黒猫の秘密の欠片
隣の部屋は澪と奈美以外が寝る部屋だ。
その隣の部屋に移動したみんなは、さっきの質問の続きに移った。
「ナオって呼び名と、黒猫って呼び名について答えた。他は?」
「澪が眠れない理由は?」
瑠伊がそう聞いた。
「夢を見るのが怖いから」
「夢?」
「ナオは眠ると必ず悪夢を見るから、いつからか”眠ること”自体をやめた」
「じゃあ、なんであんただったら…」
「言っただろ?俺は特別だと。ナオからしたら俺は精神安定剤みたいなもんなんだよ。だから俺がそばにいればナオは安心して眠る。あとは俺があげたぬいぐるみか俺の匂いとか」
だからあのぬいぐるみが…。
「あんた何者?」
そうハルカが聞いた。
「俺?名前はシキ。歳は18。空とタメで、幼馴染。雪と空とは、こいつらが中1の頃、別のとこで出会った。ナオはナオが中2の頃、この街で出会った。それからの付き合いだ」
「あんた族か何かやってたのか?」
「族?んなもんやってねーよ。ただ、族みたいなもんはやってたかもな。族潰しっつーの?空と青空と雪の四人でな。」
ガタッ
隣の部屋から小さな音がした。
本当に小さな音だ。
隣の部屋の方の壁に背をつけていたシキだけに聞こえた小さな音。
まずい。
今は隣の部屋は真っ暗だ。
「ナオが起きた」
立ち上がり急いで隣の部屋へ向かおうとするシキ。
そこを晶が引き留めた。
「最後…最後に一つだけ。」
「早くしろよ」
少し苛立つシキ。
「澪になにがあった。澪の過去は…?何があいつをあんな顔にする」
あいつは誰も見ていないとき、空を見て辛そうな顔をする。
そう晶が言うと…
「気づいたか。なら余計聞かない方がいいんじゃねぇの?誰だって一つはあるだろ。誰にも聞かれたくない過去が。誰にも踏み込んで欲しくない心の底が。あいつが話したいって思うまで聞くなよ」
そう言ってシキは急いで出て行った。




