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中学1年生、1学期。
僕たちのクラス、1年2組は、
優等生の教室であった。
期末テストで、
27人中、20人が、
複数の100点取得者。
そして、残りの7人中、
2人は、60点レベル、
4人は、50点レベルの
点数を取っている。
そんな中、1人だけ、
45点レベルが居た。
彼は、白鳥くん。
まず、間違い無く、
発達障害である。
現在、夏休み1日目、
僕は、僕の家のリビングで、
対応に困っていた。
ネコ太郎が好き過ぎて、
お爺ちゃんと、お婆ちゃんが、
僕の家に着ている。
結果、この状況が、
実現してしまった。
リビングのテーブルをはさんで、
白鳥くんと、その両親が、
僕に向かって、
感謝の気持ちを述べ、
涙を流しているのだ。
僕は、以前、
終礼の時、中卒でも、
パン屋に成れる事を、
説明した。
それは、クラスの全員に、
そんな事を、口実に、
勉強から逃げるヤツは、
パン屋をやっても、
失敗する。
その事を、伝える為の発言だった。
しかし、その内心は、
白鳥くんに、生きる方法を、
伝える為に言ったのだ。
白鳥くんは、勉強を頑張っている。
集中力が無く、
覚えても忘れる。
しかし、サボれない状況。
僕らのクラスには、
それがある。
結果、本来なら、
0点のハズの、白鳥くんが、
45点を取ったのだ。
その事に、両親は驚いた。
白鳥くんとは、
別の小学校だったので、
彼の両親は、僕の事を、
知らなかった。
1学期、白鳥くんは、
家、毎日の様に、
勉強をする様に成った。
両親には、そんな事は、
考えられない事であった。
白鳥くんは、平気で嘘をつく。
自分は、クラスでは、優等生。
そんなバレバレの嘘を、
平気で繰り返す。
そして、白鳥くんは、
とにかく、焦る。
歯を先に磨くか、
それとも、顔を先に洗うか。
そんな程度の事でも、
混乱する。
それなのに、
白鳥くんは、人を見下す。
人の悪口を言う、
その為に、嘘をつく。
実在しない話。
自分は、それを解決した英雄。
そんなバレバレの話を、
得意気に繰り返す。
両親は、はっきりと言った。
私たちの子供ではありますが、
この子は、正直、心が汚いと思います。
そんな息子は、勉強も出来ず、
それ以外の事も、
まるで、努力をしません。
他人が見れば、クズです。
そんな息子です。
しかし、私たちは、
この子の親です。
責任があります。
一体、どうすれば良いのか?
将来が、心配で、心配で・・・
ところが、最近、様子が違うのです。
家で勉強をする様に、成りました。
そして、中條さんの悪口を、
言わなく成りました。
失礼を承知で、
話させて頂きます。
そう言って、白鳥くんの母親は、
申し訳なさそうに、
説明を始めた。
入学当初、
学校から帰ると、
息子は、まず、
中條さんの悪口を言ってました。
そして、クラスが迷惑をしているから、
自分が、中條をシバいてやった。
そしたら、泣き叫んで、
土下座をしたから、
頭を踏んでやった。
そんな事を、得意気に話、
気持ち悪く笑っていました。
親の私が見ても、
嫌悪するほど不快でした。
しかし、息子は、
そんな自分を、まるで、英雄の様に、
自分は、クラスに必要とされている。
そんな事を、言ってました。
正直、私は、この子を、殺して、
私も、死のうと思っていました。
そして、先日、息子が、
妙は話をしました。
学校で、盗撮事件があって、
自分が、それを解決した。
顧問弁護士を呼んで、
対応させた・・・
私は、この子の母です。
顧問弁護士なんて、
ありえません。
しかし、その話は、
まるで、見て来たかの様に、
リアリティーがあり、
何だか怖くなって、
田渕くんの、お母さんに、
話を聞きに行きました。
田渕くんとは、
小学校が同じだったので、
お母さんとも、交流があり、
色々と、教えてもらいました。
すると、この子の武勇伝の多くが、
中條さんが、実際に、
経験された事だと、知りました。
クラスで、浮いた存在だった田渕くんが、
中條さんの、お陰で見違える様に成り、
中間テストで100点を取ったり、
彼女が出来た事も、聞きました。
そして、最近の、息子の変化も、
中條さんの、お陰と知りました。
すると、先日、
この子が、中條さんの事を、
得意気に話す様に成りました。
この前までは、
クラスの害悪とか、
俺が、シバいたから、
みんなが救われたとか、
散々な事を言っていたのですが、
この子は、パン屋に成ると、
言い出しました。
そこで、担任の安田先生に、
その事情を聞きに伺いました。
という様に、
その後も、白鳥の母は、
正直過ぎて、不安なほど、
白鳥家の内情を話した。
そして、実は・・・
と、パンを取り出した。
この時、僕の正直な感想は、
『えぇぇぇ! こんなクズの作ったパンを、
僕に食べろって言うのか!』だった。
おそらく、田渕の母親は、
僕の事を、良い様にしか言っていない。
僕が、半狂乱で絶叫して、
盗撮犯の背葉さんを、
登校拒否に追い込んだ話など、
僕の、異常な部分を、
カットしていると思う。
そもそも、田渕が、
お母さんに、その様な部分は、
話していないハズである。
つまり、白鳥の母親は、
僕の事を、誤解しているのだ。
そして、お爺ちゃんの存在も・・・




