追い詰められてぶっ飛びクーデター
「まぁ待て。順を追って説明しようではないか。
知っての通りイルリットを除く四人は王国主催の闘技大会の貴族部門の優勝者と準優勝者だ。
ミルカマイナが出てくるまではレイジャックは四年連続優勝。
ハルーライは女子単独で没落までの十年間敵無しの優勝。男女混合でも六回の準優勝者だ」
「ミルカマイナとリーナスは老いて足腰が立たないと」
「ほれ。ここ直近の討伐記録。
毎日西の魔物達と命懸けで現役で戯れておるよ」
「部下の戦果で
「それを見ろ。討伐証明の映像記録が届いておる。
観るまでもないわ」
「あ”ぁぁぁ」
「で、この国で敵無しが七名の妖精を移譲。イルリットを除く四人は更に強くなったと嬉しそうじゃ。
先ほどの話しで北四領地は盤石なものになったのぉ。
イルリット自身もエスランクを倒し、国軍にも敵無し
「それは嘘だと。何かの間違いと。学校で散々やられっぱなし」
「わしは先日の処刑で気付いたぞ」
「まさかわざと?」
「それしかないじゃろ。
民に仇なす貴族やその子息子女の選別をしておったのじゃよ。
お前の息子達もな」
「あのガキわぁぁ」
「一応、正真正銘のわしの息子だが?」
「あっ。あのっ。申し訳ございません」
「まぁぁいい。
での。イルリットは北の守りが強化されました。と、白々しく報告して来ておるわ。
わしからも礼を言おう。彼らを鍛えてくれてありがとう」
「そ そんなぁぁ」
「それでな。二十人で金貨百枚程になったそうじゃ。
その上、金貨五十枚の懸賞首が二人居ったそうじゃ。ものの十分で金貨二百枚。
いい仕事っぷりじゃのぉ。
お前が大好きなイルリットちゃんがな『仕送りをじゃんじゃん送ってくださいね』と、せがんで来ておるぞ」
「お お金までぇ」
「で、お前。裏ギルドと通じておったのか?」
「な 何の事でしょうか?」
「あ奴の妖精の痕跡を辿る術を使ったらバレバレじゃったそうじゃ。
ほれ。所在地の地図じゃ」
「えっ?」
「既にミルカマイナ辺境伯領の念話中継地点と他二か所を制圧。
初めは警官隊。その後、国軍。そしてお前の発注書類多数を発見。公安が向かった。
そこのボス。ジュポータ・ナックの司法取引の自供で全ての拠点が暴かれた。
いわゆる一網打尽と言うやつだな。
で、お前が求めた証拠の件じゃが、お前直筆の発注書が動かぬ証拠じゃが?弁明やら言い訳は出来るのか?」
「・・・」
「それでの。各地の裏ギルドの撲滅のためにわしが褒賞金合計金貨一千枚を掲げているのを知らなかったのか?」
「えっ?えぇぇぇ?」
「ジュポータ・ナックとはお体のお付き合い程仲が良かったそうじゃないか」
「あ”ぁぁぁ違うのです。違うのですよ。あれわぁぁ
「まぁもう良い。この先その様な話しが何十件出てくる事か。全て白日の下に晒され、わしの権威も信頼も地に落ちて行くわ。
第二妃の立場でようあっちの男、こっちの男とやってくれたもんじゃの」
「申し訳ございません。申し訳ございません
「マーリレスは他に居らんかった事が証明されておるからのぉ。
良い妻を殺されて
「申し訳ございませんでしたぁぁ。お許しくださいぃぃ。他の男とはもうしませんからぁぁ」
「過去の男が消える訳では無かろう?例えその者らが死んだとしてもその体に刻み込まれておるわ
「あ”ぁぁぁ申し訳ございませんでしたぁぁ。道具でいいですぅぅ。道具でいいのでお側にぃぃ
「若い男らと比べられて釈然とせんがな
「その様な事は一切ございませんんん」
「どうだか。
もう、他の女性でも側に置くかぁ」
「わたくしが、わたくしが居ります。ここに居ります。ご自由に
「でな、わしも具の根も出ぬほど認めざるを得ん。
第二妃と言うお前の事で悪党にミウラール王国が強請すられなくなったことは正に大功績だ」
「あっあっ
「何だ?お前の第二妃と言う立場の行いの行き着く先の認識が無かったのか?
教えてやろう。
お前が行った犯罪行為や不貞行為はこの国を強請る事が出来る。
解かるかな?
お前の行いの責任の行先は全てこのミウラール王国の国王様。ピグダット・ファム・ミウラール陛下の責任となるのだぞ。
公開されればわしは国家転覆罪で最悪死刑だ。
それを揉み消すために何度でも対価を払わねばならん。その者が死ぬまでだ。
それは離婚前の全ての事柄もだ。凄いだろうわしの立場は」
「あ”ぁぁぁ」
「でな。褒賞の規定に基づきあ奴に全額を既に支払った。
あ奴は大金持ちじゃな。あぁぁはっはっ、はぁぁぁあ。
それと妃が刺客を放った事実を証拠付きで公表されたら貴族の大反発は必至。
正妃の毒殺。公爵の意図的な没落。正規の嫡男への殺人未遂と国王が育児放棄。
出鱈目な廃嫡と妖精教会への侮辱。国防費の横領。学校での理不尽な暴行の指示。はぁぁ。まだ有ったかなぁ。
完全にわしは首を掴まれた。もう、わしに成す術はない」
「陛下。その様な弱気に
「お前がわしを窮地に追い込んでおるのではないか?」
「そ そのような」
「弱気にもなる。
今の罪状の他に、マルージムの話しによれば子供の不敬罪対象者以外の多くの貴族が許しを請う為にウォーガット領に大金を持って向かったそうだ。
つまりわしなどもう居ないも同然。
イルリットからしてみれば、お前の刺客と言い、何もせんでも大金が向こうから舞い込んでくる」
「そ そんなぁぁ。そ それこそ、こ 国家転覆罪を
「お前に適用せねばならんが」
「軍備の
「バールデシタと魔物用だが」
「親族の隣り合う領地は
「合法だが?何も無い。今現在の法の中にはイルリットを咎人にする法は何処にも無いんじゃぁぁ」
「新国家樹立。これはどうですか。全ての法の書き換えが可能ですよ。そうですよ。全てに恩赦が付き罪は帳消し。
陛下がクーデターを起こし国名を変えればいいのですよ。
今、首を掴まれている貴族を搔き集め領地軍と私設軍を陛下の元に付ける。十分な戦力となり得ります」
「なるほどな。いや、いいかもしれんな」
「はい」
「ん?・・・待てぇぇ。貴様ぁぁわしを殺してクーデターを画策する気かぁぁ
「はっ?何を仰っているのでしょうか?」
(本当に気付いておらんのか?確認して気付かせる事も無いか。様子見だな)
「陛下?」
「いや。勘違いだった。
それで今、イルリットに首を握られてわしの元に集う貴族を集めよ」
「はい。勝った暁には十三国にも宣戦布告で陛下を愚弄した者達を八つ裂きです」
「即刻、メドーダスとイグアスをここへ呼んで、打ち合わせだ」
「はい」
(イルリット。貴様の好きなようにはさせぬわ)
「わぁぁはっはっはっは」
「陛下。高笑いの最中に申し訳ございません」
「うっふぉん。何だ」
「二人とも東の果ての町。ルモアの町の公式エルフのお店【森の瞳】に
「何じゃとぉぉぶあっかもんがぁぁ。マーリレスが作った店ではないかぁぁ。即刻、呼び戻せぇぇ」
「たった今、二人で金貨二十枚を支払ったので勿体無い。今夜帰ると」
「この時間からの一人十枚と言う事は閉店までの飲み放題のフルコース料理」
「よくご存じで」
「まぁマーリレスから聞いていたからな」
「チップも金貨一枚単位」
「金はいいとして、あいつ等会員だったのか?」
「いえ。イグアスが先ほどカガミザキ商会の女性従業員から特別優待券を二枚貰ったそうです」
「貰ったぁぁ?」
「はい」
「本物だったのだな」
「そうでなければ入れませんが」
「まぁいい。お触り禁止だっただろう」
「はい。最悪は処刑。
それで奇麗なお姉様たちのお話しが楽しくて癒されると・・・」
「い い 癒されるだとぉぉ?あのバカ共がぁ」
(あぁぁもぉぉ。どいつもこいつもぉぉ・・・)
「わ わしの分は?」
「無いですっ」




