↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/50

第25話 守るための力

夕日が畑を赤く染めていた。


ゲンジとダミアンが向かい合う。


風は吹いていない。


リーシャが眉をひそめた。


「使わないの?」


天候操作。ダミアン最大の武器。


だが、ダミアンは首を振る。


「まずはこれでいい」


「いいのか。本気を出さなくて」


「本気だぞ」


二人が同時に動く。


刀と刀がぶつかる。


一撃、二撃、三撃。


互角。


レイを圧倒した男と、ダミアンが渡り合っている。


ゲンジの眉が僅かに動く。


強い。


だが、戦い方がおかしい。


何度か勝てる場面があった。


それでもダミアンは無理に斬り込まない。


その時、近くで子供の悲鳴が上がった。


勝負を見ようとして、前へ出過ぎている。


ゲンジの刀が振られる。


鋭い斬撃。


ダミアンは避けなかった。


肩へ斬撃を受ける。


血が飛ぶ。


子供は無傷だった。


「なぜ受けた」


初めて感情の混じった声だった。


ダミアンは肩を押さえた。


「避けられなかっただけだ」


平然と言う。


ゲンジは理解できない。


あの状況で、避けられないはずがない。


再び打ち合う。


今度はゲンジが攻める。


速い。鋭い。重い。


ダミアンは受け、流し、避ける。


しかし少しずつ押され始める。


経験と技術。そこに差があった。


最後は一瞬だった。


ダミアンの刀が弾かれ、ゲンジの刀が首元で止まる。


勝負あり。


ダミアンが笑った。


「負けたな」


ゲンジは刀を下ろす。


「本気じゃないな」


「そうか?」


「天候操作を使わなかった。使えば勝てたかもしれん」


ダミアンは少し考える。


「どうだろうな」


勝負に勝ったのに、目の前の男は負けた顔をしていない。


その時、空気が変わる。


ゲンジの瞳が、僅かに赤く染まる。


殺気が増し、周囲の空気が重くなる。


胸の奥から湧き上がる、嫌な熱。


呪いの力。


暴れたがっている。


ゲンジは刀を納めた。


「今日はここまでだ」


「逃げるのか」


レイが言う。


ゲンジは振り返らない。


「違う。やりすぎる」


それだけ残して歩き去る。


ダミアンはその背中を見送った。


強い。だが、何かに追われている。


そんな気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。