イジルバーバラからの刺客。改め、仕送り
おじ様はわざと警戒網の穴を造り、傭兵二十人は塀を乗り越え城内に進入。そのまま、闘技場に向かった。
おじ様とおば様は闘技場中央で剣戟を繰り返していた。
傭兵たちは客席入退場の場所で二十人が身を潜めた。
(丸見えですよ。ど素人集団ですね)
「本部への通信は怠るな」
「了解。ビデイダボス」
「さすがの腕前だな」
「事前情報とは全く違いますよ。模擬戦と言うよりは完全にエスランクの敵同士ですよ」
「何処が足腰の弱った爺と婆なんですか?」
「ビデイダボス俺達であれに勝てるんですかぁ?」
「「「無理じゃね」」」
「多勢に無勢だ。魔法も織り交ぜれば勝機はこちらに有る」
「「「なるほど」」」
「それで。客は何処に居る」
「ビデイダボス。正面の観覧席に爺と婆が居ます」
「あれが客か?」
「昔見た陛下の観覧試合の時と同じです」
「そうだな。報告しておけ」
「今、送っています」
「しっかしすげぇ模擬戦だなぁ。相打ちの剣戟の音が聞こえるだけで剣筋が全く見えねぇな」
「ボス。どんな剣を使ったら火花が散るんでしょうか」
「お貴族様だからな。ドワーフの業物で相当お高い剣なんだろうよ」
「ドワーフの業物なんて出回っているんですか?」
「そりゃ何処かには有るだろうよ。
ドワーフの居場所が分かりゃぁ作らせるんだけどなぁ」
「ボスのお手持ちで買えますかねぇ」
「イジルバーバラ王妃様が天下を取れば、俺達の功績となる。
お城の中でちったぁましな生活が送れるだろうさ」
「城内の女の子達も?」
「そりゃぁ自由になるだろうよ」
「「「「「がんばっちゃいますぅぅ」」」」」
「おお。頑張ろうな。
金貨十枚程度ではないだろうからな」
「「「「「やっほぉぉぉ」」」」」
「それでビデイダボス。
どうなさるんです?」
「ああ、そうだった。
五人は爺達を人質に取って・・客席の両脇から来る領兵は見回りか?」
「後ろからも来るようですよ。でかい声出し過ぎましたね。ここやばくないですか?」
「曲者だぁぁ。出会えぇぇ。出会えぇぇ
(えぇぇ?岡っ引きですかぁ?時代劇の見過ぎじゃないですかねぇ。在るのかなぁ)
「後方、大群来ます。闘技場の方へ
「とにかく依頼遂行だ。あの二人をぶっ殺して転移で城外。残りの金貨七枚貰いに帰るぞぉ」
「「「おぉぉ」」」
「お城暮らしが待っているぞぉぉ」
「「「おぉぉ」」」
「各自転移で向かえぇぇ」
「「「りょうかぁぁいっ」」」
闘技場のど真ん中で賊達がお爺様達を囲んだ。
(予定通りですが、何処の賊も変わらないですねぇ。
この世界魔法があるから、囲ったら同士討ちになって不利になるのに)
「何時の間に爺と婆が」
「ビデイダボス。四人になってしまいましたよ。
いや。外側にも私設軍。
どう攻めるんですか?」
「今、考えてる」
「なぁリーナス。この場で周りを囲むとは。転移で目の前に来ればいいものを。
自分達の魔法も使えんだろうに」
「ゴブリンにも劣る集団ね。
大慌てで混乱。どう攻めていいのかも分からなくって、野盗の戦法。
リットちゃんの作戦にまんまとはまっちゃって。おバカな人達」
「小娘が雇うような輩ですから、おつむが軽すぎて冒険者では食べていけなかったのでしょうね」
「リットの魔法を使わせない作戦が完璧だったんだろう」
「転移と念話障害壁を展開しましたぁぁ。
おじ様ぁぁ緑ぃぃ。おば様ぁぁ赤ぁぁ。お爺様は黒二人ぃぃグレーはクリスタルぅぅ。お婆様は緑と黄色の縞々ぁぁ」
「了解だぁ」
「ありがとぉぉ」
「あ奴とあ奴か」
「あのバッタさんみたいな衣装ね」
「何処から声がしたぁ」
「私設軍の中からでぇぇす」
「マギュレイさんはあっちの黒ローブ。ラレットさんはビキニアーマーのおばさんです」
「わたくしとあまり変わらないようなぁぁ」
「ごめんなさい。お姉さんです」
「行きましょうか」
「はい。
ハロマイネさん。私と雑魚を一掃」
「はい」
「つべこべうるせぇぇ野郎どもかかれぇぇ」
「作戦わぁぁ」
「四人をぶっ殺せぇぇ」
「「「えぇぇぇ?」」」
「本当に盗賊か?やるぞ」
「「「了解」」」
「リット様ぁぁ幾ら雑魚でも瞬殺し過ぎですぅぅ。残してくださいよぉぉ」
「はぁぁいハロマイネさぁぁん」
「リットだとぉぉ」
「あ”ぁぁぁビデイダボス茶髪のリットだぁぁ逃げろぉぉ。て 転移が出来ねぇぇくそっ何だこの女わぁぁつえぇぇ
「ありがとう。そりゃっせいっ
「くそっ応戦一方だ」
「全く本気じゃないのにぃ。せいっ」
「うぎょ
「さようなら」
「あんた女にしとくの勿体ない な
「ありがとう」
「今のうちに俊足でぇぇ
「わたくしと競争かしら?」
「いつの間に?」
「もっと速く走らないとぉ」
「正面?うぎゃぁぁ
「おいおいおいおい。何で足腰の弱った爺と婆ぁがこんなにつえぇぇんだよぉ」
「ビデイダボスぅ本物の爺と婆もぉ
「だぁぁれが本物の爺じゃぁ」
「あぎゃぁぁ」
「誰が婆ですってぇぇ。失礼なぁ」
「うぎょぉぉ」
「おいっ。くっそぉぉくたばれやぁぁ偽物爺がぁぁ
「やかましいわぁぁ」
「ごふぉ・・・瞬殺かよ・・だまされた・・うぐっ」
「おいおいこれがビーランクか?冒険者の質も落ちたなぁ。風の妖精を貰ったよ」
「本当にルクイッドギルド長に苦情を言っていいレベルの弱さよ。火炎の妖精さん。これからよろしくね」
「イナゴちゃん。氷をありがとう」
「灰色のガキンチョ。おめぇ一人になったな」
「す すみません。許してください。お願いです」
「情けねぇ格好で命乞いしてるんじゃねぇ。
さっきまでは意気揚々と妖精の力を配って歩いてたじゃねぇか。一人になったらこれか?」
「この通りです。許してください」
「で、誰の指金だ」
「言ったら殺しませんか?」
「イジルバーバラ」
「うっ」
「リット。自供したぞ。録画済みだ」
「ありがとうございます。背の高さに障壁張りました。どうぞ」
「止めてくれよぉぉ。頼むよぉぉ」
「散々殺して女性を泣かせて来た奴が言うセリフか。大バカ者が」
「おごっ
「この光りかぁ。止まったな。クリスタルを当てて。オーケー。貰ったぞ」
「はい。返り討ち終了です」
「デニッシュー指揮官」
「はっ。旦那様ここに」
「ここの後片付けは頼む」
「雑魚の方で真新しい金貨三枚を所持していました。
恐らく依頼金ではないかと」
「全員持っていそうだな。収納に入っていると無理か?」
「おじ様。その金貨に限り、今でしたら僕が取り出せますよ」
「ありがとう。リット君。
デニッシュー指揮官。領軍の資金源に」
「了解。
イルリット様、身に着けていない者はこちらです」
「はい」
「あなた。装備一式売れば合わせて百枚ぐらいになりそうね」
「ああ。百枚は良い臨時収入になった。イジルバーバラお妃様に感謝せねばな」
「あら。五十枚づつはわたくしとお母様がもらっていいのかしら」
「自由に使いなさい。
お義母様もどうぞ」
「くそぉぉわしはリットに小遣いが出せんではないかぁ」
「ありがとう。リットちゃんへのプレゼントが買えるわ」
「あなた、ありがとぉぉ。もっと仕送りしてくれないかしらぁぁ」
「終わりましたぁ。合計で六十枚。全員持っていましたよ。
それでおば様。まだまだ来ますよ。家宝は寝て待てです」
「そうね。一旦、湯浴みをしてからお城に行きましょう」
「はい。それで私は先に戻ってもいいですか?」
「何か準備が?」
「はい。色々と。
お昼は向こうでご用意いたしました。
ライニー侍従長が皆様をお待ちです。皆様で召し上がって下さい。
それとおじ様。
ウォーガット城の謁見の間と先ほどの部屋を簡易的に転移紋で繋げておきましたので、おじ様とお爺様の妖精力を流せば何人でも移動可能です」
「そうか。ありがとう」




