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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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人の話はきちんと聞きましょう


 なんだこれは。どういう意味なんだ…?

 目の前の文に頭を悩ます。先生の話もちんぷんかんぷんだ。

 いや、落ち着け。落ち着くんだ僕。よし。いい感じだ。それでは改めて目の前の文を読もうではないか。


 『A君とB君が公園で遊んでいました。A君は急にトイレに行きたくなったので、B君に「ちょっと熊狩ってくるわ」と言いました。

 するとB君は「マジで!?俺も行きたい!」と返し、2人で行くことになりました。

 A君がトイレに入ろうとすると、急にB君がA君の腕を引っ張りました。

 なんだよと言う暇もなくB君は「そんなとこに熊はいないだろ!こっちこっち!」と言い森に引っ張っていきました。

 呆然と引っ張られていたA君はハッとし、引き返そうとしますがB君の手はA君を捕まえたまま。


 さて、このあとA君はトイレに行けたでしょうか?証明しなさい。』






 …

 はぁ!?

 いや知らねぇよ!A君ちゃんと説明しろよ!てかお前らいくつだよ!

 普通小学生が「熊狩りに行く」とか使わないよな…?つまり年齢は俺らと同じか上だよな。でも!B君見てたら年下な気がする!

 そもそもなんで「熊狩りに行く」なんて難しい表現したんだよ!そこは中学生らしく「トイレ行ってくる」だのあるじゃん!中学生か知らんけどな!

 そもそも!今国語の時間だよね!?なんで証明とか出てきちゃってんの!?証明って数学やん!


 先生は発表させるとか言ってるし、ヤバくね?早くこの謎を解明せねば…

 とりあえず、百合恵ちゃんと相談でもするか…


 「ねぇ、これって難しくない?」

 小さな声で百合恵ちゃんに聞く。あ、キョトンとした顔可愛い。じゃないな。

 「そう?私、こういうの好きだから難しいとは思わないなぁ。」


 意外な(?)事実発覚。百合恵ちゃんは勉強ができるらしい。

 これは定期テストの前にお世話になりそうだな。

 とりあえず今はこの問題の答えを見せてもらおう。


 「すごいね!あの、ちょっとだけ答え見せてくれない?」

 「えー!やだよ恥ずかしい…」


 恥ずかしい…?どうして恥ずかしいんだ?あ、ここまで言っておいて間違えてたら恥ずかしいってことか。なるほど納得だ。


 「大丈夫。気にしないって。」

 「やーだー!私が気にするもん!」

 そう言ってノートを胸に抱き、むーっと頬を膨らませてこちらを威嚇してくる百合恵ちゃん。…可愛い。写真撮りたいな。


 「鈴木葵!平良百合恵!なに喋ってるんだ!授業中だぞ!」

 大声で名前を呼ばれ、なおかつ怒られた私たちはビクっと背筋を伸ばした。


 「「はい!すみません!」」

 ハモった。百合恵ちゃんと綺麗にハモった。

 大人しく前を向く。先生はどうやらご立腹のようだ。


 「初めての授業早々お前らは…まぁいい。当てるやつが見つかったからな。鈴木葵、この問題を解いてみなさい。」


 終わった。。。また怒られそうだ。。。

 虚ろな目で静かに立ち上がり、考えた末に事実を述べる。


 「えーっと…その…分かりません。」


 教室が静まり返る。うわ、みんなこっち向いてる。やめて!見ないで!そんな驚いた顔しないで!

 心に深い傷を負った。なぜ一問答えられなかっただけでこんなに辛い思いをしなければならないのか。こんな思いをこれからもしないといけないのだろうか。。。

 崩れるように着席する。先生は申し訳なかったという顔をして頬をポリポリと掻いている。僕のことなら大丈夫ですよ。続けてください。

 そうジェスチャーする。先生も気を取り直して次の人に当てる。


 「あー、じゃあ次は…平良百合恵。答えて。」

 そう言い百合恵ちゃんを立たせる。百合恵ちゃんもオズオズといった感じで立ち上がり、答えをいう。


 「えっと、このあとすぐにA君はB君に『熊を狩りに行く』の意味を説明。納得したB君と共に無事に引き返し、トイレをすることができた。めでたしめでたし。」



 …



 はぁっ!?え、ちょ、ええっ!?

 いやいやいや!百合恵ちゃん!それ証明じゃないじゃん!間違ってるよそれ!絶対に間違ってるよ!


 「上手に出来たねぇ。葵が分からないって言ったから百合恵もわからないかと思ったよ。じゃあ次は…」

 ノータッチ!?先生!ノータッチなの!?いや、友里江ちゃん座らせて次の人に当てようとしてるし!いいの!?これで!?






 どうやら、このあとの話を作りなさいって先生が最初に言っていたらしい。うん。なんていうかあれだ。すみません。


 これからはちゃんと人の話を聞こう。いや、今までも聞いてたけどね?もっとちゃんとしよう。 

 とにかく、今はふて寝だ。ふて寝してやる。


 このあとすぐに先生に怒られたのは言うまでもない。


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