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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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寄り道せずに帰りましょう


 つ、疲れたー!あぁもう勉強は苦手だ!かといって運動も好きじゃないから、僕の取り柄って何だろうね。どうでもいいか。


 疲れた顔で帰路につく。隣には同じような状況の杏奈がいる。翔は何ともないような、いつも通りの顔だ。こいつはなに者なんだ…同じ人間とは思えない…


 そういえば、百合恵ちゃんと帰り道が同じ方向っていうのを先ほど知った。僕が見えたから走ってきてくれらしい。その話を聞いて、百合恵ちゃんが子犬に思えた。ほら、今も頭に犬の耳が見える。

 えぇ、疲れてるんですよね分かってましたとも。


 「杏奈…お前も疲れたのか?」

 「うん、まぁね…そういう葵も疲れてるように見えるんだけど?」

 「あぁ。僕も全く分かんなかったぜ…」

 「あたしも…こんなに難しい問題初めてだよ…」


 腕を前にだらしなく垂らして杏奈とそんな会話をする。この中で比較的元気なのって、僕たちの後ろを歩いてる翔と百合恵ちゃんなんじゃないかな…

 ぱっと後ろを振り向き、2人に問いただす。


 「なぁ、翔はなんで疲れてないんだよ。お前も僕と同じくらい勉強苦手だろ?ついて行けたのか?」

 「ふっ。いつまでも俺がお前と同じレベルだと思うなよ?俺ぁちゃんと春休みの間に予習してたんだよ。」

 「え…あの翔が?マジで?熱あるのか?」

 「ねぇよ。失礼な女だなお前は。」


 あー!今お前女扱いしたなー!?昔から杏奈にも言ってるけどな!僕は男…じゃないのかもう。あ、なんか少しむなしくなってきた…後悔とかはしてないけどねー。

 はぁ、とため息をつく。そして、翔と同じくらい元気な百合恵ちゃんに話しかけようと顔を向けると、彼女が不服そうな顔でこちらを見ていた。

 えーっと…?


 「あのー…百合恵ちゃん?どうしたの?」

 「…いです…」


 え?あの、聞こえなかったんですけど…?


 「…ごめん、なんて言ったの?」

 そう聞き返すと、大きな声で

 「ズルいですっ!!!」と返した。

 ちょ…大声ヤメて…怖ぇっす…


 なにがズルいのか話を聞くと、百合恵ちゃんだけちゃん付けなのに皆はお前やら呼び捨てやらで仲良さそうでズルいとのこと。


 「つ、つまり?」

 「私だって呼び捨てで名前を呼びたいん

ですっ!呼ばれたいんですっ!お前って言われたいんですっ!」


 あー、うん。構わないよ?でも僕的には百合恵ちゃんは百合恵ちゃんって呼びたいんだよなぁ。

 そう伝えると、案の定なんでですか!と半切れで返された。なんでって、


 「だって、百合恵ちゃんって呼んだ方が可愛い…から…」

 うわヤベェ。自分で言って少し恥ずかしいは。顔熱いはヤベェ。でも、目を逸らしたらもっと恥ずかしいと思うので真っ直ぐ百合恵ちゃんの目を見据える。


 すると百合恵ちゃんは、僕の発言に驚いたあと顔を赤くなてしあわあわと言い始めた。そして目を逸らしながら「あ、ありがとうござます…」と呟いた。


 か、可愛いいいいいいいいいい!!!

 百合恵ちゃんはこういうところがイイんだよな!真っ直ぐ褒められたら恥ずかしがって目を逸らすところな!ずっと見てられるよ!


 そのあと百合恵ちゃんはハッとして

 「でも!名前は呼び捨ての方がいいです!」と主張してきた。仕方ない。断る理由もないしな。


 「じゃあ…百合恵?」

 「あ!それから私のことは百合って呼んで欲しいです!昔からそうだから」

 「うん、分かった。じゃあ、百合で。」

 「はい。よろしくお願いします♪」

 ヤベェ可愛いどうしよう心拍数パネェ。そんなことを思っていると、


 「じゃあ、あたしも百合って呼ぶね!あたしは中村杏奈っていうの!杏奈って呼んでね!それと、どうして丁寧語なの?もっとフランクに行こうよフランクにー!友達なんだしさー!」


 杏奈が会話に入ってきた。しかも一気にまくし立てたので、百合は相づちすら打てなかった。

 えぇ、はい、などと気弱な返しをする百合と対照的に、いつも元気な杏奈。この2人、割とすぐ仲良くなれそうだな。そう思った。どちらも良い子だからだが。


 「なぁ、お楽しみ中すまんが、俺、腹減ったんだけど。」

 そう言ったのは翔。おま、1人だけ男だからって気まずいとか思ってんのか?僕は元男だから分からなくもないけど、友達なんだし、いつも通りふざけようぜ。

 っていうのは今は言わなかった。僕もお腹すいたから、今はご飯が先だ。


 「じゃあ、近くのガ○ト行こうか。」

 異論なし。さぁ行こう!


 着いた。注文も終えた。注文といっても、僕と翔がそれぞれ日替わりのハンバーグを頼み、杏奈と百合はドリンクバーのみだったが。


 ハンバーグが来るまでの間に百合と杏奈は飲み物を取りに行った。そして飲み物を机に置くと、そのままトイレに行くという。僕もそれに付き添うことにした。手も洗ってなかったしね。


 それぞれがする事を終えてトイレから出ると、外で3人の男に絡まれた。みんな茶髪にピアスで肌の色が黒いという、いかにも遊んでそうな風貌の男だった。

 真ん中のリーダーのような男が、杏奈に馴れ馴れしく触りながら話しかけてきた。


 「おっほー!可愛い子ちゃんが3人もいるじゃんかよー!俺らもちょうど3人なんだはー。おごってあげるから一緒にカラオケでもいかね?」


 もちろん終始杏奈は不機嫌そうな顔をしていた。いつキレるか分からない子だけにハラハラする。あ、百合もなんか目が怖い。これは、僕がしっかりしないといけないな。


 「すみません。僕たち中学生ですし、連れがいるのでご一緒できません。」決まった。これで相手は返す言葉もないだろう。

 では、と言って杏奈と百合の手を握り男どもの間を抜けようとするが、あと少しのところで身体を入れられ壁を作られた。そのあと素早く後ろに回る左側の男。

 手際が良いなぁと人事に感心したが、立場は最悪。どうにかして逃げないと…


 と、ここでリーダー(仮)に僕は右腕を捕まえられた。百合と手を繋いでいる方だ。

 やめてくださいと言いながら慌てて左手で剥がしにかかる。が、力の差は歴然。剥がすことは出来ず、百合と手を引き離された。

 しかも杏奈から左手を離したことにより、後ろに回っていた男に両腕を左手一本で拘束。右手で口を塞がれて身動きがとれない状況だった。


 杏奈の様子を見てすぐに百合の方を見るが、百合も全く同じ状況だ。

 ここでリーダーが僕を見る。少し目を泳がせながらも僕は見返す。


 リーダーの目は、とても黒かった。いや、濁っているのか。これからなにをしようかと目の前の僕たちを見て楽しんでいるのようだった。

 この状況に僕は恐怖で全身が震え、声が出せない。


 絶体絶命、である。

 僕がもっとしっかりしていれば…

 僕が寄り道しようと提案さえしなければ…

 そう思いながらも僕は、恐怖に身体を震わせることしか出来なかった。


 更新遅れてすみません。

 本業が学生で、これから学校も始まりまだ宿題が終わっていないため更新が不定期になると思います。


 ですが、2日に1本は更新したいと思っていますので、長い目で見ていてください。

 これからもよろしくお願いします。

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