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エル・マエストロ・ゲンクロ・クロガネ」 第73話 第4章

別の場所にて――。


【位置:スネーク村、スネークギルド本部】

ユーフラテスから南西へ約900km――座標:南緯22度10分、東経28度45分。


スネークギルドの本部にて、地元のギルドマスターであるホセが私室の家具に腰掛け、まるで目の前に誰かがいるかのように前方をじっと見つめていた。実際、彼の目の前には一人の人物が座っていた。


屋根の影が二人をすっぽりと包み込むその中央には木製のテーブルが置かれ、熱の入ったチェスの対局が繰り広げられていた。すでに何個もの駒が動かされ、いくつものコマが盤外へと弾き出されていた。その静寂を破り、ホセが口を開いた。


ホセ:「君が会いに来ると思っていたよ。状況の細部を置いていき、私に報告書を求めているのだろう……違うかい、兄弟?」


男を覆っていた影がゆっくりと晴れ、その顔立ちが露わになった。ホセよりも少し年上で、四十代から五十代の男だった。首の中ほどまで伸びた豊かな白髪の髭と無精ひげを生やし、頬骨まで届くほど濃く長い白眉が特徴だった。ホセと同様に、頭部は完全にスキンヘッドだった。


その眼差しは、長年率いて戦い抜いてきたベテラン特有のものだった。穏やかで知的ながらも、漆黒の瞳の奥には鋭く圧倒的な威圧感が宿っている。成熟した見た目とは裏腹に、その体格は非常に筋肉質で、幅広の肩と直立不動の頑健でドミナントな姿勢を保っていた。軽装に身を包み、タイトな黒シャツの上からペールパープルの羽織を羽織り、ゆったりとした茶色のハーレムパンツと、足の大部分を露出させる剣闘士風の革紐サンダルを合わせていた。


男:「その通りだ。しばらく会っていなかったが、報告を聞くために来た。聞いたところによると、お前はすでに王国で駒を動かし、あの脅威に対処し始めているな……ああ、私も今まさに同じことを始めているところだ。教えてくれ、兄弟……もう計画はあるのか?」


男の声は知的で重厚、かつ柔らかく穏やかでありながら、二人の血の繋がりをはっきりと示す親密な響きを帯びていた。


ホセ:「スネークギルドのグランドマスターが私の計画を聞きに来るとはね……普段は地元のギルドマスターにあまり干渉しない君が、最近はやけに積極的じゃないか、兄弟。質問に答えよう:あぁ、計画はある。少し話して聞かせよう」


男:「ふむ……君のことだ、市長の問題に対処するために冒険者をユーフラテスへ送り込んだのだろう? ベテランの冒険者を派遣したはずだ」


ホセ:「相変わらず見事な洞察力だな、ゲンクロ・クロガネ(黒金源九郎)……だが一つだけ間違いがある。ベテランの冒険者じゃない。子供たちを送ったんだ」


ゲンクロは眉をひそめ、兄弟の言葉に露骨な戸惑いを隠さなかった。


ゲンクロ:「おいおい、年をとって頭がやられたのか、兄弟。そんなガキどもに任せたら任務は完全に台無しだ、お前の計画も水の泡になり、最悪の場合は巻き添え被害が出るぞ」


ゲンクロは手を伸ばし、お馴染みのL字の軌道を描いてナイトを前上方へ跳ね上げ、右を向かせて着地させた。


ホセ:「私の説明を最後まで聞きなさい、兄弟。最初は私も君と同じように考えていた。だがな、あの街を本来の意味で解放したのは、他ならぬその少年なのだ。何か起きていると察知した私は動こうと企み、操られているふりをしていた。だが、その少年が私の先を行き、事態を解決してしまった。どうやったのかは教えてくれなかったが、綿密な計画があったようだ。だから私は、彼と仲間たちに任務を委ねた。非常に知的で戦略的な人間だ。その冷徹な眼差しは、我々以上の成熟さを映し出している。私は彼を信じている」


ホセは斜め右前へポーンを進め、ゲンクロのナイトを鮮やかに捕らえた。


ゲンクロ:「そうか……お前がそこまで言うなら、真実なのだろう。兄弟の口から出た言葉でなければ疑うところだが……お前のやり方を知らなければ、たとえ結果オーライでも信用するのは骨が折れるな」


ゲンクロはポーンを左へ動かし、自分のナイトを取ったホセのポーンをすかさず取り返した。


ホセ:「見ていなさい、任務はうまくいく。いつか君も彼と出会うことになるかもしれない。で、君の方はどうなのだ? すでに計画は動き始めている……彼に対してどうするつもりだ?」


ホセはルークを前方へ二マス進め、ゲンクロのビショップを挟撃して奪い去った。


ゲンクロ:「あぁ……王国における調査も、悪魔を巡る動向についてもすでに動き出している。だが、カゲアキに起きていることだけはどうにも掴みきれん。あいつは……あまりにも有能すぎる。だからこそ、情報を集めるのが困難なのだ」


ゲンクロは左側のもう一つのビショップを取り上げ、斜めに盤面を横切らせて兄弟のルークを撃破した。


ホセ:「君なら何とかできるさ。君の実力を疑うわけではないが……彼に対する君の感情はどうなのだ?」


ホセは別のポーンを動かし、自分のルークを取ったばかりのゲンクロのビショップを消し去った。


チェス盤の上は次第にすっきりと片付いていった。ゲンクロの駒は激減していた。残されたのは3つのポーン、キング、ルーク、そしてナイトが1体ずつのみ。クイーン、もう1体のナイト、そして両ビショップはすでに失われていた。一方のホセは、クイーン、キング、ビショップ、ナイト、ルーク、そして4つのポーンを健在に保っていた。


ゲンクロ:「友を討つために剣を振るわねばならないのなら、万人のために私はそれをやる……たとえ彼を殺すことになろうともな。親しい友をこの手にかける必要があるなら、私がやる。その血で己の手を汚すのは、この私でなければならない。その責任は私にあるのだ。スネークギルドのグランドマスターとして、そして彼の親友としての義務としてな」


ゲンクロは最後のナイトを動かし、自分のビショップを取ったホセのポーンを踏み潰した。


ホセ:「そう言うなら、私には君を信じることしかできないな」


ホセはしっかりとクイーンを掴むと、木製の盤の上を滑らせるように動かし、ゲンクロのキングの真横にピタリと配置した。逃げ道は完全に塞がれ、もはや一歩も動けない。


ホセ:「チェックメイトだ」


ゲンクロは自分の敗北のあまりの滑らかさに驚き、盤面を凝視した。


ゲンクロ:「ふむ……負けだな。言い訳のしようもない。私の負けだ、兄弟」


ホセ:「戦略というものは実に重要なのだよ、兄弟」


◆


別の場所にて――。


リョウは屋外の芝生に寝そべり、黄昏時が空を橙色と紫色のグラデーションに染め上げるのを眺めていた。一日が終わりに近づこうとしていたその時、小屋の木製ドアが軋む音が静寂を破った。中からパンドラが姿を現す。リョウはわずかに首を傾げて彼女を見やった。


パンドラ:「終わりましたよ、リョウ様。中へどうぞ」


リョウはのろのろと起き上がろうともせず、両手を地面につけて上半身を勢いよく押し出すと、忍者じみた跳躍と足のバネを活かして一連の流れるような正確な動きで直立姿勢へと移行した。立ち上がると、そのまま落ち着いた足取りで建物の中へと歩を進めた。


室内の変貌ぶりは劇的だった。薄暗さはどこにもなく、数個灯されたランプの温かな光が室内を満たしていた。ソファは汚れ一つなくピカピカに磨き上げられ、キッチンには埃や蜘蛛の巣の痕跡すらなかった。天井の梁にあった穴も完全にふさがれていた。古びた木材ならではの年季の入った色合いこそ残っていたものの、住居としての機能は完全に再生されていた。


リョウは室内をひと通り見回すと、従者へと視線を向けた。


リョウ:「悪くない。当面ここで過ごすには十分すぎる出来だ」


パンドラはふわりと控えめな笑みを浮かべた。


パンドラ:「気に入っていただけて何よりです、リョウ様。さて、夕食の準備をしなければなりませんね……もっとも、食材が一切ございませんが」


リョウがキッチンスペースに歩み寄り、空っぽの棚をいくつか開けて確認していると、パンドラがすぐさま一歩前に出て申し出た。


パンドラ:「喜んで買い出しに行ってまいりますわ、リョウ様」


リョウ:「あぁ、頼む。野菜、新鮮な肉の塊、パン、そして卵を買ってきてくれ」


パンドラ:「かしこまりました。すぐに戻ります」


リョウ:「ああ、遅くなりと困るからな」


パンドラは敷居を跨いで丁寧に木製の扉を閉め、街へと続く小道へと消えていった。リョウは明るくなった部屋の中央に一人残り、完全に日が沈みゆく静寂の中でその空間を味わっていた。また一日が、こうして終わりを告げようとしていた。


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