新たな自慢
「おう、よく来たな風呂友よ」
謁見の間には銭湯で世話になった爺がふんぞり返って座っていた。
「お前は、この国の王だったのか!」
魔王はそれほど驚いていなかった。
「ああ、言ってなかったな! まあ、そなたとワシは風呂友じゃ! 王かどうかなど、どうでもよいことじゃ」
爺は上機嫌だった。
「であるか」
「あの風呂はお前が作ったのか?」
魔王は率直に尋ねてみた。
「そうなんじゃ、この国にはろくな風呂がなかったからな!」
爺は自慢げに答えた。
「今度はオレの家に遊びに来い! 爺に負けない風呂を作ってみせる」
魔王の頭の中には、いろいろな風呂が思い浮かんでいた。
「おお、そうか楽しみじゃワイ! ワシももっともっと楽しいもの作るから負けんぞ!」
こうして二人は風呂に入るだけの風呂友を超えて、お互い理想の風呂を求める風呂友へと進化した!
「せっかく遊びに来てくれたんじゃ、今日はお前に見せたいものがある」
爺はそういうと玉座から立ち上がり、奥に魔王を案内した。
「これじゃ!」
爺は自慢げに手を広げた。
「おお!」
なんとそこには立派な土俵があった。
「これは、もしや・・・・」
「わかるか? おぬしなら、この良さがわかってくれると思ったんじゃ!」
「これは相撲を取るための土俵じゃ! まだできたばかりなんじゃが、どうも皆この良さがわからんようでな・・・・」
爺はなんだかさみしそうだった。
「おぬし、もしや・・・・」
魔王は何かを言いかけて、途中でやめた。
「オレも相撲は好きだ! お前の力士とオレの力士で相撲を取らせないか!」
魔王は力強く提案した!
「うむ! のった!」
こうして伝説となる人魔相撲大会の開催が決定した。
「オレも爺に負けない土俵を作って強い力士を育て上げてみせる」
魔王はこぶしを天に振り上げていた。
「おう! 楽しみにしておるぞ!」
爺はにっと笑った。
魔王は笑みを浮かべて王宮をあとにした。
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