安土城
徳川家康は堺で明智光秀の謀反の報を受けた。信長にすすめられ、堺観光を楽しむためだ。
数時間後、光秀討伐と信長が二条城に入ったという知らせを受けた。
「信長殿が無事ということであれば、われらはすぐにお見舞いに二条城に向かうぞ! 遅れたら何を言われるかわからんからな!」
こうして、家康は二条城に向かった。
「なんですと、すでに安土に移られたと!」
家康が二条城に到達したときには、信長は安土城に向かっていた。二条城は城ではないということで、本当の城に移るという信長の要望で、森蘭丸の勧めで日本一の城、安土城に向かったとの事だった。
その頃、信長一行は琵琶湖を船で移動していた。
「ランマルよ、この湖はなかなか広いな!」
信長は満足していた。
「琵琶湖は日の本一の湖でございます」
森蘭丸は明智の残党に出くわさないように水路を選んでいた。
「上様、間もなく上様が作られた日の本一の城、安土城が見えてまいります」
蘭丸はそういって指をさした。
「おおおお、これこそ城だ!」
信長は、初めて安土城を見て十分に満足した。魔王の時に住んでいた様式の城とは違ったが、その壮大な安土の城の全貌を湖上からみて、魔王城と比べても遜色ないと感じていた。
わざわざ琵琶湖から安土に向かった蘭丸のもう一つの理由が功を奏したようである。
信長は安土の城に着くや否や、天守に向かった。湖上からみていて、最も気になったからだ。
「ランマルよ、われはこの城を気に入ったぞ!」
「この城を魔王城と名付けよう!」
信長は安土城を大変気に入り、隅から隅まで見て回った。
信長の安土城見学が落ち着いたころ、徳川家康が安土に到着した。
「上様、家康様がお見えになられました」
蘭丸が信長に恭しく伝えた。
「なんじゃイエヤス?」
信長は怪訝そうな表情である。
「お忘れだとは思いますが上様の盟友でございます」
蘭丸が簡単に家康の説明をして家康本人が信長の前に現れた。
お付きは本田忠勝である。
「信長殿、ご無事でなによりでございます。この家康肝が冷えましたぞ」
家康は深々に頭を下げて、信長の無事を喜んだ。
「ランマル、この狸が我の盟友なのか?」
信長は蘭丸に質問した。
「家康様はこう見えて、なかなかの知恵者でございます」
蘭丸は家康を精一杯フォローした。
「蘭丸殿、タヌキとは?」
家康は小声で蘭丸に尋ねた。
「申し訳ございません。上様は本能寺で煙を吸って少々記憶をなくされたようでございます」
蘭丸はこれで、これから何度も聞かれるであろう質問に答えることにしていた。
「左様でございますか・・・・」
家康は戸惑っていた。信長が以前の信長よりもさらに信長度を増していたからである。




