馬車
風呂友となった老人の迎えが来るので、レストランをあとにした二人は銭湯に向かった。再び風呂に入って魔王城に帰ってもよかったのだが、せっかくできた風呂友の誘いなので魔王は珍しく、銭湯の前で大人しくしていた。
しばらくすると豪華な装飾の馬車が銭湯の前に横付けされた。
「風呂友の方でしょうか?」
魔王がうなずくと馬車の男は二人を馬車に乗せた。
馬車の中もプリヒスでさえ見たことがないような豪華なつくりであった。
「魔王様、その風呂友はどのようなお方なのでしょうか?」
プリヒスはたまらず魔王に質問した。
「ただのごつい爺だ」
魔王は知ってる限りの情報を素直に答えた。
「はあ・・・・」
プリヒスは聞いた自分が悪かったと自分を責めた。
馬車は30分ほど、街の中を進んだ。
魔王は優雅に街の風景を堪能した。
「なぜこうなったのか今となってはわからんが、この風景も美しいな・・・・」
魔王は故郷の日本の事を思いだしながら、呟いた。
プリヒスは、意味はわからなかったが、魔王の悲しげな表情をみて、魔王の手をつないだ。
「ふっ、そうだな! オレは魔王だ! 何を弱気になっていたのだ」
魔王は再び力強い表情になった。
馬車は街の中心部を抜けて、しばらく走ると大きな門を通り過ぎた。
「こ、ここは・・・・」
プリヒスは少し驚いた表情をした。
「どうした?」
魔王は気になってプリヒスに聞いてみた。
「い、いえ特にお伝えするようなことは・・・・」
プリヒスははっきりしない・・・・
やがて馬車はより大きな建物が立ち並ぶ通りを走っていた。
「やはり、ここは!」
プリヒスはここまできて、今自分たちがどこに向かっているのか、わかったようだ。
「魔王様、ここはすでに王宮の中でございます」
プリヒスは声を荒げて魔王に伝えた。
「王宮? つまり人間の王の城ということか!」
魔王が答えると同時に馬車が止まった。
「こちらへどうぞ・・・・」
従者が案内する先はまさしく、このロイド王国の王城であった。
2人は従者の案内で王城の中をどんどん奥に進んだ。
「魔王様、そのお方はいったい・・・・」
さすがのプリヒスも平常心ではなかった。
「何度もいわすな! 爺だ」
魔王は少しきつい口調だった。
「こちらです!」
従者は5メートルはあろうかという扉の前でとまった。
やがて扉は開き、二人は部屋の中に進んだ。
そこは王の謁見の間であった。
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