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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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待ち伏せ作戦にございます


 こちらα部隊。現在校門前で待ち伏せを始めて早十数分。ターゲット未だ姿を現さず。指示を仰ぎます。


 ーこちら本部。現在ターゲットの位置を確認中。もうしばらく待機せよ。ー


 了解。α部隊、任務を続行します。


 ー了解。ー






 あー。暇だー。

 どのくらい暇かーって言うと、上の遊びを校門前で始めるくらいには暇。相当暇。ターゲットがまだ教室にいるのかさえ分からないままここで茶番を始めた。もちろん放課後だから生徒の出入りも多いわけで。みんなチラチラとこっちを見ながら帰って行く。

 あ、この茶番やり始めたのは僕じゃなくて杏奈だからな?僕はそんなに詳しくないからな?なんだα部隊って。


 「なぁ…α部隊ってなんなのさ?」

 そう質問すると、信じられないというような顔でこちらを振り向く杏奈と昴。僕は杏奈に質問したんだ。お前は黙ってろ。ってかこっち見んな。

 なんて言えない小心者なので昴は無視しておく。


 「知らないの!?あのα部隊を!?」

 「知らないから聞いてんだろ?」

 「全く知らないんでござるか!?」

 「全くだ。ていうかお前には聞いてない。」

 「ロシア連邦保安庁の特殊部隊だよ!」

 「主に対テロ組織として国内にて活動しているでござるよ!」

 「過激派の弾圧とかだね!」

 「ここまでウィ○ペデ○ア先輩の引用にござる!」


 なるほど。こいつら結構知識あるんだなと感心しながら聞いていたら○ィキ○デ○アからの引用だったか。どおりでスマホ片手に話しているわけだ。僕の感心した心を返せ。


 「つまり?」

 「対テロ組織の行動が分かり本部から指令を受けたα部隊をしてたんだよ!」

 「待機して数十分たっても動きがないから本部に指示を仰ぐっていう、結構細かなとこまで気を配った茶番にござる!」


 なるほどなるほど。α部隊については十二分に理解した。ではこちらからの質問その2だ。


 「お前ら…なんの目的でここに待機してるか忘れたろ…?」

 「「…い、いいえ…」」

 「嘘つけ!!!」


 予想通り、である。こいつら飽きて茶番を始め、茶番を進めるうちに目的を忘れたらしい。アホか。

 説教をしたいところだが、生憎ここは校門前。公衆の面前でガミガミと叱るのはなんだか大人げないので我慢してやろう。

 「はぁ…お仕置きは後な…」

 「許してくれるの!?」

 「おお女神よ!ありがたき幸せにござる!」

 許してはないからな?家に着いたらタップリと説教だかんな?



 っていうか



 「杏奈ぁ!!!???」

 「な、なんですかあああああ!!??」


 そこにはいつの間にか杏奈がいて普通に会話に入っていた。

 いやいや、落ち着け僕。杏奈と合流した記憶を呼び覚ますんだ……!?そんなまさか…杏奈と合流した記憶がない…だと…!?

 混乱する僕に杏奈から種明かしが。


 「あ、そうそう。楽しそうにガヤガヤしてたんで勝手に混ざっちゃいました☆」

 それなら記憶にないつじつまが合う。驚かせやがって…ほら、一郎くんも百合も苦笑いしてるじゃないか。


 「葵…この苦笑いはね?さっきまで話していた人の存在に今気づくっていう鈍感な葵に向けてなんだよ?」

 「鈍くねーし。」

 百合がそんなことを言ってくるが、僕は鈍感じゃない。むしろ、他人を最大限思いやることの出来る典型的な日本人だ。今回の件で僕は悪くなくて、全面的に杏奈のせいだ。うん、そうに違いない。


 そう言ってやりたいが、ここである疑問が生まれた。

 杏奈が今ここにいるってことは…翔はもう帰ってしまったのでは…?それでは襲撃作戦大失敗だ。家が隣だから大丈夫だけど、出来ることなら早めに問いただしたい。

 ん?だったら体育の後すぐ行けよって?だから、女の子にはいろいろあるんだって 。


 「杏奈…」

 「どうしたの?神妙な面もちで…」

 「別にそんなに深刻なことじゃねぇよ。じゃないけど…僕にとっては少々重要な事かな?」

 「ほう。して、その内容とは?」

 「いや、みんなからしたら本当に些細なことだよ?」

 「分かったから話してごらんよ。」

 「翔…は、もう帰ったのかな…?」

 そう話すと、背後から聞き慣れた声が一つ。




 「俺がどうかしたって?」

 それは、紛れもなく翔本人だった。


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