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第24話 届かない拳
畑の端。夕日に照らされた空き地。
レイとゲンジが向かい合っていた。
住民たちは少し離れた場所で見守る。
レイは拳を握る。
突然現れ、皆を値踏みした男。
「お前が一番強そうだった」
その言葉が妙に癪に障った。
「始めるぞ」
レイは地面を蹴った。
怪力の呪い。
土が砕け、一瞬で距離を詰める。
普通の相手なら終わっていた。
だが、ゲンジは半歩だけずれる。
拳が空を切る。
さらに連打。
一発も当たらない。
「どうした」
ゲンジが聞く。
レイは拳、膝、蹴りを繰り出す。
それでもゲンジは刀すら抜かない。
「逃げてばっかりか!」
「終わりか」
次の瞬間、ゲンジがレイの視界から消えた。
背後。
振り向くより早く、刀の鞘が脇腹へ叩き込まれる。
ドンッ!!
息が止まり、身体が吹き飛ぶ。
たった一撃。
レイは歯を食いしばって立つ。
「まだだ……」
「立つのか」
「当然だ」
しかし、次の瞬間も見えなかった。
重い蹴りが腹へ突き刺さる。
今度は立ち上がれなかった。
静寂。
「弱いな」
小さな声だった。
レイは唇を噛む。
怪力なら負けないと思っていた。
だが、世界は広かった。
ダミアンが前へ出る。
「終わりか」
ゲンジが聞く。
「いや。うちの代表は俺だ」
ダミアンは刀を抜いた。
ゲンジの目が、初めて僅かに細くなる。
「そうか」
ゲンジも刀へ手を置く。
今度は、本当の勝負だった。




