「隠された意図」第77話 ブロック4
市議会の第一議席を握り、王族との直接交渉権をも有し、さらには都市の牢獄と拘束権に対する全権的な司法管轄権まで掌握している。
まさにその過剰なまでの権力の集中ゆえに、リョウは彼をユーフラテス市においてもっとも汚職に染まりやすい人物の一人と特定していた。徳川は世俗の快楽に溺れる男だった。九人の子供に五人の側女、そして底知れぬ強欲さを抱えている。彼にとって金こそが真の妻であり、十分な報酬さえ提示されれば、忠誠など簡単に売り飛ばし、どんな残虐な所業すら平然とやり遂げる人間のクズだった。
徳川は自分のテーブルへと戻ると、重い足取りで椅子にドシリと身を投げ出し、ふんと荒い鼻息を漏らした。その隣では、同じ軍の制服を纏いながらも、胸元には一対ではなく一羽だけの翼の勲章を付けた男が、髪を完全に隠す軍帽の位置を直していた。細目が完全に釣り上がり、常に穏やかな笑みを貼り付けた狐のような男が、柔らかく、それでいて切れ味の鋭いトーンで徳川に話しかける。
男:「徳川様……本当にあの小僧を自分の陣営に引き入れるおつもりですか? もし右腕に据えるおつもりでしたら、まずは徹底的に服従のしつけを叩き込み、手懐けなければなりませんが」
ナレーター:「本多正信。彼は中佐の階級を持ち、ユーフラテス市駐屯地の副司令官として、街の軍事機構における実質的なナンバー二に君臨する男だった。徳川とは対照的に、本多は土地も名も持たない平民の出である。だが、計算し尽くされた冷徹な知性、完璧な用兵戦略、そして戦場での恐るべき戦闘力を武器に、自らの実力だけで軍の階級を駆け上がり、司令官の頭脳にして手足となる実務の最高責任者の地位へと登り詰めたのだ。
徳川が贅沢と政治工作に溺れている間、本多こそが軍の裏で糸を引く真のロジスティクスの頭脳であった。軍勢の展開、兵舎の規律、戦術的な摘発作戦、そして街中に張り巡らされた情報網のすべてを彼は掌握している。その階級は下位の兵士たちの生殺与奪の権を彼に与え、城壁内外の治安管理のすべてをその掌中で動かしていた。
徳川は、目の前の候補者たちから視線を外さぬまま、本多に答えた。
徳川:「心配するな、お前の席を奪うつもりはない。むしろ、俺の左腕としてもう一人置いておくのも悪くないさ。手下は何人いようと困らんからな。それに、あの気の強さはなかなか見所がありそうだ」
徳川はそれ以上何も言わず、グラスに酒をなみなみと注いで一気に煽った。本多もそれ以上反論せず、軍帽のつばを軽く整えながら、あの不敵な狐の笑みを崩さないまま、二人揃って再び候補者たちへと視線を戻した。
その頃、裏庭の中央では、カルラ修道女が場の主導権を取り戻すべく一歩前へ歩み出し、気品に満ちた声を響かせた。
カルラ修道女:「それでは――一人の若者の選抜が決定いたしました。まだ三名の卓越した候補者たちが残っております。次に、この者たちの資質を見極め、選ばれる方はどなたでしょうか?」
その時、右側の特等席のあたりから、凛として透き通るような、それでいて底知れぬ冷たさを帯びた美しい女性の声が響き渡った。
メイド:「次なる選抜、私が務めさせていただきます」
その場にいた全員が、一斉に声の方向へと首を巡らせた。メインの特等席のテーブルの傍らに佇んでいたのは、一寸の隙もなく完璧に仕立てられた上質なメイド服を纏った一人の女性だった。彼女は背筋をピンと伸ばした美しい直立姿勢を保ち、その冷ややかで鋭い眼光を、リュウ、アカリ、そしてサムの三人に真っ直ぐに突き付けていた。




