第2巻 第3話 「表裏一体の二人」 パート2
二人の方が一人よりも勝っている。彼らはその労苦によって良い報いを得るからである。もし倒れれば、一人がその仲間を起こす。しかし、倒れても起こしてくれる第二の者がいない孤立した者は、わざわいである。
また、二人が一緒に寝れば温かくなるが、一人であればどうして温かくなれようか。もし一人が攻め立てられても、二人ならこれに対抗できる。三つ編みの糸は、簡単には切れない。
リョウはいつもの冷徹な分析眼で彼を観察し、表情には温かみも動揺も一切浮かべなかった。
リョウ:「お前は……誰だ?」
無機質な問いかけを聞き、ケンゾウはガバッと身を起こしてリョウから離れた。俊敏な動きでベッドから降りると、腕を組んで胸を張り、しっかりと整えられたブロック造りの部屋で自分の威厳を見せつけようとした。
ケンゾウ:「俺はケンゾウだ。14歳だぞ。だから、敬意を払って、ちゃんとした言葉遣いで話せ」と、尊大に言い放った。
赤髪の少年が自分に権威を与えようと必死に喋っている間、リョウは彼をシステマチックに無視した。リョウは落ち着いた動作で身を起こすと、毛布を払い除け、裸足で床を擦りながら窓枠へと近づき、外の環境を視察した。十代の少年の抗議には微塵も関心を払わず、抑揚のない声で新たな問いを投げかけた。
リョウ:「ここはどこだ?」
ケンゾウは呆気にとられ、驚きで口を開けたまま固まった。目の前の自分より小さな子供が、孤児院における年齢の序列についての忠告を全く理解していないという事実に、思考が追いつかなかったのだ。頬にじわじわと苛立ちが込み上げてきた。
ケンゾウ:「ここは孤児院だ。おい! 今の話を聞いてたのか? 俺は年上なんだから敬えよ。それに、この部屋では俺が言うことに絶対に従わなきゃいけないんだ!」
リョウは窓ガラス越しに外を眺め続け、教会の壁を囲む手入れの行き届いた緑の芝生を見つめ、逃走経路や地形の配置を評価していた。すぐには答えず、内面で状況の分析を優先させた。
リョウ:(孤児院か……俺が表通りで過労で倒れた時に、村人か隊の長がここに運び込んだんだろう。サムも同じ屋根の下にいるはずだ。今はまだ、無理に動く必要はない)
自分が背を向けられ、まるで存在しないかのように景色を眺め続けるリョウを見て、ケンゾウは怒りで血が沸騰しそうだった。14歳のプライドが、自分より幼く見える子供がこれほど冷静で、自分を軽蔑するような態度を取ることを許せなかった。
ケンゾウ:「おい! 話を聞いてるのか? 話すときは俺を見ろ!」
リョウは窓の外から視線を逸らし、肩越しにわずかに首を回すと、青と赤の瞳を赤髪の少年の憤怒の顔に向けた。返答は短く、的確で、従順さは欠片もなかった。
リョウ:「お前が有益な人間であり、それを実際の行動で証明するなら敬意を払う。だが、お前に従うつもりはない」
ケンゾウは拳を握りしめ、額に青筋を浮かべて一歩前へ踏み出し、完全に理性を失った。
ケンゾウ:「貴様……!」
罵倒を吐き捨てるか、掴みかかろうとしたその時、廊下から聞き覚えのある金属音が響いた。重い鍵束がぶつかり合う音は、誰かの接近を告げていた。誰かが外から扉を開けようとしている。
リョウは音のする方へ全身を向け、耳を澄ませた。錠前の内部機構が次々と解除される音が完璧に聞こえた。まず鉄格子の門のラッチが外れ、その一秒後に厚い緑の木の扉の錠が外れた。
リョウ:「二人」
扉が内側に開いた。現れたのは、サムを担当したあの修道女だった。下の寝室と同じく、完璧に折りたたまれた清潔な着替えを二組抱えていた。灰色の瞳で部屋を見渡し、リョウに視線を固定した。
シスター:「おはよう、若者。着替えを持ってきたわ。でもその前に、汚れを落とすためにシャワーを浴びなさい」
リョウ:「……ああ、わかった」
まさにその瞬間、黒い修道服の背後から、サムが顔を出し、笑顔で緊張を打ち破った。
サム:「よう、リョウ!」
リョウは、旅の仲間が立って以前の状態に戻ったのを見て、わずかにその険しい表情を和らげた。
リョウ:「サム。気分はどうだ?」
サム:「だいぶ良くなったよ。体はまだ無理が祟ってあちこち痛むけどな」
リョウ:「それは良かった」
ケンゾウは部屋の隅で腕を組み、二人を交互に睨みつけながら、不快そうに鼻を鳴らして固まっていた。修道女は赤髪の少年の癇癪を無視し、廊下を指さして二人を促した。
シスター:「さあ、こちらへ」
リョウは出口へ向かって歩き出し、女の背後に続いた。しかし、部屋を離れる直前、シスターは敷居の下で足を止め、ケンゾウに向かって冷ややかな中立さで告げた。
シスター:「ケンゾウ、朝食は後で持ってくるわ。騒がず、課題を済ませなさい」
ケンゾウは顔を背け、顔を見ることすら拒んで投げやりに答えた。
ケンゾウ:「勝手にしろ!」
リョウはそのやり取りを沈黙のうちに観察し、冷たく真剣な眼差しを保っていた。内面では、この村と教会の制限された区画の奇妙な力関係を計算し続けていた。
リョウ:(ふむ……)
修道女、リョウ、そしてサムは寝室を後にした。去り際、女は木の扉を引き寄せ、鉄の格子を下ろすと、鍵束を使って二重に施錠した。その乾いた音が廊下に響き渡り、ケンゾウは部屋に閉じ込められた。
リョウはその厳しい監禁の動作を見届け、結論を胸にしまった。無言のまま、修道女に従ってサムと共に石階段を降り、シャワー室へと向かった。
シャワー室は湿った木の香りが漂う、湯気に包まれた素朴な空間だった。岩や木で作られた壁には金属製の蛇口が並んでいたが、水道システムは慣習とは異なる神秘的な仕掛けになっていた。修道女が壁の蛇口を回したが、水は一滴も出なかった。
シスター:「このシャワーは水のマナストーンと繋がっているわ。蛇口を開けて、自分のマナを流し込むの。そうすれば魔法エネルギーが直結して、すぐに水が出る仕組みよ。終わったら蛇口を閉めれば止まるわ」
リョウとサムは説明を真剣に聞いた。サムは魔法技術に感嘆の声を上げた。
サム:「おお……! すげえシステムだな」
リョウ:「わかった。ありがとう」
修道女は軽く頷くと、湯気で濡れないようにと清潔な着替えをベンチに置いて退室した。
二人きりになると、着替えを始めた。リョウは少しの躊躇いも恥じらいもなく、サムの目の前でボロボロの服を脱ぎ捨てた。一方でサムは即座に狼狽し、激しい恥ずかしさに襲われた。頬を真っ赤に染めて後ずさりした。
サム:「おい、リョウ! 何やってんだよ……ええと、別々か交代で入るべきじゃねえのか?」
リョウはヘテロクロミアの瞳で、動揺する仲間を冷ややかに見つめた。
リョウ:「サム、俺たちは二人とも男だ。こんなことで恥ずかしがる必要はない」
サムは手で顔を覆ったが、指の隙間からリョウの様子を窺った。
サム:「だってよ! 今までの旅で一緒に入ったことなんてなかっただろ!」
リョウ:「まだ子供なんだから、この状況で入るのも珍しくないだろ」
サム:「それはそうだけど……やっぱり変な感じだよ……」
リョウ:「嫌なら外で待ってていいぞ」
サムは一瞬考えた。恥ずかしさはあったが、ここでリョウの揺るぎない態度の前で「ヘタレ」だと思われるのはプライドが許さなかった。顔を真っ赤にしながら、サムも服を脱いだ。
しばらくして、室内は白く濃い湯気で満たされた。リョウとサムは木のベンチに座り、向かい合っていた。リョウがサムの背後に回り、荒い布で背中を洗ってやった。洞窟崩落でついた汗や、泥の塊を丁寧に落としていく。
サム:「……やっぱり、これ変だよ」と、湯気の中でシルエットを隠しながら、恥ずかしそうに呟いた。
リョウは淡々としたリズムで背中を擦りながら、直接的な質問をした。
リョウ:「サム、お前は男と女、どっちが好きだ?」
不意を突かれたサムは、あまりの直球に声を上げた。
サム:「当たり前だろ! 女が好きに決まってる!」
リョウ:「俺もだ。その論理で言えば、恥ずかしがる理由はない。俺たちはただの友達だ」
サムはその論理的な言葉を受け止め、床の湿った木材を見つめながら溜息をついた。
サム:「そうだな……お前の言う通りだ」
話題を変えたくて、サムは足元を流れる温水を見て好奇心に駆られた。
サム:「なあ、リョウ……どうやってお湯にしたんだ? シスターは冷たい水が出るって言ってたのに」
リョウ:「石に火のマナを流し込んだだけだ。マナそのものには決まった属性はないから、その場で顕現させたい属性を込めればいい。火の属性を凝縮させて流せば、蛇口から出る前にお湯になるはずだ」
サム:「えっ? お前、そんなこと事前に知ってたのか?」
リョウ:「いや、知らない。ただその場で思考実験したら成功しただけだ」
サム:「……そうか」
サムは小声で応じた。内心、(憧れ)と劣等感が入り混じる。自分と友人を比べずにはいられなかった。
サム:(リョウは何もかも俺よりずっと上だ……些細なことで恥ずかしがらないし、何でも最初から成功させる。いつか……俺もあいつみたいに強く確信を持てるようになりたい)
リョウの単調な声が、サムの内心を遮った。
リョウ:「終わったぞ。後は自分で流して着替えろ」
サムはリョウが離れる前に、勢いよく振り返った。
サム:「いや、待て! 不公平だろ……俺がお前の背中も洗ってやる。やらせろよ」
リョウは一瞬躊躇い、青と赤の瞳で友人の決意を確かめた。
リョウ:「本当にか? 必要ないぞ」
サム:「いいや、問題ない。じっとしてろ」
リョウ:「わかった」
リョウは背を向けた。しかし、腰まであるリョウの長い黒髪が背中を覆っていた。サムは丁寧に髪を束ねて肩に寄せ、背中を剥き出しにした。サムが濡れた布を動かし始めた。
サム:「なあ、リョウ……お前、髪が長すぎるよ。邪魔だと思わないのか?」
リョウ:「いいや。気に入っている」
サム:「だろうな……。結局、お前のその長い髪は、一番の特徴だしな。それに……炭みたいに真っ黒だ」
リョウ:「ああ、そうだな」
サムは石鹸を背中に滑らせていたが、ふと指先に触れる感触に手を止めた。
サム:「ん……おい、リョウ……あの洞窟でついた傷はどうしたんだ? 跡形もなく綺麗で、肌がスベスベじゃないか」
リョウ:「小さなかすり傷だったからな。一晩休めば完治する」
サムは泡だらけの指を顎に当てて考えた。
サム:「変だな……崩落の時、深くてかなり出血してたように見えたんだが」
リョウ:「パニックでそう見えただけだ」
サム:「……そうか。そうかもな」
洗い終えると、二人は温かいシャワーで泡を流し、大急ぎで渡された服に着替えた。
リョウには、首元が詰まったゆったりとした灰色の長袖シャツと、膝下までのオートミール色のパンツが与えられた。サムの服も同じサイズで、マットグリーンのシャツに、くすんだブルーのパンツという組み合わせだった。
二人が風呂場を出ると、入り口にグラディエーター風の革ブーツが並んでいた。砂漠地帯で使われるような、厳しい地形でも脱げないように設計された、複数のストラップを持つ頑丈なものだ。
リョウは分析的な眼差しでそれを見つめ、足を入れて紐を締めた。
リョウ:「快適だ。歩くのには悪くない」
サムも同様に紐を締め、足を踏み出した。
サム:「本当だ! しっかり掴める!」
履き心地を確認すると、空腹を満たすため、二人は食堂を目指して修道院のメイン通路を歩き出した。




