良く出来た愛理ちゃんでございます
落ち着きました。えぇ、落ち着きましたとも。さっきまで寒かったのに今ではジャージを脱ぎたいくらい暑くなりましたが、今の僕はれーせーですよ。うん。冷製。
まぁ、乳バンドが見えてるんで脱げないんですがね。脱ぐ気もないし。袖くらいは捲っとくか。
無言で袖を捲っていると、「あの」と百合が控えめに話しかけて来た。
「…なに?」
「ぅっ、いや、落ち着かれたかなぁって…」
「なにを言ってるんだ。僕はいつだってれーせーさ。どんな時でも取り乱したりはしないのさ」
「はぁ…そうですか…」
なんだその気の抜けた返事は。これだから最近の若いもんは…というか僕の目を見て話なさい。どうして僕の斜め後ろを見ている。僕はここだよ!ここ!
百合の目線を誘導しようと背伸びしたり手を振ったりでアピールしてみる。
「…はっ!あっちゃん、どどうかしました?」
…なにをそんなに慌ててんだ?
「どうしたもこうしたもなぁ、人と話す時は目を見て話すのが同義ってもんだろうよ」
「最近のあっちゃん、昔と変わったよねぇ…あたしに言われるがままだったのに…成長したねぇ」
「ふふん。なんてったって中学生ですからね!人は成長するのs…え?」
今喋ったの、百合じゃない…?いや、絶対違う。百合は目の前にいるのに声は後ろから聞こえてきたし…まさか…いやそんな。だって今は授業中だし、クラスも違う。そんなことがあり得るわけがない。あり得るわけが…
「ところがどっこい、あたしでしたー♡」
そう言いながら僕のジャージを剥いだのは杏奈。授業を抜けてここまで来て、いつの間にか後ろに立ってたらしい。なるほど、百合が後ろを見ていた理由がわかったぞ。十中八九杏奈に静かにって言われたんだろう。って!
「ぬ、脱がすなぁ!なにナチュラルに剥いでんだよ!見えるんだよ!恥ずかしいだろ!バカなの!?」
「おーおー、毒舌のオンパレードですなぁ。でも、耳まで赤くしてまくし立てても可愛いだけだぞぉ?」
そうか、やっぱり赤くなってたんだな。道理で暑いわけだ。
ほっぺをツンツンしながら言ってくる杏奈の手を払いのける。
「うっせぇ!可愛い言うなし!てか誰も突っ込まないけどなんでいるんだよ!授業中だぞ!」
「えー、だってあたしたちクラスも自習だしー?」
「ならよし!」
「いいんだ」
サボりだったら殴ってでも教室に戻すけどね。今は腕の力ないけど…
「とりあえずあっちゃんや」
「んだよ早く教室に戻れよ僕ぁ忙しいんだよ」
仕方ないよね?ちょっとだけあたり強くなっても仕方ないよね?
「口の荒くなったあっちゃんも可愛い…じゃなくて、ジャージで隠すのもいいけど着替えたら?」
「いや、そもそも着替えがないし」
「今日体育じゃん」
そうだっけ?
カバンを探ると、出て来たのは大きくなるのを見越して買った体操着(上)とブルマ。ご丁寧にカップ付きのキャミソールと肌触りのいいタオルまで入っている。なぜかブルマの中に入っていた手紙を読んでみると、
『お姉ちゃん今日体育でしょ?朝遅刻しそうだったから入れといたよ。汗かくだろうからタオルと着替えも使ってね☆
良く出来た妹 愛理より』
とあった。確かに良く出来た妹だけど、手紙入れる場所…ブルマって…変態みたいだよ…
まぁ、今は感謝しかしないけどね。ありがとう愛理。助かったよ。
とりあえず着替えはあったし、着替えるとするか。
「愛理が入れてくれてた」
「あっちゃん…」
「愛理ちゃんに世話焼かれてるんですね…」
「いや、なぜそうなった…」




