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 イジルバーバラからの刺客

 わたしはイジルバーバラ妃の裏ギルドとの繋がりを事前に調査していて、その中にここ。おじ様とおば様への襲撃が有ることを知っていた。

 決行日は定まってはいなかったが、わざわざ今日にするとは。

 死刑囚の身なのですから大人しくしていればいいのに。


 (何とかして振りほどこうとしているのでしょうかねぇ。ただ、この期に及んで意味をなさない襲撃ですが)

 「恐らくはイジルバーバラ妃様。

 この時点でこちらを襲おうと考えるのは彼女しかいません。

 お客様は全員わたしの妖精の妖力に登録の有る、冒険者と人を辞めた元ビーランクの傭兵。二十人。

 懸賞首が二人。合計金貨百枚。

 全員妖精持ち。

 茶髪のリットと王国主催の闘技大会連続優勝者のお爺様、お婆様がいることを知らないようですね。

 目的はおじ様とおば様を無き者に」


 「襲撃する前には十分に調査はするもんじゃわなぁ」


 「あの小娘の子飼いです。

 主同様、お頭が足らないのですわ」


 「お母様ぁ。笑えてくるではありませんかぁ。

 ねぇあなた」


 「全くだ。相手が何であれ事前に調べるのがセオリーと言うものだ。

 それで毒殺魔はリット君を廃嫡にしてリーナスの王家の血を完璧に断とうと言う計略か」


 「恐らく」


 「わたくしの可愛い娘を殺し、更にまたわたくしの娘を。

 まだ殺し足りないと言うの。

 リットちゃん。今直ぐに小娘を殺しに


 「お待ちくださいお婆様。

 今ここで殺してしまってはそれで終わってしまします。

 お爺様もお婆様もおじ様もおば様も。そしてわたしやハロマイネさん。アウンさんまで居るのです。

 このメンバーに勝てる賊など存在しませんよ。

 それよりイジルバーバラ妃が生きている限り小細工して来るでしょう。労働に対する報酬を頂きましょう」


 「そうね。搾れるだけ搾りましょう」


 「その上でこちらからは一切の直接的手出しはせずに何をやってもうまくいかず地団駄で踊って頂き、悶絶して、処刑が刻一刻と迫って来る実感を味わって頂き、まるで弱り、苦しみ、苦痛に耐える毒殺のような絶望を味わって頂きませんと」


 「それだぁリットよぉ「「リットちゃぁぁん「リット君やってお仕舞いなさい「「「イルリット様ぁぁ」」」」」


 「ふっふっふ」


 「お婆様?」


 「その通りよリットちゃん。

 一撃で殺しては物足らないわ。手足をもぎ取るだけでも飽き足らないわ。

 チクチクと責め。いたぶり。可愛い息子、娘を奪われる恐怖と悲しみと苦しみを身をもって味わうと良いわ。

 後悔や反省など一切しないあの小娘に床を舐めさせてあげますわ」


 「お婆様。そうですね。それが良いですね。

 お爺様やお婆様と同じ苦しみ以上を味わって頂くとしましょう。

 先ずわたしも向こうも大っ嫌いなアジレッタちゃん。

 そしてイグアス。メドーダス。

 第二妃になって男爵にお成りになったご実家。

 その次に陛下。

 守ってくれる陛下が居なくなりどう思うのでしょうか。

 最期まで苦しんで頂きますよイジルバーバラお妃様」


 「「「「ふっふっふっふ」」」」

 「「「「ご協力いたしますよ。イルリット様」」」」


 「それでわし達の方はどうなっておる?」


 「三年前にドワーフさん達はいまだ不明と同時にお爺様とお婆様は行方不明で生死不明と報告してありますよ。

 恐らく死んでいると喜んでいらっしゃると思いますよ」


 「わぁぁはっはっはっはぁぁブアカめぇぇ」

 「うぅぅふっふっふっふ。生きて化けて出て度肝を抜いてやりますよ小娘が」


 「で、おじ様とおば様は頂いた報告をわたくしが少々操作して、お歳には勝てないと報告書を作成。

 イジルバーバラ妃に見えるように宰相の机の上に置いておきました。

 それを見たのでしょう。

 クッソ弱い冒険者をお安く手配なさったのでしょうね」


 「リットちゃんの計略に嵌るとは本当にバカな小娘よっ。ふっふっふ」


 「お母様ぁ。

 それでリットちゃん。移譲タイプかしら?」


 「七名は移譲タイプですね。なかなか良い妖精さん達ですよ。

 他は消滅タイプですが宿主が雑魚ですね。

 なんでビーランクに成れたのか不思議なぐらいです。

 おば様はどの力が欲しいのですか」


 「火魔法が弱いのよねぇ」


 「いますよ。火炎タイプが。金貨五十枚付き。お教えします」


 「リットちゃんへの謝罪金かしら。それで見えるの?」


 「ファーナの


 「様でしょ」


 「ファーナ様のお力です」


 「わしは土じゃな「私は風「わたくしは氷がいいわよ」


 「全部居ますよ」


 「「よっしゃぁぁ」」

 「「やったぁぁ」」


 「お婆様の氷に金貨五十枚です」


 「向こうからリットちゃんのお祝いを持って来てくださるなんて。いい稼ぎだわ」


 「わしのは」

 「私のは」


 「普通の首です」


 「ハズレかぁ。たんまりと持って来んかぁ」

 「ただで殺されに来るとは、不届き者め」


 (いやいやお爺様クジじゃないんですから。おじ様も、そもそも不届き者ですよ)

 「マギュレイさんは?」


 「柔術は居りますでしょうか?」


 「居ます」


 「では、そちらを」


 「ラレットさん。残っているのが土と剣技です」


 「剣技でお願いいたします」


 「判りました。お爺様。土を倍掛けしますか?」


 「出来る事なら。領地を貰うなら土塀が簡単にできる方が良いからの」


 「出来ますよ。一人消滅タイプですがスクエアードパワースタ(妖精力二乗補給)ンドがいます。うまく捕まえてください」


 「任せておけ。アブソーブ(Absorb)クリスタル持ちじゃ」


 「消滅タイプを吸収できる、手で握れるほどのクリスタルの六角柱ですよね」


 「それじゃ」


 「超が付くほどのレア品ではありませんか。公表されているだけで世界に十本程度ですよ」


 「人生経験の差じゃよ。これじゃ」


 「本当に透き通ったレインボーカラーなんですね。初めて見た」


 「内緒じゃぞ。じゃが相当使っておらんのでの。サポートは頼めるか」


 「お任せください」

 

 「では、わしらが直々にお出迎えするか」


 「はいお父様。大歓迎しましょう。裏の闘技場に」


 「私らが行けば自動的に付いて来るか」


 「イジー。わたくしとこの人がお客様を招いて模擬戦をする。行ってらっしゃい」


 「はい」


 「どう言う意味なんでしょうか?」


 「隠語よ。お客様は賊。本物のお客様なんかこの地に来ないから。これを城中で公表すれば賊相手の戦闘態勢が整うの」


 「なるほど」


 「今から準備を致しますよ」


 「「「はい」」」


 「ハロマイネさんとアウンさんはどうしますか?」


 「勿論わたくしもお供いたしますよ」


 「そのタイトスカートで?」


 「ハロマイネ。剣は有る?」


 「はい。収納に」


 「付いていらっしゃい。わたくしのが何着かあるから合うのが有るでしょう」


 「ありがとうございます」


 「アウンさんは」


 「必要無いかもしれませんがお坊ちゃんの護衛を」


 「ありがとうございます」

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