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 ウォーガット領領地拡大の第一歩

 ドーナッテンの王都の屋敷の執務室。

 正座するドーナッテンにマルージム隊長が剣先を向けて。


 「ドーナッテン・ファイ・シラーケド子爵。

 ピグダット・ファム・ミウラール国王陛下の名を勝手に使っての傍若無人な振る舞い


 「そ その様な事は一切


 「これが証拠書類の写しだ。神妙にしろ。

 直系家族のみ捕縛」


 「「「了解」」」


 「何故だぁぁ


 「お 俺は関係無いですよね」


 「お前。名前は」


 「ナンデネン」


 「ああ。お前が卒業式前日校長室前でイルリット第三王子殿下に罵声を浴びせ最初に蹴ったやつか」


 「し 知りませんよそんな事」


 「常日頃から暴力も行使していたな。全て公安のモニターに録画さている。言い逃れは出来ん


 「あそこは写っていなかったはず・・うっ」


 「イルリット様が録画していたから心配しなくていい。後で見せてやるよ。

 イルリット・ファ・ウォーガット騎士爵から不敬罪の適用通知が来ている。お前は公開処刑だ」


 「はぁぁ?ふざけんじゃねぇぞごらぁぁ」


 「公安に対して何だその言い草わぁ。

 見ろ。陛下直筆の処刑許可状だ」


 「「「「あ”ぁぁぁ」」」」


 「文句があるなら陛下に言え。ふざけていたのはどっちだ。

 暴れるのなら容赦はせんぞ」


 「何でだよぉぉ。今更なんでだよぉぉ


 「お前も色んな女の子に後から。後日に、去年の事まで因縁を付けては不敬罪を適用して来ただろ。それと同じだ」


 「あぁぁぁぁ


 「わ 私の領地は


 「死んで行く者が心配する事ではない」


 「わ 私は先代陛下から恩恵を受けて、現陛下から恩赦を賜るような身分だ


 「それがなんだ。これが処刑の指示書だ」


 「あぁぁ何故ですかぁぁああそうだ。と 取引をしないか。私の領地の東隣のヒルデンブルック・ファイア・ヒコットセン子爵も火の車だった。私以上の事をしている事を知っているぞ」


 「もっと早くに奏上していれば何か変わったかもな。

 自分の事も暴かれるのを恐れて手を組んでいただろう。バレバレだ。

 私の元に既に処刑に値するだけの十分な証拠が揃っている。今、公安が捕縛に向かっている。後程後を追う事になる。先に行って待っていろ」


 「なぜだぁぁ、何処から漏れたぁぁ」


 「俺、イルリット王子殿下に謝罪する。謝るから


 「謝罪は求めていらっしゃらない。公開処刑一択だ


 「教頭に脅されていたんだぁぁ


 「お小遣いを貰って脅されていたと?ああ、なるほど。お小遣いを貰えなくなる脅しを」


 「あ”ぁぁぁぁ」


 「それとシラーケド家の全財産の没収。今より紙の一枚の持ち出しをも禁ずる」


 「「「了解」」」


 「連れて行け」


 「はっ」


 「おめろぉぉ」

 「お止めくださいぃ。お許しください」

 「止めてよぉぉ。触らないでぇぇ」

 「やめぇねかぐおらぁぁ」


 「ナンデネンがうるさい。鞘で殴って黙らせろ」


 「はっ。おらっ」


 「おごっ」


 「「「あぁぁ」」」


 「お前達もか?」


 「「「うっ」」」


 「マルージム近衛公安騎士隊長」


 「君は?」


 「ご当主ドーナッテン様の執事のミノリキと申します」


 「それで?」


 「奥様もお嬢様も処刑なさるお積りで」


 「そうなる」


 「無実では?」


 「ミノリキ。お前娘が二人いたな」


 「はい。二年ほど前に領地の方で魔物に襲われそのまま」


 「その魔物。奥方のルシヘだぞ。お嬢のゴクマーズが誘き出し、ルシヘの知り合いの賊が攫った。

 娘二人はここオウダーの北の娼館通り。王国許可認定のイイデスノの店に一人金貨十五枚で売られ、働いているぞ」


 「そ そんな


 「ルシヘとゴクマーズの罪状は領地民の女性。八歳から二十歳までの人攫いと人身売買。判明しているだけで凡そ七十人。

 それと人身売買組織と盗賊集団との癒着。

 お前は無実に出来るのか?」


 「申し訳ございませんでした」


 「イイデスノに先程公安が向かって事実確認した。

 店長がいい奴でな。事情を聞いたら買戻し金額は一人金貨二十枚。

 人さらいを雇えば処刑対象なのだが、貴族の斡旋でルシヘの偽造両親公認のサインが在った。咎める訳にはいかん。払えるか」


 「うぅぅそのようなぁぁあぁぁ。む 無理で ございます」


 「ほら」


 「これは?」


 「イルリット様が買戻しの金と三人で暫く暮らせるようにと金貨十枚。計五十枚をお前にと連絡が来た。貰っておけ」


 「わた わたくしは見て見ぬ振りをしていたというのにぃぃ


 「それはどうか知らんが、シラーケド子爵領はイルリット様が治めることになる。

 遠慮せずに貰っておけ。俺が叱責を受ける」


 「わたくしは何をしたら」


 「本来は公安の仕事ではないのだが、無辜の領地民を捨て置く訳にもいかん。

 確認だ。イルリット様に付き従う気になったか」


 「わたくしの中の妖精に誓います」


 「ここの残った使用人を集め、領地の屋敷に戻って欲しいそうだ。

 イルリット様から仕度金。金貨百枚だ。うまく回せ」


 「はい。はい。付き従いますぅぅ」


 「クニニーク侍従長。どうだ」


 「承りました。全てを謹んでお受けいたします。

 それと心から深く謝罪しお仕えいたしますとイルリット王子殿下にお伝え願えますでしょうか」


 「判った。そう伝えよう。それでここに何人残すことになった」


 「わたくしを含め、女性ばかりで十名でございます。こちらが名簿でございます」


 「預かった。あいつ等の衣類はここに残す公安員の許可を得て売っていいそうだから維持費に回せ。

 その他には手を出すな。

 イルリット様が近いうちに挨拶に来るそうだ。後は頼むぞ」


 「「はい」」


 「必要要員を残し、王城裏手に処刑場の準備に向かうぞ」


 「「「「了解」」」」」


 「都議とギルドへの通達は」


 「既に済ませています」


 「ご苦労」

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