「影に咲く花」第95話 ブロック5
春日シオリは瞳を大きく見開き、妹が自らの元へと戻ってくる姿を目にしながら、胸の中で交錯する感情の渦を感じていた。
角の暗がりがゲストたちの視線からわずかに守ってくれる姉の傍らに辿り着くと、シオリは妹を頭からつま先までまじまじと観察しながら、悪戯っぽい笑みを浮かべて頭を傾けた。
カスガ・シオリ:「――熟したトマトみたいに真っ赤になって帰ってきたわね……まさか、恋に落ちちゃったの?」
シオリは妹の肩を優しく小突くようにしながら、悪戯っぽく尋ねた。
サユリは頬の熱が一層増していくのを感じながら、深みのある青い瞳でなんとか冷静さを取り戻そうと、黄色のドレスの折り目へと視線を逸らした。
カスガ・サユリ:「――嘘はつかないわ。すごくハンサムな人だった……でも、そこまで大袈裟なものじゃないわよ」
声では無関心を装おうとしていたが、胸の奥底では奇妙な感覚が渦巻いていた。温かく見知らぬ感情が内部で燃え上がり、一つの不穏な疑問が彼女の思考を乱していた――私は本当に、一目惚れをしてしまったのだろうか?
シオリは妹の顔に浮かぶ明らかな矛盾を目にして、青いドレスの袖の下で腕を組みながら、軽やかな笑い声を漏らした。
カスガ・シオリ:「――でもダンス中のサユリ、すご~く楽しそうだったわよ、妹ちゃん……ふふふっ」
シオリの澄んだ笑い声はサユリを困惑させるに十分であり、彼女をさらに赤面させ、肩をすくめさせた。
カスガ・サユリ:「――もうやめてよ、シオリ……たしかにそうかもしれないけれど、今はその話はしないで、お願いだから」
恥ずかしさのあまり、サユリは顔の半分を両手で覆いながら哀願した。
シオリは手首を上下に動かして参ったというような面白がった仕草を見せ、唇にはまだ悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
カスガ・シオリ:「――分かったわ、分かったわよ。もうからかわないから」
サユリは手を降ろし、姉の隣の椅子に腰掛けた。少年が自分を抱き止めたあの感触を頭から払いのけることができず、サロンの床に視線を彷徨わせながら、消え入りそうな声で独りごちた。
カスガ・サユリ:「――でも……本当に素敵な人だったわ」
遠くの喧騒にもかかわらず耳の早いシオリは、その呟きを聞き逃さず、困惑混じりに目を細めて彼女を見つめた。
カスガ・シオリ:「――何か言った?」
サユリは跳ね起きるように座り直し、再びパニックに襲われながら不器用に手を振った。
カスガ・サユリ:「――えっ? ええっ? なんでもないわ、気にしないで、何も言ってないから!」
姉の視線を受け止める勇気がなく、サユリは再び正面へと顔を向けた。離れた場所、銀の器が並ぶテーブルの近くでは、ジュリアン・ヴァンスが他の高位貴族の子供たちと苺を味わいながら、ごく自然に会話を交わしていた。自分が春日家の未来の当主の心にどれほどの波紋を投げかけたのか、彼は知る由もなかった。
数時間後。
しばらくして、夜会は終わりを迎えた。春日家の馬車は、バレロストラ国の首都イグニスの暗く石畳の敷かれた通りを、重々しいガタゴトという音を立てて進んでいた。屋外では、立ち込める霧の中に街のシルエットが霞んでいた。やつれた平民、店をたたむパン屋、そしてボロ布を纏った乞食たちが、冷たい夜を生き延びようとしていた。
馬車の内部、二人の姉妹の真正面には両親が座っていた。春日家の家長である男は、苦々しい深いシワの刻まれた青い髪と瞳を持ち、顔の前に広げた新聞を保持していた。その表情は氷の彫像のようであり、威圧的で冷淡な権威を放っていた。その隣では妻――少女たちの母親であるピンクのショートヘアと同色の瞳を持つ女――が、ポケット鏡を偏執的に見つめながら、せわしなく化粧を直していた。彼女の瞳には完全な空虚と深い倦怠が宿り、白粉とクリームで時間と近親相姦の痕跡であるシワを誤魔化そうとしていた。
印刷された紙面から目を離すことなく、父親は乾いた声で沈黙を破った。
カスガ家家長:「――サユリ……今日はヴァンス家の跡取りと楽しんでいたようだな」
サユリは膝の上で指を組み、深みのある青い瞳を数回まばたきさせてから、慎重に答えた。
カスガ・サユリ:「――ええ……はい、お父様。楽しかったですが、それ以上のことではありません」
男は新聞をわずかに下げる、次女へと冷徹な視線を刺し通した。
カスガ家家長:「――そうか? ならば、あの男と結婚できるよう全ての手配を整えるとしよう。お前は十二歳だ。三年後には正式に婚姻を結ぶことができる。ヴァンス家と政治的同盟を公式化するため、ただちに話し合いを進める」
背筋を悪寒が駆け抜けた。サユリは一瞬でパニックに飲み込まれた。自分の人生、未来、そして心を、大人たちの権力や都合、利益のために競売にかけられたくはなかった。彼女の絶望は即座に表に現れた。黄色のドレスの布地を強い力で握りしめ、自分を守るためにどうにか運命を逸らそうと試みた。
カスガ・サユリ:「――お許しください、お父様……! ですが……長女であるシオリが先ではないのですか? プロトコルに従えば、長女が最初に結婚すべきはずです」
サユリは呼吸を乱しながら訴えた。青いドレスを着て妹の隣に座っていたシオリは、突然自分の名前が挙がったことに目を丸くした。妹の困惑を見て取り、自らの無能さという重荷を背負いながら、シオリは手先をわずかに震わせつつも力強い声で介入した。
カスガ・シオリ:「――お父様……お父様が望まれるのであれば、私が彼と結婚いたします。何の問題もございません」
家長は新聞を完全に下ろした。その顔は一層険しくなり、走行する馬車の中に冷たい雷鳴のような声が響き渡った。
カスガ家家長:「――それはない。我々は春日だ。我が一族の血統は火の力に直結している。一族の者は全員が完璧に炎を扱い、高貴なる先祖たちは炎を極めた剣士であった。炎を使えず、単なる治癒魔法に甘んじる欠陥品の一族の長とすることなど、断じて認めん」
一語一語がシオリの胸を切り裂く刃となって突き刺さった。魂の痛みは即座に訪れた。破壊的な炎の力を崇拝する一族において、自分は生ける「障害」に過ぎず、周囲が栄光に燃え上がる中で傷を癒すという屈辱的な役割に甘んじていることを、その残酷な劣等感は毎日彼女に突きつけていた。
サユリは重苦しい空気を感じ取り、姉のために涙を飲み込みながら、絶望を込めて再び声を上げた。
カスガ・サユリ:「――ですがお父様、せめて私に……自分の伴侶を選ぶ許可をください……!」
父親は哀れみの視線すら向けなかった。再び新聞を目元へと掲げ直し、容赦なく言い渡した。
カスガ家家長:「――ならん。言うまでもなく、相手は私が選ぶ。我が一族の血統にどこの馬骨とも知れぬ者を混ぜるわけにはいかんのだ。私を見ろ……私はお前の母親である実の妹と結婚し、お前たち二人を成した。近親相姦であっても関係ない。それが我が血統の純潔と力を保つ唯一の方法だったのだからな。私に男の市がいればお前をその者と結婚させたのだが、生憎とおらん。ゆえに、力と影響力を持つ者とお前を結婚させる。分かったか?」
馬車内は死のような沈黙に包まれ、首都の泥を踏みつける車輪の単調な音だけが響いていた。サユリはゆっくりと首を垂れ、破滅した心で馬車の木の床を見つめ、この腐敗した世界では服従こそが逃れられぬ絞首刑であることを理解した。消え入りそうな小さな声で、運命に諦念しながら呟いた。
カスガ・サユリ:「――はい、お父様……」
馬車の揺れは、重々しく不気味な春日家の邸宅の門前でついに止まった。枯れた蔦に蝕まれ、イグニスの永続的な霧に包まれた暗い石壁は、静かな牢獄のようにそびえ立っていた。
金属音を立てて門が開いた。家長と妻が先に降り、硬く冷淡な足取りで進み、二人の姉妹をまるで運搬された単なる所有物であるかのように置き去りにした。
カスガ・サユリとカスガ・シオリは無言で降りた。両親と一言も交わすことなく敷居を跨ぎ、それぞれの部屋へと続く石造りの廊下を歩いた。一歩一歩の足音が誰もいない廊下に空虚に響き渡り、その家に支配する完全な空虚を映し出していた。
自室に入ると、サユリは背後で重い扉を閉めた。部屋の冷気が古い知人のように彼女を迎えた。不器用に鮮やかな黄色のドレスを脱ぎ捨て、プロトコルの重みが一瞬だけ肩から去っていくのを感じた。ベッドの端に身を投げ出し、シーツの折り目に視線を彷徨わせながら、ジュリアン・ヴァンスの顔と声が脳裏に侵入するように蘇ってきた。
(どうして私だけが、こんなもの全てを背負わなければならないの……?)
サユリは小さな手でシーツをきつく握りしめながら、苦々しく思った。
(私だって、自分の人生を選びたい。後ろを振り向かずに草原を走り抜けたい、誰を愛するか……あるいは一人でいたいのかさえ、自分自身で決めたい。どうして私の運命は、両親の腐りきった血によって既に決められているの……?)
あの舞踏会で、彼が自分を完璧で魅力的な精度で抱き止めた記憶が、胸を締め付けた。彼が非常に魅力的であることに疑いの余地はなかった。その氷のような優雅さにはある種の禁断の魅力があり、彼の黄金の瞳を思い出すたびに胸が騒ぐのを否定することはできなかった。しかしサユリにとって、それは愛ではなかった。それは恐怖と混ざり合った魅惑であり、黄金の籠に捕らわれた幼い好奇心の火花に過ぎなかった。
それらの思考を払いのけるように頭を振り、彼女は冷たい枕を抱きしめながらベッドの上で横になり、精神的な疲労が彼女を不安な眠りへと引きずり込むまでじっとしていた。
こうして、退廃的なバレロストラの時間はそれ自体を食い尽くし始めた。日々は数週間となり、数週間は単調で灰色の数ヶ月へと変わっていった。
貴族社会の要求と両親の絶対的な取り決めの下、サユリはジュリアン・ヴァンスと公式なデートを重ねるようになった。それは公爵領の法律と同じくらい構造化され、厳格な求婚であった。彼らは警護されたティーサロンで会い、首都の冬の庭園を散策し、あるいは両家が本当は必要としていない衣類を購入するために高級ブティックへと足を運んだ。
会うたびに、サユリは青年の新たな一面を発見した。ジュリアンは教養があり、計算高く、あらゆる言葉や仕草において隙がなかった。彼は貴族政治のドブ川を完全に理解する鋭利な頭脳を持っていた。サユリは彼と過ごす時間を好み、彼の知的な会話や、まるで崇拝するかのような丁寧な扱いを楽しんでいた。彼女は彼に心から微笑み、頬の熱が自らの中に真の愛着が芽生えつつあることを示すことも一度や二度ではなかった。しかし、彼女の心はそれを愛と呼ぶことに抗い続けた。この関係が自らの選択による甘美なロマンスではなく、権力に執着する二つの血統の利益によって油を注がれた機械であることを、彼女は完璧に理解していた。自分は指定されたマスへと進むチェスの駒であり、ゲームの相手がどれほどハンサムで魅力的であっても、盤面そのものが致命的な罠であることに変わりはなかった。
一方、邸宅の廊下の影では、シオリの世界は感情的な生存のための絶え間ない試練となっていた。
丸一年が経過したが、シオリは妹の傍らから一時たりとも離れなかった。サユリが思索にふけるような視線でジュリアンとのデートから戻ってくるたび、シオリは彼女の話に耳を傾け、その長いピンクの髪を梳かし、嵐の夜には彼女を抱きしめ、自分たちを消費していく世界の中で彼女に安心感を与えた。シオリは妹にとっての揺るぎない支柱となろうと努め、あらゆる決断において彼女を支え、小さな喜びを祝い、両親の軽蔑から彼女を庇った。
しかし内部では、シオリは深く傷ついていた。
誰もシオリを抱きしめてはくれなかった。妹が政治的なトロフィーとして差し出されるのを見て彼女がどう感じているか、誰も尋ねてはくれなかった。一族全員が先祖代々の炎を誇り高く操る中で、自分は生ける「障害」であり、傷を癒すという屈屈たる魔法に追いやられていると思い知らされる、恐ろしい劣等感の絶え間ない痛みを誰も理解してはくれなかった。サユリが光を浴び、エリートたちから求愛される一方で、シオリは静かに血を流し、自らの無価値さという目に見えない重荷を背負っていた。誰も彼女をケアしてはくれなかったのだ。
時は容赦なく進み、二人の人生における転換点を刻んだ。シオリは十四歳になり、サユリは十三歳となった。期限が満了し、サユリがヴァンス家へと嫁ぐまで、ちょうどあと二年となった。
並行して、二人はイグニスの権威ある魔法アカデミーへと入学した。そこは公爵領に仕える生ける兵器として、大貴族の若き継承者たちを鍛え上げるための機関であった。そこでは、姉妹の間の格差がシオリにとってさらに耐え難いものとなった。サユリがその血統と将来性から好奇心と尊敬の目で見られる一方で、シオリは実技の授業で疎外され、一筋の火花すら起こすことができず、他の生徒たちがサディスティックな容易さで標的を焼き尽くす中で、治療陣の描かれた円の中に留まることを余儀なくされた。
サユリは貴族たちの嘲笑と姉との間に割って入り、彼女を守ろうと試みたが、サユリの見せるあらゆる保護の仕草は、シオリにとって深い姉妹愛と、自らの弱さの痛烈なリマインダーという甘苦い混ざり合いを生むだけであった。
そして、アカデミーの訓練場における、ある一見冷ややかな午後の授業中、予期せぬ出来事が現実の縫い目を引き裂いた。彼女たちが知っていた世界は、どれほど腐敗し抑圧的であれ、二度と戻ることのできない深淵へと二人を引きずり込みながら、永遠に変わろうとしていたのだった。




