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『僕の周りの怪異たち〜学校の怪談や都市伝説と、なぜか普通に友達やってます〜』  作者: ハジェリ


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7/9

閑話 渡せなかったプレゼント



「はーなこさん!」


「はぁい」


「ぼく!ぼくぼく!!僕だけど」


「オレオレ詐欺みたいね。今配信中なの。もう少しで終わるから、ちょっとだけ待ってね!」


「あいよー」


*


「ごめん、お待たせ。って、鏡なんか見てどうしたのよ。色気付いて……思春期?」


「まぁ、思春期なんだけどさ。それより、これ見てよ」


「なぁに?パンフレット?」


「そう。ハリウッド版トイレの花子さんだって」


「え?!すごいじゃない!わたし!」


「うん。すごいと思う。すごいんだよね?知名度」


「知名度だけすごいみたいに聞こえるのは、私が斜に構えてるからかしら」


「いや、花子はすごいと思うよ。マットの人とかと友達だし」


「またマットの人!はじめはすぐにマット、マット。そんなに新しい怪異が好きなら、体育倉庫にでも行ってくれば?」


「なんか、マットってハリウッドっぽいよね」


「マット・デイモンでしょ」


「それだ。マット・デイモン。体育倉庫のマット・デイモン」


「ハリウッド版『体育倉庫の死霊』みたいな?」


「失礼だぞ、はなこ」


「あんたが煽ったんじゃない!」


「ごめんごめん。それより、はなこの話だよ。ハリウッド進出ってすごいよな。そういえば、はなこってアメリカのトイレにも出るの?」


「しらないわよ」


「え?なんで?」


「私は、ここにいる私が私なの」


「哲学的な感じがした。かっこいいな」


「そ、そうかしら」


「うん。知的だった」


「ありがとう。私は私。はじめが今見てくれてる私だけが私。だから、たくさんの花子がいろんなところにいても、はじめの知ってる私は私だけよ」


「こすりすぎかな」


「うっさいわね!」


「まぁ、いいと思うよ。でも、ハリウッド映画になるなら、利権とかいいの?」


「お金?ほしい」


「ね。とんでもない額をもらえるんじゃない?なんか、いつだか授業で習ったな。知的財産権だっけ?」


「あら、やるじゃない。ちゃんと勉強してるのね。それで、私はもらえるの?新しいパソコンが欲しいんだけど」


「はなこがさっき言ってなかった?」


「なにを?」


「ここにいる私が私、とか。潤んだ瞳を作って言ってたよ」


「作ってないわよ。ちゅるんはカラコンのせいでしょ」


「せいというか、おかげだろ」


「はいはい、どうせちゅるんはカラコンのおかげです〜」


「カラコンに嫌われるぞ」


「付喪神的な?」


「そうそう。で、話をそらしてるけど、私は私なんだろ?そしたら、どのはなこの話なのかによるよな」


「え?全部私じゃないの?」


「え?じゃねーし。ややこしすぎるだろ。レポート提出してほしいくらいだわ。プロファイル:ハナコ・オブ・ザ・トイレット」


「Hanako of the Toiletだと、英語としては不自然じゃない?」


「なんでわかんの?英語得意なの?」


「え?なんでかしら」


「もしかして、世界のはなこのデータを集中させたセンターがあって、そこから共有してるんじゃね?」


「なるほど。……なるほどじゃないわよ。なんではじめがプロファイリングしてんのよ」


「レポート書いてくるわ」


「誰に出すの?」


「はなこだけど」


「……意味ある?」


「もしかしたら、利権に絡めるかも」


「あるじゃないの!やるしかないわね!!」


「スリーサイズとかバレるよ?」


「な、何言ってんのよ!スケベ」


「あー、ごめん」


「?」


「いや、スケベジョークはベートーヴェンに対して悪いなと」


「別に……いいんじゃない?あんたが気を使わなくたって」


「……なら、教えてくれるの?」


「うん……って教えるわけないでしょ!ほんとバカね!はじめはバカなことばっかり!」


「でも、いつもそのバカ話で笑ってるじゃん」


「……確かに。で、ハリウッド版わたしはいつ公開するの?」


「ハロウィンだって」


「ハロウィンかぁ。あーあ、わたしも映画館に行けたらなぁ」


「そうだった。はなこはネットで公開するまでお預けだもんな」


「めちゃくちゃ仮装して、可愛くして行くのに!はじめもずきゅーん確定なのに!」


「ずきゅーんしたらダメだろ。なら、見る時に仮装すればいいじゃん。なんの仮装するの?」


「うーん、吸血姫かしら」


「うわ、ずるいなそれは。僕なら、NO MORE映画泥棒かな」


「ただのコスプレじゃない!」


「映えるかなって。吸血姫を盗撮的な」


「なんですぐエロに持ってくのよ」


「いや、他意はなかった」


「あっそ。はぁ〜あ、行きたいなぁ。映画、行きたかったなぁ。映画泥棒とか言うから、余計に行きたくなった」


「外に出たいの?」


「外に出たい……というより、映画を可愛くして観に行きたい」


「へー。外に出たいとは違うんだ」


「うーん、よくわからないわ。外に出たいのに出たくないみたいな、複雑な感覚ね」


「概念的なものか。次、はなこのフルネームは?」


「ちょっと待て。あんた、レポート用の資料集めてない?」


「うん」


「出たー。感傷に浸ったわたしがバカだった。はじめがバカなの忘れてたー」


「バカだから勉強してるんだよ」


「そうね。バカはじめだもんね」


「よせやい。照れるだろ」


「褒めてない。バカまじめ、みたいなことは言ってない」


「ツッコミは良好。次、最初の記憶は?元は人間?」


「殴るわよ?」


「物理的攻撃手段か。トイレに引き込まれる系の話はウソってことね」


「殴る。決めた」


「ごめんごめん。ほんと今のは良くないと思った。一番にレポート提出するから許して」


「よく言えたわね、それ」


「それはさておき」


「さておかれた」


「ハリウッド版はなこ、一緒に行きたかったな」


「ッ!?…………うぅ…………うわぁーん!!」


「え!どうした!?なんで泣いた!?」


「わたしもはじめと行きたいのにぃ!……トイレのばかぁ〜!!」


「概念体系を否定しだした?!」


「ふぇーん!」


「落ち着けって。マットの人呼んでくる?」


「うわーーんっ!!」


「……そ、そうだ。これ。クリスマスプレゼント渡せなかったから、持ってきたんだ」


「……え?いいの?わたしに?……ぐすっ」


「もちろん。このタイミングで、はなこ以外に渡すプレゼントを出すほどイカれてないよ」


「そ、そうよね。開けていい?」


「うん、大したもんじゃないけど」


「そんなことない。はじめからのプレゼントは全部嬉しいよ」


「そう?なら良かった。さぁさぁ、開けてみてよ」


「うん。……………………便器?」


「うん。便器型のアクセサリー置き。陶器だから気をつけてね」


「…………………便器?」


「うん。あっ、おちょこにもできるみたい」


「トイレの水を飲んでるみたいじゃない」


「うん。リアルゴールドを入れると、さらにリアルゴールドになるよ」


「くだらねぇ!!もう、バカはじめ!!だったら、これに入れるための指輪もプレゼントしてよ!!」


「えー、茶色の?」


「うんちを演出したいからじゃないわよ!!もう、なんでそうなるの!?頭おかしいの?」


「怪異におかしいと言われる日が来るとは」


「いつも言ってるわよ」


「まぁ、指輪はベートーヴェンの仕事だからさ。楽しみに取っておいたほうがいいと思うよ」


「……もーっ!!!!」


「え?なんで怒ってんの?」


「怒ってない!」


「そっか、ならまぁいいけど」


「よくない!ちっともよくない!」


「……便器、喜んでもらえると思ったんだけどなぁ。見つけた時、嬉しかったし」


「……嬉しい、けどさぁ。もう!ありがと、はじめ!」


「はなこフィギュアもセットで渡したかったんだけど、探してもなかったんだよ。ハリウッド映画の公開に合わせて発売されるかな」


「いや、このパンフのわたしと便器、合うかしら?かなり凶悪そうよ?」


「確かに。はなこ、今どきの配信者の装いだしね。見た目も可愛いし」


「な、ななな……」


「なな?」


「なんでもない」


「?」


「あっ、わたしもプレゼントあるよ!」


「え!マジ!?嬉しい!!」


「なんでよ、まだ見せてないじゃない!(笑)」


「いや、僕のために用意しようって考えてくれたことが嬉しいじゃん」


「そ、そりゃ用意するわよ。はじめだって、プレゼントをわざわざ買いに行ってくれたじゃない。便器だったけど。……はい、どうぞ!」


「ん?なんだこれ」


「マット」


「もしかして、体育マットのミニバージョン?」


「そうよ!マットの人にお願いしといたの」


「そんなことできんの!?」


「よくわからないけど、できるみたいよ?」


「マットの人……気になるなぁ。マット関連なのは明らかだけど、製造業サイドの怪異とは思わなかった」


「なによそれ。……それより、嬉しい?」


「うん!分厚いから使いにくそうだし、収納性も終わってる。それに、マットには興味ないけど、嬉しいよ!」


「ほんとに嬉しいの!?喜んでる人のコメントとは思えないわよ」


「いや、嬉しいでしょ。お風呂マットにしたらカビだらけになるしなぁ。まぁ、ありがと!」


「どういたしまして。はじめも、これありがとね。絶対割らないから」


「あいよ。あっ、そろそろ帰る」


「そう。……LINEするね!!」


「おう、じゃーなー」


「うん」



――



(LINE個別トーク:メリーさん)


【メリーさん】はじめさん、こんばんは♪


【メリーさん】(食パンが挨拶しているスタンプ)


【はじめ】メリーさん、こんばんは(*‘ω‘ *)


【メリーさん】お元気にしてますか?


【はじめ】元気です!メリーさんは?


【メリーさん】元気にしてます。はじめさんに会いたいです


【はじめ】え!?どうしたの?なんかあった?


【メリーさん】ごめんなさい!変な意味ではなくて


【はじめ】良い意味ってことかな?


【メリーさん】そうです!そう言えば良かったですね!良い意味で、はじめさんに会いたいです♪


【はじめ】なんか不思議な言葉だね(笑)


【メリーさん】はじめさんは、映画とか興味ありますか?私、行ったことなくて


【はじめ】映画好きだよ!ホラーも恋愛もサスペンスも


【メリーさん】え!ホラーも見れるんですか!怖くないですか?


【はじめ】そうだね!怪異と友達になってるくらいだから余裕だよ!


【メリーさん】そうでしたね。


【はじめ】メリーさんは?


【メリーさん】興味はあるんですが、一人だと怖くて見れなくて


【はじめ】そうなんだ。僕も一人だとビビるときはあるなぁ


【メリーさん】はじめさん、この映画気になりませんか?


【メリーさん】(画像データ添付)


【はじめ】ハリウッドはなこじゃん!(笑)


【メリーさん】知ってるんですか!?気になりませんか!?もし、よろしければ、ハロウィンなので大分先の話ですが、一緒に行きませんか?


【はじめ】パンどろぼうのコスプレして観に行きたいよね。でも、この映画は観れないんだよ(´;ω;`)ごめん


【メリーさん】(羊が泣いてるスタンプ)


【はじめ】はなこが映画に行けないからさ、ネットで配信されたら一緒に見ようと思って。それまでは取っておきたいんだよね


【メリーさん】はじめさんは、本当にお優しい方ですね


【はじめ】そんなことないよ!ハリウッド版だから特別なだけ(笑)あいつ、彼氏いるし


【メリーさん】あっ、そうなんですね!!彼氏さんが、いらっしゃるんですね!!!!


【はじめ】うん!だからハリウッド便器は見れないけど、ほかの映画なら見れるよ!


【メリーさん】嬉しいです。ぜひ、行きましょうね♪


【はじめ】何が見たい?


【メリーさん】ホラーですと、近日中でしたら『テディベアの初恋物語』があります。あと、恋愛でしたら『ノロイ〜壊れる事の死合わせ〜』がありますね


【はじめ】タイトルがおかしいだろ!ジャンルとタイトルが噛み合わなすぎだよ!それがトレンドなの?!


【メリーさん】ごめんなさい。調べたら間違いでした


【はじめ】そうだよね、ちぐはぐすぎだもんね(笑)


【メリーさん】『ノロイ』は恋愛といっても、百合の方だったみたいです。R18って書いてあります


【はじめ】そっちの間違え!?……あと、それはやめよう。僕と見る映画じゃないと思う


【メリーさん】そうなんですか?では、テディベアにしますか?


【はじめ】そうしよっか!メリーさん、初めてのホラーに挑戦ってことで!


【メリーさん】やったぁ♪楽しみでたくさん電話しちゃうかもです!


【はじめ】そういえば、そんな概念体系を持ち合わせてたね。忘れてた。じゃあ、予定を合わせて行こうね!!


【メリーさん】(ハートがジタバタしてるスタンプ)


【メリーさん】私は365日空いてるので、いつでも連絡待ってますね♪なので、無理なさらないで下さい


【はじめ】ありがと!また連絡するね!


【メリーさん】はい。お待ちしてます!たくさん会いたいです!


【はじめ】僕もだよ(笑)


【メリーさん】でわでわ♪


【はじめ】(電話が踊ってるスタンプ)

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