パンケーキ
「こちらの町はいかがでしょうか」
プリヒスの魔法により魔王はプリヒスお勧めの人間の町に瞬間移動した。
「おおっ!」
魔王は突然の移動に戸惑ったが、それよりも町の風景に驚いた。
「おお、これは話に聞く南蛮の町だな! 皆南蛮の服を着ておるな!」
魔王は前世でもいつか行こうと思っていたヨーロッパのような街並みに感動していた。
「魔王様、よろしければ、いつでもこの程度の町など私の魔法で滅ぼしてみせましょう」
プリヒスは魔王に気に入られようと。一生懸命である。
「滅ぼす? まてまて、このように美しい街を滅ぼすなど、とんでもない。この街を手に入れたいとは思わないのか?」
魔王は自らがこれまで作ったどの城下町よりも人であふれ、きらびやかな街並みにほれぼれした。自分自身でもこれ以上の街を作ってみたいと感じていた。
「女よ、オレはこの街を気に入った。もっと色々と見て回りたい」
魔王は子供に戻ったようにキラキラと目を輝かせていた。
「見て回るでございますか・・・・」
プリヒスは人間の街にきたら、略奪や破壊を行うだけで、しっかりと見たこと等一度もなかった。
「申し訳ないです。私は・・・・」
プリヒスが最後まで話す前に、魔王は次々の目に入る店に入っていた。
「女よ、この世界はおもしろいな! わが城の周りにもこのような街を作るぞ!」
魔族が街づくりなどプリヒスは聞いたことがなかった。
「みな何かを食べているが、あれはなんだ?」
魔王は人であふれている飲食店に入った。
「こちらはパンケーキです! 今月オープンしたばかりで、とても人気なんですよ!」
入口の受付のふりふりのエプロンを着た若い女の子が魔王に説明した。
「よかったら、お客さんも一度食べて行ってください」
魔王は空いたばかりのテーブルに案内された。
「うちの1番人気は、こちらのいちごホイップパンケーキです」
「お連れ様は、女の子に人気の生クリームマシマシパンケーキはいかがでしょうか」
魔王とプリヒスはそれぞれ、お勧めのパンケーキを注文した。
「おおおおおっ、これがいちご・・・・か!」
魔王は興奮していた。
「なんだかすごいですわ!」
プリヒスもいつの間にか夢中になっていた。
魔王の前にはイチゴがいっぱい散りばめられたかわいらしいパンケーキがきた。
プリヒスの前にはパンケーキが見えないくらい大皿一杯にホイップクリームがてんこ盛りになったパンケーキがやってきた。
2人は恐る恐るパンケーキに手を付けた。
「う、旨い!」
信長はポタージュスープ以上に驚いた。
「うううううううまい!」
プリヒスは興奮して我を忘れた。
2人はあっという間にパンケーキを平らげた。
「女よ、このようなパンケーキがあるこの町は、オレが絶対に守らなければ!」
魔王はもはやパンケーキのとりこであった。
「魔王様のおっしゃる通りでございます! 私の命に代えてもこのパンケーキを死守してみせます」
プリヒスも魔王以上にパンケーキに夢中だった。
「うむ、よく言った」
こうして2人は、この町のパンケーキを守ることを固く誓ったのである。
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