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デュアルリバース (Dual Rebirth)  作者: 善悪 亮 (Ryo Zenaku)
第1章 第2部:「戦略を組み立てる刻」
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第1巻・第2部 未知なる力が、君の中に流れ込む エピソード4・第1分冊

サムは新たな相棒を得て、彼の一部が成熟を始めようとしていた

サムはまるで己の命がその一歩一歩に懸かっているかのように、トンネルを猛然と駆け抜けていた。岩壁をかわし、決死の敏捷さで亀裂を跳び越える。静寂に包まれた洞窟の中で、彼の呼吸だけが激しい喘鳴ぜんめいとなって響いていた。脳裏にあるのは、闇の底へと消えていったリョウの手の残像だけだった。焦燥に目を曇らせ、あまりにも速度を上げすぎていたその時、行く手に一本 de 邪悪な岩が突き出していた。


サムの足がそれに引っかかり、身体が前方へと激しく吹き飛んだ。


――ガツッ!!


頬が石の床に激突する鈍い音がトンネル中に響き渡る。聞いただけで痛みが伝わるような、乾いた衝撃だった。サムは顔を走る激痛に歯を食いしばりながら、一瞬だけ地面に伏していたが、すぐに跳ね起きた。悔やんでいる時間などない。どんな手段を使ってでも、リョウを見つけ出すと心に決めていた。


しかし、その激しい衝突の音は、天井の割れ目で眠りについていた「あるモノ」を目覚めさせてしまった。


薄暗がりから、数十匹のコウモリが姿を現した。だが、それらは決して通常の生物ではなかった。燃え盛るような紅蓮の瞳を持ち、水晶の針を思わせるほどに鋭利な牙を連ねた、恐るべき怪物たちだった。金属質な狂った鳴き声を上げながら、その群れが一斉にサムへと襲いかかる。サムは本能的に両腕で顔を覆ったが、怪物の群れは彼の周囲を乱舞し、その鋭い爪で腕や身体を容赦なく切り裂いていった。


混沌の最中、サムの手は必死に剣の柄を求めて彷徨った。金属音を響かせて白刃を引き抜くと、怪物たちを牽制するために空を切り裂きながら、一歩、また一歩と前へ進み始めた。その瞳から、かつての迷いは完全に消え去っていた。


サム:(あの日、イノシシからお前を守ったのは僕だった……。だけどそれ以来、お前はいつだって僕を守ってくれていた。こんな異常な事態に巻き込まれても、あのオーガから僕を救うために駆けつけてくれた。この旅が始まった時から、お前はずっと、僕の盾になってくれていたんだ……!)


一匹のコウモリが彼の肩を大きく引き裂いたが、サムは瞬き一つしなかった。彼の胸の奥で、新しい炎が音を立てて燃え上がっていた。それは、長い間彼を縛り付けていた恐怖という名の鎖を焼き尽くす炎だった。


サム:(もう、足手まといのままでいるのは真っ平ごめんだ! 今度は僕がお前に見せてやる。僕だって強くなれる。自分の力で立っていられるんだってことを……!)


肺の最深部から解き放たれた雄叫びとともに、サムは顔を覆っていた手を力強く退けた。両手でしっかりと剣の柄を握り締め、体軸を安定させて威力を底上げする。もう逃げ隠れはしない。今や、狩る者は彼の方だった。確かな足取りで前進を開始し、鋼の軌跡を描きながらコウモリを次々と叩き落としていく。皮膚を切り裂く無数の傷など、今の彼には微々たる問題ですらなかった。


サム:「リョウ――!! お前が僕を守ってくれたように、今度は僕がお前を守る! もう二度と見失ったりしない! 僕の最高の友を、相棒を、二度と失うものか!!」


一振りの一撃が、彼の固い決意の証明だった。サムはもう、誰かの救助を待つだけの少年ではなかった。怪物と血飛沫に囲まれた孤高のトンネルの中で、若き戦士が今、確実に産声を上げていた。たとえその言葉が、遠い未来に己を縛る呪いになろうとも、彼は何があろうと、どんな脅威に直面しようとも、自ら課したその約束を果たす覚悟を完了させていた。


サムの放つ意志の圧力に呼応するように、トンネル全体が微かに震え始めた。突然、彼の全身から、最大級の決意を固めた時にしか発現しない、あの鮮烈に震える青いエネルギーのオーラが爆発的に噴き出した。周囲の空気が急速に濃密さを増し、その圧倒的な力にコウモリたちが本能的な恐怖を感じて一斉に後退しようとする。だが、彼らにとってはすでに手遅れだった。


胸の奥底から絞り出された咆哮とともに、サムは壊滅的な水平の薙ぎ払いを繰り出した。放たれた青い衝撃波は、怪物の群れを跡形もなく吹き飛ばしただけでなく、空間そのものを切り裂いたかのように見えた。しかし、彼が手にしていたありふれた鉄の剣は、その絶大な出力に耐えきれなかった。


――カァァン!!


凄まじい風圧の最中、鋼の刃は千々の破片となって砕け散り、地面に虚しく微かな金属音を立てて転がった。サムの手には、刃を失った虚しい柄だけが残されていた。


だが、彼は立ち止まらなかった。武器の残骸を迷わず投げ捨てると、確かな足取りで前進し、トンネルの暗闇を完全に置き去りにした。


外へ出たサムの視界に飛び込んできたのは、地獄のようでありながらも同時に神々しい、圧倒的な光景だった。その大洞窟はさながら巨大な熔炉ようろであり、周囲には液体となった黄金のカーテンのように、溶岩の滝が流れ落ちていた。大地を炎が踊り、石壁を灼熱が這い上がる。常人であれば一瞬で肉体がどろりと溶け落ちるほどの、息詰まる熱気。しかし、青いオーラを身に纏い、その瞳を鮮烈な青と電気的な赤の混色に輝かせたサムは、その熱を完全に無効化しているかのようだった。


そしてその空間のまさに中心、沸き立つ溶岩の池に囲まれた一本の岩の頂に、その剣は浮遊していた。


それは、筆絶に尽くしがたい見事な一振りだった。常にその身を愛撫するように包み込む生きた炎の中にありながら、刃は熱によって赤く変色することもなく、溶ける兆候すら微塵も見せていなかった。おそらく何世紀もの間、その場所に鎮座し、輝きも硬度も失うことなく火炎を喰らい続けてきたのだろう。まるで、この場所と同じほどに激しく魂を燃え上がらせる「誰か」の訪れを、静かに待ちわびていたかのように。


サムはその剣に視線を釘付けにした。その顔に浮かぶ決意は、もはや絶対的なものだった。他人に依存していた臆病な少年の面影はどこにもない。彼は溶岩の池に向かって、あの伝説の武器を目指して歩みを進めた。己の、そしてリョウの運命が、今まさにその手で掴み取ろうとしている武器にかかっていることを確信しながら。


サムは天然の台座の前に立ち塞がった。溶岩の極限の熱が顔を打つが、奇妙な青と赤の輝きを宿した彼の瞳は、一秒たりとも標的から逸れることはなかった。その剣は、美しくも致命的な芸術品だった。柄とつばは血のように深い赤色を湛えており、その禍々しい色彩が、刃の銀色に輝く、まるで氷結晶のように冷徹な輝きと強烈なコントラストを描いていた。


躊躇うことなく、サムは両腕を伸ばし、その柄を力強く握り締めた。


その瞬間、武器を包んでいた火炎が激しい怒りとともに狂い咲いた。炎がサムの皮膚を舐め、手のひらを焼き、前腕を駆け上がっていく。肉の焦げる臭いと刺すような劇痛は、常人であれば悲鳴を上げて手を引くレベルのものだった。しかし、サムは微動だにしなかった。武器を離すどころか、逆にその握力をさらに強固に締め上げた。


彼は、鋼の刃を通じて自身の心臓の鼓動と同調リンクする、確かな生命の脈動を感じ取っていた。この剣は、決して見知らぬ異物などではない。最初から、自分の所有物になるべくして存在していたのだ。


サム:「はあああああああああああッ!!」


洞窟全体を震撼させる雄叫びとともに、サムは魂のすべてを懸けて上方へと引き抜いた。大地が激しく鳴動し、周囲の溶岩が火花となって天へと跳ね上がる中、刃がゆっくりと岩の呪縛から滑り出ていく。少しずつ、銀色の鋼がその全貌を現し、最後の目眩むような閃光とともに、サムはその剣を完全に解放した。


剣が宙に掲げられた瞬間、その身を覆っていた炎は一瞬にして掻き消え、金属の刃の中へと完全に吸収された。同時に、サムの青いオーラが大爆発を起こし、室内の息詰まる熱気を一瞬で薙ぎ払う衝撃波となって吹き抜けた。先ほどまで火炎によって炭化しかけていた彼の両手は、超自然的な速度で再生を始め、エネルギーの輝きの下から、より強靭に生まれ変わった新しい皮膚が姿を現した。

しかし、最も恐るべき変貌は、彼の背後で起ころうとしていた。


激しく揺らめく溶岩の光が、洞窟の壁面に巨大な影を投影した。それは、人間の影では断じてなかった。


大きく翼を広げ、あぎとを開いた、巨大な「龍」のシルエット。それはさながら、いにしえの守護者のように、静かにサムの背後に君臨していた。


サムは剣を下ろし、その完璧な重量感を身体で感じ取った。彼はもう、単なる旅の同行者ではない。最高の友を暗黒の底から連れ戻すためなら、深淵そのものとすら刃を交えることのできる、一人の「戦士」へと覚醒を遂げたのだ。


皆様、おはようございます。今日も素晴らしい一日になりますように。


ここで皆様に、一つお詫びとご報告がございます。私の不注意から、エピソード2とエピソード3に全く同じタイトルをつけてしまうという、非常に重大なミスをしてしまいました。もしタイトルのせいで混乱させてしまっていたら、深くお詫び申し上げます。完全に私の手落ちであり、深く反省しております。現在はすでに修正を完了いたしました。


最後になりますが、いつも作品を読んでくださり、本当にありがとうございます。最後までお付き合いいただいた皆様に、今回のエピソードも楽しんでいただけていれば幸いです。


一方で どうやらサムは自身の力の一部を覚醒させ、これからはもう俯くことなく、立ち上がろうという強い意志とともに成熟を始めたようです。彼が将来、どのような男へと成長していくのか、ぜひ共に見守っていただければ幸いです。

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