街を散策
プリヒスが朝風呂を堪能していたころ、魔王と老人も目を覚まして、同じように朝風呂に入った後、朝食を共に食べていた。
メニューは、白いご飯に味噌汁、漬物、めざしである。
「やっぱり朝はこれじゃなくてはな!」
老人は和食党のようである。
「そうだな、オレのふるさともこういう食事だ」
魔王もニコニコ顔だ。飲んだ後はシンプルな和食が一番である。
「お前、今日は忙しいのか?」
老人は魔王に尋ねた。
「いあや、特には用というほどのものはないが、この街を見てみようと思っておった。」
魔王は食事を堪能して、ごろんとしながら話している。朝食も老人におごってもらったようだ。
「そうか、なら後で使いをよこすからわしの家に遊びに来ぬか! そちとは馬が合うのでな今後も風呂友として仲よくしようではないか」
老人は豪快に笑いながら魔王を誘った。
「おお、それはありがたい! われもこの世界で初めての友だ。今宵も語りあかそうぞ!」
2人はすっかり親友になっていた。
老人は、しばらくすると、用事があるらしくて家に帰っていった。夕方銭湯の前に迎えが来るらしい。
魔王は、やっと表に出てきた。プリヒスもちょうど風呂から出てきたところであった。
「お、女! 待たせてしまったようだな」
魔王はすっかりプリヒスのことを忘れていた。
「いえ、魔王様のおかげで私は新しいことをいろいろと学ばせていた頂きました」
プリヒスは何故か上機嫌である。
「であるか」
魔王はよく意味が分からなかったが、プリヒスを連れだって、街の散策に向かった。
やはり銭湯周辺を除いて、街並みは中世ヨーロッパであった。
「うむ、やはりあの銭湯だけが大和風であったようだ」
魔王は自らの城下町の構想を考えていた。
大きな通りを二人は歩いていた。両脇には大小の商店が軒を重ねていた。さしずめ銀座の大通りといった感じであろうか。魔王はいくつかの店に入ってスーツと帽子と靴を購入した。
「魔王様、素敵です」
プリヒスは魔王の姿にうっとりしていた。
「うむ、こういう格好をすれば、南蛮人のようじゃのう」
魔王も満更ではないようだ。
「この店はなんだ?」
魔王は大きな作りの屋敷を指さした。
「ここは、この街一のレストランでございます!」
プリヒスはにこっとして魔王を中に案内した。
「なるほど! これは素晴らしい」
中に入ると豪華なシャンデリアが天井に飾られていた。豪華な食器が並び、あたかも宮殿のようである。
すぐさま、二人の姿を見て、ギャルソンがやってきた。
まだ早い時間ということで予約がなくても席は空いていたが、何より二人の豪華な服装ですんなりと席に案内された。
「ご注文はいかがいたしましょう」
ギャルソンは、丁寧な対応で接客した。さすがは1流店である。
「お前にまかせます」
プリヒスはそういうとギャルソンは、頭を下げ去っていった。二人の態度からどこかの貴族がお忍びできているのだと思ったようだ。
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