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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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平穏な風景ですね『翔side』


 最近杏奈のテンションが高い。凄く高い。どのくらい高いかって言うと、普段の8割増くらい高い。

 その杏奈は昼休みに出かけてて今戻ってきたんだが、普段の2倍うるさくなっていた。いったい何事だ。一度問いただしておこうか迷う。


 しかし、その手間は省かれた。大きな声で「内緒だよ?」と新しい友達に話しかけていたのだ。名前は確か…西村早苗…だったか?忘れた。ていうか、クラスのほとんどは覚えてないな。向こうも似たり寄ったりだろうし構わないが。


 西村も杏奈の忠告に「誰にも言わないよー!」と答え、杏奈が話すのを待っている。俺もさり気なく(?)聞き耳を立てることにする。


 「あのね!?隣のクラスの鈴木葵って子知ってる!?」

 「あー、知ってるかもー。天使みたいなふわふわの可愛い子だよねー?」

 「ふわふわ…してるか分からないけど…とにかく!葵って子がいるのよ!」

 「それでそれでー?」

 「その子が私ともう1人の女の子をチャラ茶髪のいけ好かないクソ高校生に絡まれた話は知ってるでしょ?」

 「杏奈ー。口がすこーし悪いみたいだよー?可愛い顔からは想像もできない言葉だったよー?」

 「はいはい。話は逸らさないの。その子、少し元気なかったのね?」

 「そりゃ、乱暴されそうになったんでしょー?仕方ないことだと思うけどねー。」

 「うんうん。男の子とも話せないほど深い傷だったらしくて心配してたのよ。」

 「えー!そんなに怖かったのかなー?大変な思いをしたんだねー。」

 「あんたが言うとそうでもないように聞こえるんだけど…とりあえず!そんな状態の葵を元気づけようと!先ほど隣の教室へ突入したところ!」

 「おー!?」

 「なんと!」

 「おー!?」

 「『うなじ耳マン』という男の子と楽しそうにお話ししているではあーりませんか!!!」

 「おー!」パチパチ

 「とっても楽しそうに話してて、途中から入るのに抵抗があったくらいよ?」

 「杏奈が抵抗あるくらいって、相当だよねー。」

 「どういう意味よ!」

 「そのまんまだけどー?」

 「くっ…まぁいいわ。とりあえず、一安心って所でよさそうだったの。」

 「それでテンション高いんだねー?」

 「高くないし。」

 「高いよー。」

 「高くないし。」

 「高いよー。」






 話をまとめると…杏奈のテンションには葵が深く関わっていると考えてよさそうだ。

 そういえば、あの一件以来葵に会ってないな…っていうか、俺が多分無意識に避けてしまっているんだろうな。なんせ、葵を助けるどころか連れ去られたことすら分からなかった始末だからな…合わせる顔がない…


 一度会って謝らないとな。

 そう思っているのだが、今ではないと思う。そう、まだ時は来ていない。今は男が怖いっていうトラウマを抱えてしまった彼女を、遠くから見守ってやるしかないんだ…せめて、葵にまとわりつく悪い虫くらいは駆除させてもらうとしよう。楽しそうに話していたらしいので、うなじ耳マンなる男はそのまま仲良くしてもらうとして、その他は葵の反応次第で駆除するか。


 そんなことを思っていたら授業が始まった。

 今集中するべきは授業だ。故に、今は授業に一生懸命打ち込もう。


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