきての! 安土の城をさらにわれにふさわしい城に大きくしていこうと考えておる」
信長は嬉しそうだった。
「おお、それは楽しみですな」
隆景がすかさず、相槌を打った。
「そうだな、ソチも魔王城が完成したら見に来るがよいぞ!」
信長は隆景に機嫌よく話した。
「ありがとうございます。ぜひうかがわせていただきます」
隆景は信長に調子をあわせている。
「上様、此度の光秀討伐で坂本城が空いております。 第一の功である森蘭丸殿に、その領地を与えるというのはいかがでしょう」
官兵衛は信長の機嫌がよいのをみて、すかさず話をした。
「おお、それはよいな! お前に任せる!」
信長は即答だった。
「上様、ありがたき幸せ」
蘭丸は深々と頭を下げた。
秀吉、官兵衛、隆景は静かに笑みを浮かべていた。




