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デュアルリバース 転生. (Dual Rebirth)   作者: 善悪 亮 (Ryo Zenaku)
「春日血統の影」ブロック5
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「記憶と灰の海」第93話 ブロック5


時間の流れが、空気中の微かなクリック音と共に突如として再開した。お茶のカップから立ち上る湯気は再び上昇軌道を取り戻し、浮遊していた塵の粒は部屋を横切る黄金色の光の束の中で再び踊り始め、ろうそくの揺らめきが再び息を吹き返した。磁器に映る暗い液体を見つめながら、リョウは歴史的啓示の余韻を帯びた重いため息を吐き出した。


リョウ:「『アルス・ゲティア』はそのページに記録された二百の悪魔のうち一柱を呼び出すことができる呪われた書物だ。正確な印章、図形、そして正確な召喚の儀式が記されている。だが……」


パンドラは服の折り目を肩の上で整えながらわずかに身を乗り出し、闇の魔法の実践的な意味合いを分析しながら、氷のような正確さでその思考の糸を紡いだ。


パンドラ:「その召喚は、どんな凡人でも軽々しく成し遂げられるようなものではないわ。極めて複雑で、異常な規模の生贄と、深淵の法則に関するほぼ百科事典並みの知識を必要とするの」


リョウは緩やかに頷き、戦術家としての頭脳で問題の変数を分解しながら、お茶の静止した表面に視線を固定し続けた。ゆっくりとした動作で指の間にカップを持ち上げ、上質な陶器越しに放射される熱を感じ取ってから、一口もつけることなく再び木の上に置いた。


リョウ:「そうだ。簡単に召喚できるものじゃない。それに『プリンシパリティ』を呼び出す時、鉄の意志と精神力がなければ、悪魔にあっという間に憑依され、自我を破壊されて涎を垂らすだけの抜け殻にされるか、あるいは単に召喚者の命令を完全に拒絶され、その場で食い殺されるのがオチだ。だが……もし深淵の理すらねじ伏せるほどの怪物じみた意志と膨大な自我を持っているならば、支配の力によって悪魔を強制的に服従させ、自分の望み通りに動かすことができる」


主君の言葉の一つひとつを厳格な沈黙の中で処理していたオロバスは、背中に手を組んだまま一歩前に踏み出し、冥界以外の空間におけるそのような存在の物理的限界についての直接的な知見を付け加えた。


オロバス:「そして、万が一誰かが一柱を召喚し、その軛の下に屈服させることに成功したとしても、彼らを物質界に長期間留め置くことは至難の業であり、極めて困難です。莫大な糧を必要としますからな。魔法の凝集性を保ち、深淵へと霧散するのを防ぐためには、絶え間ない人間の魂と生命力の供給を捧げ続けねばなりません。悲劇的な代償を払うことなく無期限に使い続けられる道具ではないのです」


その瞬間、重く凍てつくような沈黙が再び別荘のメインルームを支配した。リョウはこめかみに手をやり、分析的な焦燥感を滲ませながら指先で軽く皮膚を擦った。彼の頭脳は途方もない速度で回転し、理論を捨て去り、歴史的データを交差し、ヴィレリアでの発見と自らの宇宙を支配する根本的な宇宙論の法則とを連結させていた。冷徹で避けられない一つの結論が彼の知性の奥底で形作り始め、彼の唇を細い一文字に結ばせた。


リョウ:「『アルス・ゲティア』は地球にしか存在しない……この世界にあの呪われた魔導書の物理的なボリュームが存在する唯一の論理的な理由は……」


主君の精神波長に完全に同調していたパンドラは、彼が声に出して完成させる前にその前提の結末を予見した。彼女の瞳は陰惨な愉悦と計算された警戒心を混ぜ合わせた光で輝いた。


パンドラ:「誰かが『プリンシパリティ』とその最も深い秘密の一部を知っているということね。彼らの存在を知っているだけでなく、正確な製造方法と、マラカイ・クロウエルの不徳を現実のこちら側で複製する方法を理解している誰かが」


脅威の確定に対し、リョウは即座に反応した。流れるような迷いのない動作でソファーから立ち上がると、漆黒の浴衣と深紅の羽織が彼の周囲でエレガントに揺れた。高いポニーテールが軽く揺れ、彼の鋭い異色瞳が従者の悪魔へと突き刺さる。


リョウ:「オロバス。お前は引き続き俺の両親を近くで監視し、周囲にセキュリティの漏洩がないか確認しろ。それと仕立て屋の件でイッセイの残務を手伝い続けろ。俺はこの『アルス・ゲティア』に関連するあらゆるものを個人的に調査し、狩る。分かったな?」


命令の重みと、主君がこの件に置いている絶対的な優先度を理解したオロバスは、力強く一歩下がり、完全な服従の姿勢をとった。リョウの前に隙のない、礼儀正しく武人的な辞儀を捧げ、盲目的な服従の証として視線を低く保った。


オロバス:「仰せのままに、主様。御意は絶対でございます」


リョウは素っ気なく、承認の意を示すように顎を引いた。


オロバスはエレガントに背筋を伸ばし、旅立つ前に最後の言葉を口にする前に敬意に満ちた笑みを浮かべた。


オロバス:「再びお目にかかれて誠に光栄でございました、主様。それでは、これにて失礼いたします」


オロバスは立ち去ろうとしたが立ち止まり、再び振り返ってリョウへと近づいた。


オロバス:「ところで主様、お母上様がご懐妊されておりますので、主様にはご兄弟ができることになります。現在、お二人はいの一番の町で足を止められており、そこから動いておりません」


リョウは驚くことも、喜ぶこともなかった。その表情は相変わらず冷たく、静かで、退屈そうなままだった。


リョウ:「……そうか。教えてくれて助かる。何かあれば報告しろ」


オロバス:「畏まりました、主様」


それ以上一音も発することなく、悪魔は不自然なまでの優雅さで身を翻した。そのシルエットは扉の敷居でわずかに輪郭を失い、廊下の影へと溶け込むように姿を消した。別荘は再び朝の静寂に包み込まれる。


リョウは赤の羽織の広い袖の下で腕を組み、閉ざされた扉を見つめてたたずんでいた。隣ではパンドラが座ったまま、お茶のカップから立ち上る残り香の煙を見つめていた。


オロバスが去った後、部屋の静けさはさらに密度を増した。パンドラは磁器のカップから目を上げ、少し首を傾げて主君の姿を見つめた。その硬直したラインは、受け取ったばかりの啓示の重みを物語っていた。


パンドラ:「どうするつもり、リョウ?」


リョウは気だるそうに息を吐き出し、圧倒的な疲労の波の下で戦略の緊張感が一時的に消え去るにつれて、肩の力を抜いた。


リョウ:「今は何もしない。まだ眠くてたまらないから、もうしばらくベッドに戻る……昼食はお前に頼むよ」


パンドラは穏やかな、静寂の中でどこか母性的な笑みを浮かべ、頷いた。


パンドラ:「分かったわ、リョウ。休んで」


それ以上一言も交わすことなく、リョウは身を翻し、きしむ木造の廊下を歩いて自室へと入った。背後で扉を閉じると、鈍い音が聞こえ、外部から完全に遮断された。彼はすぐに木枠の冷たい背もたれに体重を預け、右手をゆっくりと持ち上げて顔の右半分を覆い、青い目の瞼を優しく押さえた。


まさにその瞬間、眼窩の内側から脈打つような、リズムを持った不自然な鼓動が響いた。リョウは完全に身動きを止め、頭蓋骨の神経を通り抜ける目に見えない圧力を感じながら息を殺した。鼓動が収まり、彼が指を離すと、薄暗い部屋の中に異色瞳の輝きが露わになった。左の紅蓮と右の深い青が対比をなしかき乱し、部屋の光を飲み込むような静的な輝きを放つ。


彼の視線は重々しく自らの左手へと落ちた。薬指には彼が常に身につけている指輪があり、その青みがかった宝石の真ん中で、極小の赤い点が明滅していた。石そのものが光の脈動を放っている。


ゆっくりとした、どこかためらうような動作で、リョウは指輪を皮膚から滑り出させた。冷たい金属が指から離れ、一時的に素肌を晒すと、彼はベッドへと歩み寄り、羽毛のマットレスの上に仰向けに倒れ込んだ。


木製の天井が細長い影を落としていた。リョウは指輪を目元にかかげ、顔から数センチの高さに掲げた。息遣いは穏やかだったが、瞼はまるで一回まばたきするごとに目に見えない瓦礫を何トンも引きずらなければならないかのように重かった。疲労は身体的なものではなく、疲れ切った魂の摩耗であり、年月が彼の肩に重くのしかかっていた。指の間に指輪を保持し、青い水晶の中に浮遊する赤点に視線を彷徨わせながら、リョウの唇がかすかに開かれ、シーツの空虚に向かって壊れた囁きを漏らした。


リョウ:「……我が目には、そなたは大きく評価されているからだ……俺はそなたを愛している。そなたのために、そなたの命のために、俺は我が命を捧げよう……人々も、国々も……」


長い沈黙が声の余韻を飲み込んだ。部屋の静寂は重く立ち込め、リョウの胸の上に鉛の板のようにのしかかった。言葉は冷たい空気中に漂い、いかなる返答も受けることなく、無の中に消えていった。


リョウ:「大嘘つきめ……教えてくれ、教えてくれよ、ベイビー……残りたいのか、それとも行くのか。はっきり言ってくれ……最初の時のように感じられないなら……終わらせる代わりに、もう一度やり直そう……すまない」


最後の一語は、かすかな空気の糸となって途切れた。


機械的で、遅く、諦めたような動作で、リョウは再び指輪を左手の薬指にはめ込み、正確な位置へと収めた。マットレスの上で腕を弛ませ、指を完全にリラックスさせると、両目を閉じ、過去の幽霊は常に家賃を取り立てる術を知っているという静かな確信と共に、眠りに身を委ねた。


眠りの重みは突如として吹き飛んだが、その転移は別荘の木のきしみやユーフラテスの朝の冷気によるものではなかった。身体の下の感触が完全に変わっていた。もはや羽毛のマットレスの上ではなく、柔らかく、粒の細かい、温かい砂の上に横たわっていた。


リョウは目を開けた。果てしない海岸の細かな砂の上に仰向けになっていた。頭上には清らかで、透き通り、完璧な青空が広がり、焦がすことなく、現実離れした温もりで周囲を包み込む眩しい太陽が支配していた。空気には潮の香りが満ち、唯一の連れとして、海岸に打ち寄せる波の規則正しく、絶え間なく、永遠に続くリズムだけが聞こえていた。


彼はゆっくりと体を起こした。そうすると、自分の服装が劇的に変化していることに気づいた。もはや漆黒の浴衣も深紅の羽織も着ていない。代わりに、ゆったりとしたデザインで、腰まで届き、広い袖が軽やかに垂れ下がる純白のTシャツを着ており、同じく雪のような白さのハーフパンツを穿いていた。布地と光の境界線がほとんど判別できないほど眩しい。彼は裸足だった。黒髪はもはや高いポニーテールにまとめられておらず、煤のように濃く暗い束が、背中から太ももの半ばまで重々しく垂れ下がり、前髪の帳が再び彼の顔と目を覆っていた。薬指の指輪はそのままだったが、ピアスは消えていた。


目の前には無限の青い海が広がり、自然の理を逸脱するほどの絶対的な静けさ、時間の中に停止した穏やかな沈黙が横たわっていた。


暖かく、無限の忍耐と微かな愛着を孕んだ声が、突然彼の背後から聞こえた。


「――お久しぶりですね。海は相変わらず美しいままだ」


リョウはゆっくりと顔を向けた。その表情には驚きも動揺の影もなく、まるでその光景のあり得なさがこの場所における唯一の論理的ルールであるかのように、無表情で静止していた。彼の前には人影が立っていたが、そのシルエットと顔は光の霧に覆われ、特徴や体を判別することはできなかった。しかし、その存在感は圧倒的な懐かしさを放っていた。


リョウ:「……ここにいるってことは、そろ


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