第28話 破滅の選択
領都。ラングレー子爵邸。
執務室には工房停止、採掘停止、税収減少の報告書が積まれている。
「ふざけるな!!」
子爵は机を叩く。
「何日止まっている! 金が消えているんだぞ!!」
「ゲンジはどうした」
「まだ戻っておりません。確認中とのことで……」
「確認だと!? 確認している間にも金が消えているんだぞ!」
怒鳴り続けた子爵は叫ぶ。
「私がここまで積み上げてきたものを!!」
だが、積み上げたのは鉱山の呪い子たちだった。
◇ ◇ ◇
その夜。
子爵は執務室に一人でいた。
机の引き出しを開き、拳ほどの黒い石を取り出す。
魔石。
禁忌の品。
「全部あいつらのせいだ」
石を握る。
「全部……!」
魔石が黒く光る。
部屋が震える。
「返してもらうぞ。全部」
机の上には、探索隊が作ったホワイトファルコン周辺の地図があった。
子爵はその印を指で潰す。
「お前たちさえいなければ」
怒りと憎しみが魔石へ流れ込む。
黒い光が地図へ集まり、一本の線となってホワイトファルコンの方角へ伸びた。
「そうだ。そこだ」
次の瞬間、悲鳴が上がった。
ドォォォォォン!!
壁が崩れ、天井が砕ける。
巨大なものが立ち上がった。
◇ ◇ ◇
翌朝。
ホワイトファルコン。
ダミアンが空を見上げる。
風も鳥も、何かがおかしい。
「嫌な感じね」
リーシャも顔を上げる。
レイが尋ねる。
「何かあったのか」
ダミアンは領都の方向を見る。
巨大な怪物が生まれたような気配。
丘の上でゲンジも目を開いた。
そして初めて緊張した顔をした。
「……遅かったか」
何かが始まる。
その一言だけで分かった。




