ウォーガット領の住民
「し 失礼いたしました。
ファーナ様。お気遣いに感謝いたします」
「気にしなくても良いですよ」
「リーナスおば様が見たらどう反応すると思う」
「このような手段で」
(ぎっくぅぅん。
そ そんなに睨まなくてもぉ)
「バレてしまったものは致し方ありません。
恐らく。いえ、必ず挙兵やむなし。わたくしもアルレシアもロマネスもアウンも参戦。先陣を切りますよ。
今からでも行きたいくらいです」
「そこは待って頂こうと思ってる」
「何故ですイルリット様。・・・まさか
「しっ。まず確認。おじ様と連絡は?」
「マーリレス様がお亡くなりになって・・・いえ。殺されて以降、暫く後からは諸般の理由により一切取っておりません」
「ありがとう。
それでその件に関しては色々考えが有るし、下準備も必要だよ」
「畏まりました。何時までも何処までもお供いたします」
「結婚はいいの?」
「イルリット様が貰って頂けるのでは」
「えぇぇぇ?」
「アルレシアもそのつもりですよ」
「まぁぁってくださいよぉぉ」
「はい。待ちますよ」
「そっちじゃ無いんだけどなぁ」
「それで、今からライニー侍従長達とご出立?」
「はい。行ってきます」
「お気を付けて。アウンの連絡が来ます。定期的に念話下さい」
「ファーナ。お願い」
「了解なのです。
ハロマイネさん。祝福の口付けを」
「ありがとうございます」
ファーナは飛び立って、ハロマイネさんの上唇にキスをした。
(この飛んで行く時と言い、口付けの時と言い可愛いのよねぇ・・・はっ。自制心は何処へ)
「あのっ」
「ウォーガット領まで転移も念話も届くようになったですよ」
「ありがとうございます。ファーナ様」
「アクアスカイ女神様にも感謝するといいですよ」
「勿論でございます」
社員寮ではライニー侍従長達が待っていた。総勢五十名。家財道具は荷馬車四両分。
(そう言えば金貨と馬車貰って来るの忘れた。まぁいいか。
それは良いとして)
「ライニー侍従長。子供さんも本当に行くのですか?」
「子供が居る家族は連れて行けないと。イグアス派の毒牙にかかれば良いと。
幼気な少女は必ず人質に。オヨヨヨ。
ファーナ様。
ダメなのでしょうか」
「リット。全力で守るですよ」
「それは勿論だけど。
ミッチーネ先生」
「はい。お任せください。
マーリレス様から伝授された一般教育から貴族教育と所作言動。
元、伯爵夫人だった母が妖精魔法をお教えいたしますよ」
「イルリット殿下。
何のご心配も無用ですよ。
何処に出ても恥ずかしくない、現貴族のご子息、ご息女達よりも規律ある所作言動を身に付けさせますよ。
妖精魔法もお任せください。
如何ですか?」
「剣術と柔術はこのリミットベイにお任せください。
メドーダスやイグアスに負けないぐらいに鍛え上げますよ・・・あいつ等では比較対象になりませんな。ガァァハッハッハ」
「畑や草木はマードが教えるそうですよ」
「侍従長が言うようにわたくしめにお任せください」
「如何ですかイルリット王子殿下」
「リット。ライニー侍従長さんが言う通り、人質が怖いですよ」
「そうだね。置いてはいけないね。
私が出資者で王国に正規に登記して学校を造ればいいか。
そうすれば学歴も付いて回るし。
そうだなぁぁ。ウォーガット学院
「「「「「イルリット総合学院」」」」」
「えぇぇぇ?」
「リット。もう考えていたようですよ」
「はい。ファーナ様。
母と共に必ずそこに行きつくと思いまして、このように五人の年齢と男女でカリキュラムも作成しております」
「これわぁぁ。ミッチーネ先生凄いです」
「お褒めに預かり光栄に存じます、ファーナ様」
「リット。学校名は諦めるですよ」
「でもぉ
「いいですかリット。良く聞くですよ。
世界は明日をも知れぬウォーガット領を知っているです。
その名を冠した学校を設立しても信用も信頼も無いです。そもそもウォーガットは忌避される単語です。
イルリット王子殿下の名は世界が知る所です。
ですがイルリットの名を町中で呼ぶと十人は振り返るです。
私はこう思うです。
マーリレス母様とイルリットの卓越した学力や知識。教養。所作言動。武力。世界を救った平和主義思想の実績は世界が認める所。
ですから学院長はイルリット・ファ・ウォーガット騎士爵。
学校名はマーリレス・イルリット総合学院とすると良いと思うですよ」
「「「「「ファーナ様。そう致しましょう」」」」」
「少し考え
「「「「「決定です」」」」」
「いや、あのね。
アクアスカイ女神様の名前も入れた方が良いかなと思っただけ」
「リット。今現状に於いて、それは妖精教会を敵に回すですよ」
「う”っ」
(たしかにぃ)
「それでイルリット王子殿下」
「はい。ミッチーネ先生」
「学院の創設に当たって、預託出資金が最低金貨五百枚が必要ですが」
「お金は問題無いですよ。
ただ、理事三人以上、監事一人以上が
「わたくしの友人でもあるキャラカン教授に頼めば一発だと思いますよ。
ねぇお母様」
「イルリット殿下。彼の研究の元々の出資者はわたくしです」
「えぇぇぇ?ミーリア様がぁ?」
「はい。
マーリレス様がお亡くなりになって五年後にマーリレス様派だった主人が亡くなり、それと同時に陛下によって伯爵は剥奪。
それまでは出資をしておりました。
伯爵ではなくなり、出資も出来なくなった今でもキャラカン教授は遊びに来ますよ。
どちらかと言えば研究に行き詰った時に相談に来るのですが」
「それはミーリア様がキャラカン教授の恩師?」
「どうでしょうか」
「キャラカン教授が準教授から教授になったのは母の協力があったからですよ」
「ミッチーネ」
「あはっ」
「そうでしたか。
私もキャラカン教授には色々助けて頂いていましたから」
「それはそうなりますよ。
キャラカン教授はマーリレス様が死ぬほど好きでしたから
「えぇぇぇ?」
「マーリレス様がお亡くなりになった時は父と母が付きっきりで宥めていましたよ」
「そうだったのですね」
「それでイルリット王子殿下。決定でいいですね」
「そうですね。
皆さんのサインを頂けたら登録に行きます」
「はい。どうぞ」
「はぁぁぁ。もうできているのですか」
「はい。何と言ってもわたくしはマーリレス様の教え子ですから」
「判りました。
これで学院を創設しましょう」
「「「「「やったぁぁぁ。ありがとうございます。イルリット王子殿下」」」」」
「もう君達も知っていたの?」
「「「「「はい」」」」」
「みんな頑張るですよぉ」
「「「「「はぁぁい。ファーナ様ぁぁ」」」」」
家財道具と人で三回ほどに分けて転移で向かった。
謁見の間に馬車事到着していきなりライニー侍従長が。
「イルリット王子殿下」
「もう違いますが」
「では騎士爵」
「それもどうかと」
「では、イルリット様。部屋割りの方はわたくし達で行います。色々、ご準備もおありになるかと思います。
見取り図を頂けますか?」
「どうぞ」
「皆の者。かかれぇぇ」
「「「りょぉぉかぁぁい」」」
「あぁぁ行っちゃった」
「お馬さん達が置いてけぼりなのです。びっくりしているですよ」
「『まじか、おいっ』って、感じだね。
先ずは馬を厩舎に連れて行こうか」
「リット。私達も準備をするですよ」
「そうだね」




