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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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それでは帰りましょう


 体育が終わった。終了の挨拶をするためみんなに混じる。すると、女の子はしきりに大丈夫?とこちらを気にかけてきて、男子はチラチラと僕を見ている。あ、うなじ耳マン…じゃなくて、昴と目が合った。うわぁ…めっちゃ笑顔で手ぇ振ってる。

 光の早さ(体感速度)でそっぽを向く。あんな奴に誰が笑顔で振り返すもんか!少なくとも僕はイヤだ!

 別に、姿形が嫌いというわけではない。むしろ僕はあの体型と人懐っこい笑顔は可愛いと思う。しかし、しかしだ!あんなに癒される見かけなのに!なんでまぁあそこまで変態なのか!実にもったいない!

 まぁ、すべてマスコットキャラとして、だが。

 恋心なんぞ抱かないがな。


 そんなこんなで授業は終わり、更衣室にて着替えている。まぁ、特筆することはないな。少し汗をかいた女の子の匂いは媚薬のようで、汗を拭う無防備な女の子はすごく扇情的でドキドキしていたくらいか。あれ?なんだか僕も変態っぽ…いや、気のせいだな。


 そして他の授業も終わり、帰る時間となった。

 え?体育の授業終わったらすぐ翔に会いに行く予定だっただろって?女の子にはいろいろあるんだよ。

 …どうも口が悪くなってきている…ついに僕も思春期か?いや、百合が言ってた思春期該当事項に口が悪くなるは入っていなかったはず。じゃあなんだ?更年期か?一気に年取った気がするし違うっぽいな。

 うーん…あ!あれか!反抗期か!いやーついに悪になっちゃいましたかー悪ですねー反抗ですからねー悪ですねー。


 そんなどうでも良いことは放っておいて、百合と一緒に帰りましょう!の前に、正門で翔を待ち伏せ&襲撃しますか!

 それでは!


 「百合ー。一緒に帰ろー?」

 「!!!」

 帰り支度をしていた百合に声をかけると、呼んでないはずの昴の手が止まり驚いた顔をしてこちら見る。なんだそんなに変なこと言ったか?というかこっち見んな。


 「こっ、これはっ!美少女に共に帰ろうと誘われるイベントじゃないですか!!!ぼ、僕もお供しますぅ!!!」

 「いえ、別に貴方は来なくても大丈夫です。」

 「そんなこと言わずにぃ!」

 「いえ間に合ってますってちょ、すり寄らないで下さい怖いです向こうに行って下さい!」

 「良いではないかー良いではないかー。」

 「あぁもう!あっちいけあっち!しっしっ!」

 「ふほっwww百合たんの後ろに隠れながら威嚇する葵たんwww激かわゆすwww」

 「とっとと帰れええええええええええええ!!!」


 駄目だわこいつ。なんていうか、もう、駄目だわこいつ…手におえねぇ…

 はぁとため息をつき正門までならと付き添いを許可する。昴の方は待ってましたと言わん顔で食いついてきた。

 すると昴はしばし待たれいと残し自分の席方面へ。忘れ物か?と思いつつ目で追うと、前の席の女の子と何か話している。あ、男の子か。ズボン履いてなかったら女の子に見えたな。

 とにかく、昴はその男の子とこちらにやって来た。


 「あ、葵さん!その、ぼ、僕もご一緒してもよかですかっ!!!」

 …おもしろそうな子がやってきた。これはいじりがいのありそうな子だ。


 「えー?どうしよっかなー???」

 百合とニヤニヤしながらそんなことを言う。すると彼はズーンと一気に沈み、小さな声で「そうですよねいきなり話しかけてきてんじゃねぇよこのチビって感じですよねすみません身の程知らずで僕ぁ日陰に生きるのがお似合いな根暗野郎ですよね…」とブツブツ言っている。


 訂正しよう。彼はとてもいじりにくい子だ。

 完全にネガティブ思考になってしまった彼を慰めようと、慌てて百合とフォローに入る。


 「そ、そんなことないよ!ね、百合!」

 「え、ええ!そうですとも!チビって言うか、愛らしいサイズって言いますか…」

 「かわいい系?」

 「そう!かわいい系ですよ!」

 「根暗じゃなくて、その、慎重っていうか、えーっと…」

 「とにかく!可愛いですよ!」

 「そ、それに!どうしようかなーなんて嘘!嘘だから!むしろ一緒に行きたいなーなんて!」


 ここまで言ってやっと彼は立ち直った。ふぅ、扱いづらい子だ…

 誘ってきた昴ですら苦笑いしている。きっと、ここまでのネガティブ反応は初めてだったのだろう。


 「では!僕もご一緒していいんですね!!??」

 「えぇ。よろしくね?えーっと…」

 やばい。名前が出てこない…またネガティブ思考に陥らないでくれよ…っ!

 「あ、僕の名前は一郎。佐藤一郎って言います!以後、どうかよろしくお願いします!」

 こちらの状況を察してくれたのか、はたまた自分から名乗るのが礼儀だと思ったのか、それ以外か。一郎くんは自ら名乗ってくれた。ありがたい。


 「一郎くんね?私は平良百合恵。百合って呼んで下さいね?」

 「あ、僕は鈴木葵。葵とでも呼んでくれ。よろしくね?」

 「はい!百合さんに葵さん!よろしくお願いします!」

 そう言って人の良さそうな笑顔を見せる一郎くん。


 こうして僕たち4人は、ドタバタと騒がしくもゆっくりと正門へ向かうのだった。


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