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信じられない話だが、
藤崎さんは、記憶喪失に成ったらしい。
藤崎さんの記憶喪失は、
僕が原因と、考えられる。
つまり、僕には、
罪悪感がある。
もちろん、僕の能力の事は、
誰も知らない。
しかし、僕は知っている。
だから、その責任として、
学校を早退して、
藤崎家と合流して、
病院に行くベキだ。
と考えてしまう。
しかし、罠なのでは?
そんな危機感もある。
藤崎さんとは、
登校時、毎朝、同じ場所で、
会っている。
5日間、連続だったのだ。
僕の出発は、
毎日、数分のズレがある。
それなのに、曲がり角を出ると、
毎回、藤崎さんが、
僕の隣を、歩いている。
それが偶然なのか?
そして、僕が、ネコ太郎を、
眷属にしたタイミングで、
藤崎家でも猫を保護している。
それも、偶然なのか?
考え過ぎ・・・
その様にも思える。
しかし、藤崎さんは、
明らかに異常なレベルで、
僕に、グイグイと来る。
そして、何度、断っても、
僕をデートに誘う。
今度の日曜日、河川敷で、
ロングスケートボードに乗る。
なぜ、そんなに、
その事に、こだわるのか?
おそらく、当日は、
藤崎さんの、お父さんも来る。
そして、僕が、
ロングボードを、習う。
これは、僕を捕獲する為の、
作戦では?
僕は、その様に思っていた。
藤崎家は、
何らかの組織であり、
僕が、ヴァンパイアである事を、
知っていて、
僕を、仲間に引き込もうとしている?
あるいは、僕を殺す・・・?
昨日の段階で、
僕は、その様に判断していた。
だから、昨日、
藤崎さんが、
僕の事を考える度に、
藤崎さんから、
僕の事を考える感情・・・
それを、消失させたのだ。
僕は、藤崎さんを、
敵と判断したのだ。
そんな藤崎さんが、
記憶喪失に成った?
これは、罠なのでは?
日曜日の河川敷は、
無理な様なので、
記憶喪失と嘘をついて、
僕を誘き出し。
病院に行くと称して、
僕を、車に乗せ、誘拐する・・・?
これは、断るベキ状況だ。
僕は、自分が、
厨二病だと自覚している。
しかし、僕の、
ヴァンパイア化は、
妄想の類いでは無い。
事実なのだ。
つまり、僕以外にも、
その様な能力は、実在する。
その様に、考える必要がある。
敵が存在する可能性。
つまり、僕の命が危険。
この判断を、妄想と考えるのは、
危険に思えた。
しかし、状況的に、
断り難い・・・
ところが、担任の安田先生が、
困った表情をした。
その理由は、
僕の両親と連絡が取れないのだ。
現在、コロナ禍。
そんな状況で、生徒を早退させて、
他の生徒の為に、病院に行かせる。
この判断を、僕や、先生が、
勝手に、決める事は、
出来ないのだ。
結果、僕の家に電話をして、
パパか、ママの、
許可が必要に成る。
ちなみに、僕の両親は、
共働きなので、
家には居ない。
しかし、不思議である。
お爺ちゃんと、お婆ちゃんは、
動物病院に行く為、
この時間はまだ、
僕の家に居る。
ハズなのだが・・・
電話に出ない?
つまり、2時間も早く、
家を出た?
動物病院は、徒歩10分なのに?
そんな馬鹿な!
と思うが、それが、年寄り。
そんな気もする。
先生が、何度か、
僕の家に電話をするが、
誰も出ない。
僕は、両親のスマホの、
番号を覚えているが、
学校の規則らしく、
先生が電話をする事は出来ない。
結果、僕が、パパに、
電話をする事に成る。
しかし、こんな状況で、
パパに、電話をした場合、
おそらく、僕は、藤崎家に行って、
その後、病院に向かう事に成る。
それは、つまり、
殺されに行く。
その可能性もあるのだ。
だから、僕は、
一応の理屈を考えた。
では、どうする・・・?
僕の必死が、名案を生み出した。
「記憶喪失に成った人に、
素人判断の刺激を与えても、
良いのですか?」
これには、安田先生も、
「そうだな・・・」と考えた。
藤崎さんは、
まだ、病院には行っていない。
これから行くのだ。
つまり、病院に僕を同行させる。
その判断は、藤崎さんの両親が、
勝手に考え、願い出た事なのだ。
本当に、大丈夫なか?
記憶喪失の人間に、
素人判断で、刺激を与え、
もし、それで、
藤崎さんが、混乱して、
問題が発生したら?
そんな可能性も、
否定出来ないのだ。
結果、安田先生が、
藤崎家に電話。
その事を伝え、
医師の判断が出た後、
中條くんの、ご両親に、
確認を行い、対応します。
という事で、
今回の一件は、
取り合えず、話がついた。
結果、僕は、教室に戻り、
1時間目、理科の授業を受けた。
しかし、僕には、授業など、
どうでも良かった。
問題である。
おそらく、医師の判断として、
藤崎さんと、僕の面会を、
行う事に成る。
その時、僕は、1人で行くのか?
現在、コロナ禍である。
安易に、病院に行く事は出来ない。
そもそも、僕の両親は、
共働きなので、
僕に着いて行く場合、
どちらかが、仕事を休む事に成る。
事の重大さを考えた場合、
ママは、仕事を休んで、
僕に着いて来るだろう。
本当に、それで大丈夫なのか?
もし、僕を殺す様な組織だった場合、
ママも、巻き添えで殺されるのでは?
僕、1人で行くベキなのでは?
つまり、今から、
僕が、行った方が良いのでは?
2時間目、安田先生に、
藤崎家からの連絡が無いか、
それを聞きに行ったが、
連絡は無い様である。
2時間目、社会の時間。
僕は、出来る限り、
冷静に考えてみた。
もし、藤崎さんが、
普通の人だったら?
僕の予想では、藤崎家は、
ヴァンパイアを、
「何とか」する組織。
その様に考えられる。
しかし、そんな組織があるのか?
「何とかと」とは何だ?




