風呂1
「女よ、オレはとりあえず風呂に入るぞ!」
自らの置かれた状況を少しずつではあるが理解していた魔王は少々疲れたと思いプリヒスに呟いた。
「魔王様、大変申し訳ないのですが魔王城にそのようなものはございません・・・・」
プリヒスは申し訳なさそうに答えた。
「なに! 風呂はふつうあるだろう!」
魔王は憤慨した。このイライラした気持ちを風呂に入ってリセットしようと持っていたからだ。
「魔王城を建てるときに、そのような案もあったにはあったのですが魔王様が魔族が風呂など入る必要はないとおっしゃって・・・・」
プリヒスは困っていた。
「つまり。オレがそのように言ったと・・・・」
魔王はがっかりしていた。
「女、先ほどの人間の街に行けば風呂はあるのか?」
「私も詳しくはわかりませんが、銭湯というものがあるらしいです」
魔王は話を聞くなり、元気になった。
「よし、女そこに行くぞ! 先ほどの魔法を!」
魔王は自らプリヒスにぴったりとくっついて、行く気満々である。
「こちらに、ございます」
中世ヨーロッパの街並みに、突然和風の大きな煙突屋根の建物が立っていた。
「おおっ、なんだか懐かしい雰囲気だな!」
魔王はワクワクした。
「魔王様これをお持ちください」
魔王はプリヒスから銅貨3枚を受け取った。
「こちらに入るには、お金というものが必要にございます」
「う、うむ。ありがとう」
魔王は銅貨3枚を嬉しそうに握りしめて先頭ののれんをくぐった。
「いらっしゃいませ」
番台には、元気のいい50代くらいのおばさんがいた。
魔王はそのおばさんに銅貨3枚を渡した。
「おい、タオルはどこだ?」
魔王は番台のおばさんに話した。
「タオルは銅貨1枚だよ」
当然のように番台のおばさんは別料金を要求した。
「えっ、それでは足りないのか・・・・」
魔王の顔色がどんどん悪くなる・・・・
「あーもういいよ! 今日はサービスだ! このタオル持ってきな!」
番台のおばさんは魔王の様子を見てかわいそうになりタオルをサービスしてくれた。
「おお、ありがとう! お前は何があっても最後まで生かしておいてやろう」
番台のおばさんは不思議なことをいう男に首をかしげながらも、愛想よく接してくれている。
魔王は服を脱ぎ、銭湯の湯船に入ろうとした。
「ちょっと待ちな!」
突然魔王に裸のおじいさんが声をかけた。
「いきなり湯船に入るのはルール違反じゃぞ! 体を洗うか、せめて少し流すかくらいはするもんじゃ!」
「な、なるほど!」
魔王はおじいさんの隣に座った。
「その、全身に泡が付いているのはなんだ?」
魔王はおじいさんに尋ねた。
お読みいただきありがとうございます。




