表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2人の贖罪-世界+ ~命《いきる》を選んだその先は~  作者: 【表現者の蕾】/ようかの夜
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/77

審議-2




「――てめぇがッ! うちの代表を殺そうと企んでるって話だッ!」

「……は?」



 時間が止まった気がした。



「『ブラドリーナを消す』『第一座を空ける』。

 そうすりゃ、自分たちが世改の書に近づけるって、そう言ってただろうがァ!」

「い、言ってない!」



 反射で叫ぶ。


 本当に、知らない。

 そんな話をした覚えなんてない。


 これは本当に冗談じゃ済まない。


 ここで押し切られたら、絶対にまずい。



「ふざけんなよ! そんなこと、考えたことすらないって!」

「嘘つくんじゃねェ!」



 オルディアンが一気に距離を詰めてくる。




「もういい。一度でも目を離すのは危険だ。この場で――」




 怒りのままにオレの胸ぐらへ伸ばされる手。


 それを、ここまで黙って見ていたルルルが横から掴んだ。



「そこまでにしとけヨ」



 いつもの軽妙さは消した声音だった。


 そして同時に、ルピナスもオレの前に立つ。

 オレとオルディアンの間に、はっきりと線を引いてくれるように。



「アイトくんがそんなことするわけないと思う」

「同感ダナ」


「チッ……自分じゃ何もできねぇのかよ金魚の糞がッ!」



 オルディアンが吐き捨てる。



「どうせてめぇらも、そこの腑抜けと共謀してたんだろ!

 なに、自分は無関係ですって面してやがるんだよ! アァ!?」



 ルピナスとルルルと相対しても、なおオルディアンの怒号は止まらない。

 もう、いつ衝突してもおかしくない。


 誰もがそう感じた、その時だった。




「――やめろ」




 ブラドリーナの声が差し込まれる。

 冷静だが、これまで聞いたどの言葉よりも重い。


 それに合わせるように、クリュゼルが静かにオルディアンの肩へ手を置く。

 力任せではない。

 だが、その手は明確に制止の意味を持っていた。


 ブラドリーナはオルディアンに強い視線を送り、それからオレを見た。



「こうなってしまっては致し方ない。

 不本意ではあるが……この場を収めるために、私の特者能力を使う」



 ざわ、と空気が揺れた。



「……ッ! だ、代表、それはッ……!」



 オルディアンの声を、ブラドリーナは片手で制した。


 特者能力。

 恩寵者だけが持つ異能。それはある意味、その派閥の手札ともなり得るものだ。

 普通なら、こんな公の場で明かしたくないもののはずだ。



 他の追求者たちの反応も変わる。


 ダステンの兵たちが、警戒するように一瞬だけ姿勢を変える。

 リッジがわずかに目を細める。

 コレットは戸惑い、まだ状況を掴み切れていない様子。



「私の特者能力は――簡単に言えば、相手の記憶に触れることができるというものだ」



 ためらいもなさそうに、ブラドリーナは手の内を明かした。



「ただし、使い勝手が少し難しいところもある。

 本人にとって強く刻まれた記憶ほど見えやすく、そうでないものほど奥に沈んで探しづらい」



 そして、オルディアンを見る。



「我が派閥のオルディアンが、本当に何かを見たのか。

 まず、それを確かめたいと思う。

 普段の彼を知っているからこそ、どうにも冗談を口にしているとは思えなくてな」



 オルディアンは歯を食いしばったまま、黙って頷いた。



「本人がここまで熱くなっているんだ。該当の記憶はすぐに見つけ出せるだろう」




 ブラドリーナはオルディアンの傍まで歩き、静かに目を閉じた。





 …………。





 しばらくの沈黙。


 誰も声は発さなかった。



 やがて、ブラドリーナの目が開く。




「……確認した」




 その表情は、先ほどまでよりも冷たく見えた。


 オレは唾を呑み込む。

 彼女の次の言葉で、この場の流れが……オレの立場が、大きく左右されてしまうだろう。



 吉が出るか。


 凶が出るか。






 …………。






「……オルディアンは、嘘をついていない」


「は、はぁ!?」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ