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猫は静かに姿を消した  作者: 神梛 那央
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黒猫と母親の愛を知った息子



瑠伊(るい)は1度家に帰り

母親と話し合ったらしい。






家に帰ったら母親は酔っていた。

何度も目にしてきた光景だ。


水商売をする母親はよく酔って帰ってくる。



「るーいぃ」



いつものようにシカトした。



「あんた、何シカトしてんのよ」



いつもはシカトしても何も言わないくせに。

久々に帰ったからか?



「誰のお陰で学校通えると思ってるの?ご飯だって…」



「ははっ学校?俺が学校で何してるか知らねぇのに?飯?今まで適当に買ってきて置き手紙1つで?…俺、高校卒業したら家出るから」



「あんた…瑠輝(るき)さんに似てきたわね…」



瑠輝(るき)瑠伊(るい)の父親だ。

アルバムで見た父親の顔に似てきたから

瑠伊(るい)は父親似なんだと思う。


「何よ、その目?生意気。どうせ私なんて遊び歩いてるようにしか見えないんでしょ!?」



ヒステリックに叫ぶ母親。



「あんたなんて!あんたなんて…」




首を締めてきた。




あれ、お袋ってこんなに小さかったっけ?

震えて今にも壊れそうで

睨みつける瞳は潤んでいた。



首を締められながら、他人事(ひとごと)のように母親を見ていた。



意識が途切れてきた。


ふと力が抜けた。




「ごほっ…がはっ…はぁっげほっ…」



いきなり肺に入り込む空気にむせ返った。



「やっぱり私には無理…」




誰…この人。


いつも気が強くて

酔うとヒステリックで…



目の前で泣いてる女は誰。




「かぁさん…俺、さみしかった」



ふと口から出た言葉に驚いた。



「ごめんね…ごめんなさ…。私、瑠輝(るき)さんが亡くなって、1人で頑張らなきゃって水商売で稼ぐなら同伴とかアフターとか頑張らなきゃって瑠伊(るい)を1人にして…。なんとか合間みて何かご飯をと思ってもコンビニしかないし…瑠伊(るい)はもうそろそろ家ここを出ると思ってたわ。だから、お金を抜いたりして…ごめんなさい」



なにそれ。

初めて聞いたんだけど。


いつも違う男といたのは客?俺のため?

いつも冷蔵庫に入ってる飯は忙しい仕事の合間に買ったやつ?

中学から新聞配達とかでバイト貯めた金が

抜かれてるのは俺が家を出ないため?



今までのは俺の勘違い?



「俺…今まで母さんのこと誤解してたわ。母さんはずっと俺のために頑張ってたんだね」



ゆっくり抱きしめられた。

父さんが死んでから初めて抱きしめられた。



瑠伊(るい)もうこんなに大きくなったのね…」



「母さんもこんな小さかったんだね」



そう言って2人笑い合った。






「ってことで解決したから、もう大丈夫」


そう瑠伊(るい)に報告された。


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